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㉘ザード、ユタカ 、バコ
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組み合わせが決まった。
Aブロック8名、Bブロック8名の計16名で争う。
Aブロックの第1試合でいきなり魔族VS人族の闘いとなった。
ザードVSユタカである。
闘技場は小さな湖の上になる。審判が湖の上に行くように勧めた。
「え?水の上を歩けって?歩けるわけないだろ?」
ザードが湖の手前で立ち止まった。
「あ……」ユタカがテクテクと水の上を歩いて湖の真ん中に立っていた。
ザードは恐る恐る足を水の上に乗せると硬い透明な板が敷いてあるような感じになっていた。
「へー、すげー。沈まないんだ」
ザードも湖の真ん中へ歩いて行った。
睨み合う二人。審判が声を掛けた。
「用意、始め!」
いきなりザードが居合い切りをした。
刀は下段から中段へと横に振り払われた。
しかしユタカの胴体は半分になっているはずなのに、なっていなかった。
「チッ!しくじったか」
ザードは刀を鞘に納める。
オドオドとしたユタカが、ニヤついていた。
「なめやがって」
その時ユタカがニヤリと笑って左手の中指を眉間に当てた。
「呪縛。心臓。」
ユタカがそう言った瞬間ザードが失神した。ユタカのスキル呪縛がザードの心臓を縛りあげたのだ。
「勝者ユタカ!」審判が叫んだ。
審判の声を聞いたユタカは倒れているザードを見て左手中指を眉間に当てた。
「呪縛!解除!」
ザードは担架で運ばれて、ユタカは歩いて互いの控室に戻って行った。
観客席は騒然となっていた。ユタカは何も攻撃をしなかったのに、ザードが倒れたのだから。
センフーもトウケイもゴロウの方を見た。
「あのユタカって言う奴、左手中指を眉間に当てていたぞ。ゴロウがスキルを発動する時と一緒じゃねえのか?」
センフーが言うとトウケイもゴロウに聞いた。
「ゴロウくんがスキルを発動する時は、右手の中指を眉間に当てていたが、彼は左手だった。その違いがあるにしろ、眉間に中指を当てるのは同じだ」
センフーが続けて喋った。
「つまりゴロウとユタカにスキルを授けた人物が同じだってことだ」
〘まさか神様がユタカにもスキルを与えたのか?〙
そしてAブロックの1回戦は終わり、Bブロックの1回戦が始まった。
バコVSアロン
「用意、始め!」
審判が号令した。
バコとアロンは共に刀を中段で構えて身構えた。バコは身長が170センチ、アロンは身長190センチで20センチの差があった。
アロンの中段はバコから見れば上段の構えと変わらなかった。
試合は一方的な展開になっていた。
アロンが身長差に物を言わせて連続で刀を振り下ろしていた。
バコは防ぐのに精一杯で、攻めることはできなかった。
〘フウと絶対に結婚するんだ。絶対にフウと!〙
バコは必死でアロンの攻撃を防いでいたのだが、アロンは刀を振り下ろすと見せかけてバコのお腹を狙った。
アロンの刀がバコのお腹に突き刺さる手前で、二人は打ち合う前の態勢で止まっていた。神の領域の時間逆転現象が起こったのだ
「勝者、アロン!」
審判が叫んだ。
控室に戻ったバコは暗くどんよりとした空気を醸し出していた。
センフーもトウケイもゴロウも声をかけられなかった。
そしてさらにその奥には、バコよりもどんよりとした雰囲気のザードが、両膝を抱えて頭を下げてしゃがんでいた。
センフーが口を開く。
「試合会場に戻ろうか……」
トウケイもゴロウも無言のままセンフーと一緒に試合会場へ戻っていった。
あと二人に勝てばユタカは念願のエルフの女性とお付き合いが出来る。まずは目の前の敵を倒すのみ。ユタカは気合を入れて試合に望んだ。
ユタカVSラエル
ユタカは一気に決めるつもりだった。すでに左手の中指は伸ばしてあった。審判の号令と共にスキル呪縛を使うつもりだった。方やラエル(魔法使い)もすぐに魔法が使えるように準備をしていた。
「用意、始め!」
審判が号令をかけた。
すぐに動作に入るユタカとラエル。
左手中指を眉間に当ててユタカが叫ぶ。と同時にラエルは水魔法、ウォーターボールを直接ユタカの口の中に発動していた。
