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⑩元王太子バウナード
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辺境の領地へ追いやられた元王太子バウナードは王都を追われてこの地へ来たが、ほとんどすることもなく城に閉じ籠もっていた。
「バウナード様」
側近のギルッシュが話しかける。
「街中に新しい飲み屋が出来たそうです。今夜一緒に行ってみませんか?」
「やめておくよ。どうせ私が行っても女性は誰も近寄って来ないし」
「ですがその店の主は余所からきたそうですよ?」
「余所から?」
「はい。ですから変な噂など知らないから大丈夫なのでは?」
「変な噂か・・・」
バウナードは忌々しそうにマリカ・キシュの顔を思い浮かべながら
「くそー、マリカの奴め、まさかあんな場所(王族裁判所)で二人だけの秘め事を、しかもあんな堅物共に見せるなんて」
「バウナード様・・・」
「ギルッシュ、私のどこが変態なのかお前、説明出来るか?」
「・・・」
説明は出来るがそれは言えないと口をつぐむギルッシュ。
「男女の営みはあれで普通だと思っていたのだがな」
真面目な顔で呟くバウナードに、いえ、あれはもう変態プレイと言われても仕方がありません、と言えないギルッシュがもう一度誘ってみる。
「バウナード様、女など近寄って来なくてもよいではありませんか、酒を飲んで、飲み明かしましょうよ」
「ふーん、そうだな、たまには外で飲むか」
「はい、そうしましょう」
二人はいそいそと馬車に乗って夜の街中へと消えて行った。
街の外れに小さな店から灯りがもれている。
店の中は結構混んでいるようだった。
二人は店の片隅に空いた席に座った。
「バウナード様、中々繁盛しているようですね」
「そうだな」
店員が注文を取りに来ると、ギルッシュがビールとつまみを頼んだ。
二人はなんとなく店の中を見回しているとバウナードの目に一人の綺麗な女の後ろ姿が映った。
「ギルッシュ、あの背中を向けている女を見てみろ」
「はい?あー、あの赤いワンピースを来ている女でしょうか?」
「ああ、そうだ。あれは絶対に美人だぞ」
「バウナード様、あの女がビールを持って来てくれるみたいですよ」
ギルッシュが嬉しそうに言うとバウナードも
「おい、ちょっとワクワクしないか」
「ええ、します」
女がビールをトレーに乗せて二人の方を振り向き微笑みながら歩いて来た。
二人の顔からは、微笑みが消えて凍りついたように固まっていた。
「いらっしゃい、バウナード様」
「あら?ギルッシュもいたの?」
二人の目の前にはマリカ・キシュが立っていた。
マリカはテーブルにビールとグラス、おつまみを置いてニッコリと笑った。
「な、なぜ君がここに・・いる?」
バウナードがなんとか声を絞り出す。
「あなたを追い掛けて来たのよ」
ギルッシュが立ち上がりバウナードの前に立ち
「バウナード様に復讐をするつもりなのか」
「復讐ですって?」
ギルッシュを睨みながら
「復讐するならあなたにするわ、ギルッシュ」
ギルッシュが目を反らす。
構わずバウナードの隣の席に座り、マリカはギルッシュに言う。
「ちょっと席を外してもらえる?バウナード様と二人で話がしたいの」
バウナードが立ち上がろうとしたがマリカがバウナードの服を引っ張り座らせた。
「おい、バウナード様から離れろ」
ギルッシュがマリカの腕を掴んでバウナードから引き離そうとしたしたが、ギルッシュは途中でやめた。
マリカの目から、涙がこぼれていたからだ。
「お願いよギルッシュ・・・・バウナード様と二人にさせて」
ギルッシュがバウナードを見ると、バウナードが
「ギルッシュ、私の命令だ。二人にしてくれ」
ギルッシュは無言のまま、少し離れた席に座ってバウナードを見守ることにした。
二人きりになったバウナードとマリカ。
「私をまだ恨んでいるのか?」
「バウナード様こそ私を恨んでいるんでしょう?」
「君は私を追い掛けて来たと先ほど言っていたが、それはどういう意味なんだ?」
