《完結》悪役令嬢の侍女に転生しました。

ぜらちん黒糖

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③マーガレットとバウナード、そしてマリカ

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控室に行くと、メイドたちがマーガレットのドレスに付いたワインの染みを取ろうとしていたが、メイドの一人が

「私達では、このシミ取りは出来ません。専門の方をお呼びしないと」

マーガレットが再び怒りを表しかけた時、ソジャコッドが申し出た。

「マーガレット様、予備のドレスをお持ちしております。そちらに着替えて、パーティーに戻られてはいかがでしょうか?」

それを聞いていた王太子も

「それがいいよ、マーガレット」

「そうね、ソジャコッド、カタリン、着替えを手伝ってくれる?」

衣装室に入って行くマーガレットとソジャコッドについて行こうとしたカタリンに、バウナード王太子が声をかけた。

「君、カタリンって言うのかい?」

「はい」

「さっきはありがとう」

「・・・」

「騒ぎを抑えてくれて」

カタリンは、お辞儀をしてソジャコッドの後を追った。


深夜、カタリンはベッドの上で、疲れた体を休めていた。

〘今日はうまく行った。あれからマーガレットは上機嫌でパーティーを楽しんでいた。〙

〘王太子もマーガレットと楽しそうに会話をしていた。〙

〘しかし、腑に落ちない事もある。前世の知識では、もうすでに王太子とマリカは出来ているはずだったのだが。〙

〘今日の社交パーティーでは、王太子とマリカは、示し合わせてマーガレットに向かって歩いていた。〙

〘そして、二人の予定では、マリカがマーガレットに、ワインをぶっかけて、マリカがビンタをされるように仕組んでいたはず。〙

〘これがゲームの世界なら、あらゆるパターンが用意されているのだろうが、この世界はマンガ本が原作だ。〙

〘ストーリーは一つだ。〙

〘明日から一体どうなるのだろうか。〙

〘もう未来は変わってしまったのか?〙

〘それとも、修正されて元の筋に戻るのだろうか?〙

カタリンはいつの間にか眠りに落ちていた。



翌日、学校へ行くとバカ令嬢マーガレットに呼び出されて、特別休憩室にソジャコッドと一緒にいた。

「カタリン、昨日はどうして邪魔をしたの?」

マーガレットに聞かれて、びっくりしたカタリンは答えられなかった。

「・・・」

「マリカの顔を思いっ切り叩けると思ったのに、どうして邪魔をしたの?」

カタリンは諦めて正直に話した。

「マリカ・キシュの罠だと思ったからです」

「え?」

「マリカはわざと、マーガレット様のドレスにワインをこぼしたと思ったからです」

「理由は?私にわざとこぼす理由は?」

「恋敵だからです」

「恋・・・敵?」

「マリカ・キシュは、王太子バウナード様を狙っております」

「はあ?マリカ・キシュは伯爵家よ?身分が違うわ」

「バウナード王太子もグルです」

マーガレットが、カタリンの頬を平手打ちする。

睨むカタリンをさらに睨むマーガレット。

「カタリン、それはバウナード様がマリカと出来ているってこと?」

「はい」

「ばかばかしい」

その時、ソジャコッドが口を挟んだ。

「あのう、マーガレット様」

「あなたまで、なにか言うつもり?」

「私、見てたんです」

「何を?」

「王太子様とマリカが、目配せをしてから同時に、マーガレット様の方へ向かって歩きだしたのを」

「・・・・」

〘驚いた。ソジャコッドも見ていたのか〙

「それに、昨日のドレスの着替えの用意をしてあったのは、カタリンに、持って来ておくように、言われていたのであって、あの時ドレスが間に合ったのは、カタリンのおかげだったんです」

「へえ、ドレスの用意はソジャコッドではなく、カタリンの考えだったの?」

マーガレットはカタリンの頬を擦りながら

「あなた、知っていたのね?昨日何が起きるのか」

「残念ながら昨日、何が起きるのかは知りませんでした」

「知らなかったのに、用意万端だったのは、なぜ?」

「マーガレット様は、全女性の敵だからです」

「なんですって?カタリン」

マーガレットの顔色が変わる。

しかし、カタリンはひるむこと無く話し続ける。

「マーガレット様は、全女性の憧れのバウナード王太子の婚約者だからです」

「え?」

「特にマーガレット様以外の公爵家のロッグ家、ガルロッド家、パンムキン家には、お年頃のご令嬢がおられます」

「マーガレット様が、なにか問題を起こせば、喜ぶのはこの御三家でございます」

「その上、身の程を知らないマリカ・キシュのような者もおります」

「私はマーガレット様に付け入る隙を与えないようにするのが、私の役目かと存じております」

「驚いた。カタリン、見直したわ。そうよね、私も気をつけなくちゃね」


このカタリンの忠言以来、マーガレットは問題を起こさなくなったばかりか、性格も優しくなり、短気も治り、まるで前世の漫画本に出て来る、マリカ・キシュのような性格に変わって行った。

同時に、マリカ・キシュ伯爵令嬢の性格が、まるでマーガレットのようなバカ令嬢になっていた。

「バウナード王太子様、私のことは遊びだったのですか?」

「あはは、嫌だな、遊びも何も、私と君は付き合ってなどいないだろ?」

「なんですって?バウナード様。」

睨むマリカから目を反らしながら

「勘違いをしているのは、君の方だ。私には、マーガレットと言う婚約者がいるんだよ?君とは婚約すらしていないのに?」

さらにマリカは王太子の眼前に顔を近づけ睨む。

「私は、貴方様に、この身を捧げました。私たちは愛し合ったではありませんか。そして私たちは一つになったではありませんか?」

言葉に詰まるバウナードは、男として、言ってはならない言葉を発してしまった。

「あー、あの日のことを言っているのかな?」

王太子は側近のギルッシュに問いかける。

「ギルッシュ。」

「はっ」

「私はあの日、女を抱いたが、あれは娼婦だったよな?」

「はい、確か、マリカ・キシュと言う娼婦でございました。」

「な、なんですってー?」

マリカの目は釣り上がり、鬼の形相のようになって

「この無礼者!」

ギルッシュを突き飛ばした。

「うわあーーーー!」

ギルッシュは大袈裟にひっくり返った。

「どうした、ギルッシュ、怪我でもしたのか」

「う、腕が折れましたー」

うろたえるマリカ。

「そ、そんな大袈裟な・・」

バウナードはギルッシュを抱き支えると

「マリカ・キシュ、王太子である私の側近に対する暴力行為、このバウナードがしかと見た!」

「え?」

「追って、王族裁判所から沙汰が届くであろう」

そう言うと、バウナード王太子とギルッシュは、マリカの前から姿を消した。

呆然と立ちすくむマリカ・キシュ。

「これは、なに?なぜ、急にこんなことになるの?」

顔を真っ赤にして、唇を噛みしめながら

「バウナード王太子め、絶対に王太子も道連れにしてやるわ」
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