「呪ばっ……」
ユタカは口の中に水が溢れて声が出せなかった。そしてそのまま溺死寸前のところで神の領域の時間逆転現象が起きた。
二人は試合開始前に戻っていた。
「勝者!ラウル!」
審判が叫んだ。
深夜、エルフの森をただぼんやりと歩いていたユタカは何も考えずに歩いていた。
そして森を抜けると小さな小さな湖に出た。
ユタカは岸辺に座って夜空を見上げた。
今にも雨が降って来そうな天気だった。
「あー、エルフの女性と結婚する夢が消えてしまった……ちくしょう」
「うっ」
女性のうめき声が聞こえた。
ユタカは振り向いて森の中を見て、耳を澄ますとガサガサと音がした。
ユタカは立ち上がって音のする方へ歩いて行った。
ユタカの目の前には首を吊ってもがき苦しむエルフの女がいた。
「呪縛!変化!」
ユタカがスキルを発動した。
エルフの女の体がスライムのように柔らかくなって、首にしっかりと締まっていた紐から抜け落ちた。地面にはスライムの塊がうごめいていた。
「呪縛!解除!」
ユタカがそう言うとそのスライムはみるみるうちに、元のエルフの女に戻っていった。
エルフの女は仰向けになって木にぶら下がっている紐を見つめていた。
ユタカが踵を返して立ち去ろうとして歩き始めた時、エルフの女がユタカを呼び止めた。
「ちょっと待って下さい」
ユタカは面倒臭そうに立ち止まり、振り返ってエルフの女を見た。
「……」
エルフの女は立ち上がって無言のユタカに詰め寄った。
「どうして死なせてくれなかったんですか?」
「死にたかったのか?」
「見ればわかるでしょ?首を吊っていたんだから」
ユタカはゆっくりとスキルを発動した。
「呪縛!逆再生!」
エルフの女は再びスライムとなり、ぶら下がっていた紐に伸びて行くと元のエルフの姿になった。
首に食い込む紐に苦しくて、もがくエルフの女は精一杯の声を出した。
「た…す…けて」
「呪縛!変化!解除!」
ユタカは振り返りもせずスキルを発動して立ち去った。
エルフの女は首を吊った状態でスライムになり地面に落ちて元の姿に戻った。
エルフの女はずっとユタカが立ち去った方角を見つめていた。
Aブロック8名、Bブロック8名の計16名で争う。
Aブロックの第1試合でいきなり魔族VS人族の闘いとなった。
ザードVSユタカである。
闘技場は小さな湖の上になる。審判が湖の上に行くように勧めた。
「え?水の上を歩けって?歩けるわけないだろ?」
ザードが湖の手前で立ち止まった。
「あ……」ユタカがテクテクと水の上を歩いて湖の真ん中に立っていた。
ザードは恐る恐る足を水の上に乗せると硬い透明な板が敷いてあるような感じになっていた。
「へー、すげー。沈まないんだ」
ザードも湖の真ん中へ歩いて行った。
睨み合う二人。審判が声を掛けた。
「用意、始め!」
いきなりザードが居合い切りをした。
刀は下段から中段へと横に振り払われた。
しかしユタカの胴体は半分になっているはずなのに、なっていなかった。
「チッ!しくじったか」
ザードは刀を鞘に納める。
オドオドとしたユタカが、ニヤついていた。
「なめやがって」
その時ユタカがニヤリと笑って左手の中指を眉間に当てた。
「呪縛。心臓。」
ユタカがそう言った瞬間ザードが失神した。ユタカのスキル呪縛がザードの心臓を縛りあげたのだ。
「勝者ユタカ!」審判が叫んだ。
審判の声を聞いたユタカは倒れているザードを見て左手中指を眉間に当てた。
「呪縛!解除!」
ザードは担架で運ばれて、ユタカは歩いて互いの控室に戻って行った。
観客席は騒然となっていた。ユタカは何も攻撃をしなかったのに、ザードが倒れたのだから。
センフーもトウケイもゴロウの方を見た。
「あのユタカって言う奴、左手中指を眉間に当てていたぞ。ゴロウがスキルを発動する時と一緒じゃねえのか?」
センフーが言うとトウケイもゴロウに聞いた。
「ゴロウくんがスキルを発動する時は、右手の中指を眉間に当てていたが、彼は左手だった。その違いがあるにしろ、眉間に中指を当てるのは同じだ」
センフーが続けて喋った。
「つまりゴロウとユタカにスキルを授けた人物が同じだってことだ」