「信じてもらえないでしょうけど・・・あなたを愛しているから」
「あははは、何を言うかと思えば・・・私を愛しているだって?」
マリカが心情を語り始める。
「私は最初、あなたの妻の座を狙って近づいた。それは本当よ」
「あなたとマーガレット様は婚約をしていたけれど、まだ結婚をしているわけじゃない」
「だから私にも微かにチャンスがあるかも知れないと・・・」
「あなたに好かれようとあなたに接している内に、いつしか本気であなたの事を愛してしまっていた」
「あなたの側にいるだけで幸せな気分になり、あなたが優しい言葉をかけてくれるだけでトキメイた」
「でもあの社交パーティの時にマーガレット様に頬をぶたれるはずが失敗して・・・」
「それから、なぜかバウナード様はマーガレット様と仲睦まじくなって」
「その姿を見ているとイライラして周りに当たり散らしたり、私も性格が悪くなっていったわ」
「そのうえ娼婦呼ばわりされて捨てられた」
「だから王族裁判所で再現魔法を使って裁判官たちに二人の愛を見せたのよ」
「私たちは愛し合っている間柄なのよって、わかってほしかったの、それだけ」
「私は王立学校も退学になり伯爵家の嫡子の座も失った」
「一人になって気持ちが落ち着いて来た頃、過去を振り返ってみたの」
「バウナード様とマーガレット様の仲が睦まじくなった時、イライラしたのはなぜなだったのか考えてみた」
「それは嫉妬。私は二人に嫉妬をしていた」
「バウナード様に体を許したのはなぜか?」
「それはあなたを愛していたから。愛していたからバウナード様の前で裸になれたのよ」
「あなたに抱かれて幸せだった」
「なのに、あの時の出来事を娼婦を抱いただなんて・・・言うんだもの」
マリカがボロボロと涙をこぼす。
黙って聞いていたバウナードは
ポケットからハンカチを出すとマリカに手渡して
「拭けよ」
そう言うと立ち上がってテーブルにお金を置いて
「ハンカチ、洗って持っててくれ。また取りに来るから」
バウナードとギルッシュは店を出て行った。
マリカはバウナードが手渡してくれたハンカチで、そっとこぼれる涙を拭いた・・・。
「バウナード様」
側近のギルッシュが話しかける。
「街中に新しい飲み屋が出来たそうです。今夜一緒に行ってみませんか?」
「やめておくよ。どうせ私が行っても女性は誰も近寄って来ないし」
「ですがその店の主は余所からきたそうですよ?」
「余所から?」
「はい。ですから変な噂など知らないから大丈夫なのでは?」
「変な噂か・・・」
バウナードは忌々しそうにマリカ・キシュの顔を思い浮かべながら
「くそー、マリカの奴め、まさかあんな場所(王族裁判所)で二人だけの秘め事を、しかもあんな堅物共に見せるなんて」
「バウナード様・・・」
「ギルッシュ、私のどこが変態なのかお前、説明出来るか?」
「・・・」
説明は出来るがそれは言えないと口をつぐむギルッシュ。
「男女の営みはあれで普通だと思っていたのだがな」
真面目な顔で呟くバウナードに、いえ、あれはもう変態プレイと言われても仕方がありません、と言えないギルッシュがもう一度誘ってみる。
「バウナード様、女など近寄って来なくてもよいではありませんか、酒を飲んで、飲み明かしましょうよ」
「ふーん、そうだな、たまには外で飲むか」
「はい、そうしましょう」
二人はいそいそと馬車に乗って夜の街中へと消えて行った。
街の外れに小さな店から灯りがもれている。
店の中は結構混んでいるようだった。
二人は店の片隅に空いた席に座った。
「バウナード様、中々繁盛しているようですね」
「そうだな」
店員が注文を取りに来ると、ギルッシュがビールとつまみを頼んだ。
二人はなんとなく店の中を見回しているとバウナードの目に一人の綺麗な女の後ろ姿が映った。
「ギルッシュ、あの背中を向けている女を見てみろ」
「はい?あー、あの赤いワンピースを来ている女でしょうか?」
「ああ、そうだ。あれは絶対に美人だぞ」
「バウナード様、あの女がビールを持って来てくれるみたいですよ」