〘まさか神様がユタカにもスキルを与えたのか?〙
そしてAブロックの1回戦は終わり、Bブロックの1回戦が始まった。
バコVSアロン
「用意、始め!」
審判が号令した。
バコとアロンは共に刀を中段で構えて身構えた。バコは身長が170センチ、アロンは身長190センチで20センチの差があった。
アロンの中段はバコから見れば上段の構えと変わらなかった。
試合は一方的な展開になっていた。
アロンが身長差に物を言わせて連続で刀を振り下ろしていた。
バコは防ぐのに精一杯で、攻めることはできなかった。
〘フウと絶対に結婚するんだ。絶対にフウと!〙
バコは必死でアロンの攻撃を防いでいたのだが、アロンは刀を振り下ろすと見せかけてバコのお腹を狙った。
アロンの刀がバコのお腹に突き刺さる手前で、二人は打ち合う前の態勢で止まっていた。神の領域の時間逆転現象が起こったのだ
「勝者、アロン!」
審判が叫んだ。
控室に戻ったバコは暗くどんよりとした空気を醸し出していた。
センフーもトウケイもゴロウも声をかけられなかった。
そしてさらにその奥には、バコよりもどんよりとした雰囲気のザードが、両膝を抱えて頭を下げてしゃがんでいた。
センフーが口を開く。
「試合会場に戻ろうか……」
トウケイもゴロウも無言のままセンフーと一緒に試合会場へ戻っていった。
あと二人に勝てばユタカは念願のエルフの女性とお付き合いが出来る。まずは目の前の敵を倒すのみ。ユタカは気合を入れて試合に望んだ。
ユタカVSラエル
ユタカは一気に決めるつもりだった。すでに左手の中指は伸ばしてあった。審判の号令と共にスキル呪縛を使うつもりだった。方やラエル(魔法使い)もすぐに魔法が使えるように準備をしていた。
「用意、始め!」
審判が号令をかけた。
すぐに動作に入るユタカとラエル。
左手中指を眉間に当ててユタカが叫ぶ。と同時にラエルは水魔法、ウォーターボールを直接ユタカの口の中に発動していた。
「呪ばっ……」
ユタカは口の中に水が溢れて声が出せなかった。そしてそのまま溺死寸前のところで神の領域の時間逆転現象が起きた。
二人は試合開始前に戻っていた。
「勝者!ラウル!」
審判が叫んだ。
深夜、エルフの森をただぼんやりと歩いていたユタカは何も考えずに歩いていた。
そして森を抜けると小さな小さな湖に出た。
ユタカは岸辺に座って夜空を見上げた。
今にも雨が降って来そうな天気だった。
「あー、エルフの女性と結婚する夢が消えてしまった……ちくしょう」
「うっ」
女性のうめき声が聞こえた。
ユタカは振り向いて森の中を見て、耳を澄ますとガサガサと音がした。
ユタカは立ち上がって音のする方へ歩いて行った。
ユタカの目の前には首を吊ってもがき苦しむエルフの女がいた。
「呪縛!変化!」
ユタカがスキルを発動した。
エルフの女の体がスライムのように柔らかくなって、首にしっかりと締まっていた紐から抜け落ちた。地面にはスライムの塊がうごめいていた。
「呪縛!解除!」
ユタカがそう言うとそのスライムはみるみるうちに、元のエルフの女に戻っていった。
エルフの女は仰向けになって木にぶら下がっている紐を見つめていた。
ユタカが踵を返して立ち去ろうとして歩き始めた時、エルフの女がユタカを呼び止めた。
「ちょっと待って下さい」
ユタカは面倒臭そうに立ち止まり、振り返ってエルフの女を見た。
「……」
エルフの女は立ち上がって無言のユタカに詰め寄った。
「どうして死なせてくれなかったんですか?」
「死にたかったのか?」
「見ればわかるでしょ?首を吊っていたんだから」
ユタカはゆっくりとスキルを発動した。
「呪縛!逆再生!」
エルフの女は再びスライムとなり、ぶら下がっていた紐に伸びて行くと元のエルフの姿になった。
首に食い込む紐に苦しくて、もがくエルフの女は精一杯の声を出した。
「た…す…けて」
「呪縛!変化!解除!」
ユタカは振り返りもせずスキルを発動して立ち去った。
エルフの女は首を吊った状態でスライムになり地面に落ちて元の姿に戻った。
エルフの女はずっとユタカが立ち去った方角を見つめていた。
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