ギルッシュが嬉しそうに言うとバウナードも
「おい、ちょっとワクワクしないか」
「ええ、します」
女がビールをトレーに乗せて二人の方を振り向き微笑みながら歩いて来た。
二人の顔からは、微笑みが消えて凍りついたように固まっていた。
「いらっしゃい、バウナード様」
「あら?ギルッシュもいたの?」
二人の目の前にはマリカ・キシュが立っていた。
マリカはテーブルにビールとグラス、おつまみを置いてニッコリと笑った。
「な、なぜ君がここに・・いる?」
バウナードがなんとか声を絞り出す。
「あなたを追い掛けて来たのよ」
ギルッシュが立ち上がりバウナードの前に立ち
「バウナード様に復讐をするつもりなのか」
「復讐ですって?」
ギルッシュを睨みながら
「復讐するならあなたにするわ、ギルッシュ」
ギルッシュが目を反らす。
構わずバウナードの隣の席に座り、マリカはギルッシュに言う。
「ちょっと席を外してもらえる?バウナード様と二人で話がしたいの」
バウナードが立ち上がろうとしたがマリカがバウナードの服を引っ張り座らせた。
「おい、バウナード様から離れろ」
ギルッシュがマリカの腕を掴んでバウナードから引き離そうとしたしたが、ギルッシュは途中でやめた。
マリカの目から、涙がこぼれていたからだ。
「お願いよギルッシュ・・・・バウナード様と二人にさせて」
ギルッシュがバウナードを見ると、バウナードが
「ギルッシュ、私の命令だ。二人にしてくれ」
ギルッシュは無言のまま、少し離れた席に座ってバウナードを見守ることにした。
二人きりになったバウナードとマリカ。
「私をまだ恨んでいるのか?」
「バウナード様こそ私を恨んでいるんでしょう?」
「君は私を追い掛けて来たと先ほど言っていたが、それはどういう意味なんだ?」
「信じてもらえないでしょうけど・・・あなたを愛しているから」
「あははは、何を言うかと思えば・・・私を愛しているだって?」
マリカが心情を語り始める。
「私は最初、あなたの妻の座を狙って近づいた。それは本当よ」
「あなたとマーガレット様は婚約をしていたけれど、まだ結婚をしているわけじゃない」
「だから私にも微かにチャンスがあるかも知れないと・・・」
「あなたに好かれようとあなたに接している内に、いつしか本気であなたの事を愛してしまっていた」
「あなたの側にいるだけで幸せな気分になり、あなたが優しい言葉をかけてくれるだけでトキメイた」
「でもあの社交パーティの時にマーガレット様に頬をぶたれるはずが失敗して・・・」
「それから、なぜかバウナード様はマーガレット様と仲睦まじくなって」
「その姿を見ているとイライラして周りに当たり散らしたり、私も性格が悪くなっていったわ」
「そのうえ娼婦呼ばわりされて捨てられた」
「だから王族裁判所で再現魔法を使って裁判官たちに二人の愛を見せたのよ」
「私たちは愛し合っている間柄なのよって、わかってほしかったの、それだけ」
「私は王立学校も退学になり伯爵家の嫡子の座も失った」
「一人になって気持ちが落ち着いて来た頃、過去を振り返ってみたの」
「バウナード様とマーガレット様の仲が睦まじくなった時、イライラしたのはなぜなだったのか考えてみた」
「それは嫉妬。私は二人に嫉妬をしていた」
「バウナード様に体を許したのはなぜか?」
「それはあなたを愛していたから。愛していたからバウナード様の前で裸になれたのよ」
「あなたに抱かれて幸せだった」
「なのに、あの時の出来事を娼婦を抱いただなんて・・・言うんだもの」
マリカがボロボロと涙をこぼす。
黙って聞いていたバウナードは
ポケットからハンカチを出すとマリカに手渡して
「拭けよ」
そう言うと立ち上がってテーブルにお金を置いて
「ハンカチ、洗って持っててくれ。また取りに来るから」
バウナードとギルッシュは店を出て行った。
マリカはバウナードが手渡してくれたハンカチで、そっとこぼれる涙を拭いた・・・。
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