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第一章
③USBメモリーに残された証拠
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陽子は翔太から聞いたことがあった。キャバ嬢と付き合っていたことがあると……。それは、おそらくこの女だろうと思った。
「そう、翔太は今、あなたのところにいるの?」
「ええ、もうあなたとは、よりを戻すつもりはないみたいなので、それを伝えに来たんです」
「分かりましたから、もうお引き取りください」
「は~い、じゃあ、今度の日曜日に、翔太の荷物を受け取りに来ますので、できればまとめて、すぐに持っていけるようにしておいて欲しいんですけど。お願いできますかあ?」
「分かりました」
そう言ってドアを閉めた。すぐに鍵をしてチェーンをかける。
ドアスコープから覗くと反対側からミチルがこちらを見つめていた。
「きゃ!」
思わず両手で口を押さえる陽子。もう一度ゆっくりドアスコープを覗くと、もうミチルの姿はなかった。
❖
日曜日の朝までに、翔太の荷物をまとめて玄関に置いておいたが、意外に荷物は少なかった。
「マンションを解約して引っ越してきたって言うけど……男の一人暮らしってこんなものなのかしら」
ダンボールにたった2箱しかなかった。これなら宅配便で送り返せばよかった、などと考えていたが、約束したものは仕方がない。そう思ってミチルが来るのを待っていた。
そして、しばらくするとチャイムが鳴った。すぐにインターホンに出た。
「はい」
「宅配便の者です。荷物を受け取りに来ました」
「はい、今出ます」
ドアホンの受話器を置くと、ぼやく陽子。
「何よあの女、自分で取りに来るみたいなことを言って、宅配業者に頼んでるんじゃないのよ」
そして陽子は、ドアスコープも見ずに、ドアを開けた。
すると2人の男が玄関に押し入ってきた。
「な、何ですか、あなたたち!」
しかしすぐに口をハンカチで塞がれ、陽子は意識を失った。
❖
どれぐらい経ったのだろうか、窓の外はもう暗くなっていた。
陽子は洋服を着たままベッドで横になっていた。起き上がると頭が少しふらつく。
「あれ?私……」
朝、ミチルが来るのを待っていたのだが、その辺りから記憶がない。
玄関へ行ってみると翔太の荷物はなかった。
「あれ?」
玄関のドアは、鍵はかかっていなかった。慌てて鍵を閉める陽子。
何も覚えていないことに徐々に恐怖が込み上げてくる。
冷蔵庫から缶ビールを1本取り出して食卓に座る。その時テーブルの上の灰皿に目がいった。吸い殻が残されていた。
「え?なに?これ」
吸殻はセブンスターだった。翔太はメビウスを吸っていた。
そして、テーブルの上にUSBメモリーが1つ置かれているのが目に入る。
「……」
無言で部屋に戻りノートパソコンを持ってくると震える手で差し込み、中身を確認した。
パソコン画面に映る動画を見て固まる陽子。
そこには、意識を失った自分が2人の男に陵辱されている映像が映っていた。
陽子はその男たちの顔に見覚えがあった。街で翔太に助けられた時の、あの男たちだった。
男2人→翔太→ミチル→男2人
陽子の頭の中で、全てが繋がった。
「翔太は、最初からあの男たちとグルだった。あの優男の翔太が、あんな柄の悪い男たちから、私を助けるわけがないのに……」
「私に近づくためにあんな芝居をして……」
陽子の目から涙がこぼれ落ちた。
こんな動画がネットに公開されたら、私はもう生きていけない……。
私を助けてくれた時の翔太は、まさに正義の味方だった。私の作った料理を美味しそうに食べて褒めてくれた。あの時の笑顔も全部、嘘だったの?
翔太……優しい顔で私に近づき、私にありもしない幸せな未来を見せた男。
ミチル……この女は、あの男たち2人と完全にグルとしか考えられない。
そして私を弄んだ名前も知らない男2人。
陽子の目から、絶望と悔しさで涙が溢れていた。
翌日、陽子は会社を辞めた。そして家財道具を全て処分して姿を消した。
「そう、翔太は今、あなたのところにいるの?」
「ええ、もうあなたとは、よりを戻すつもりはないみたいなので、それを伝えに来たんです」
「分かりましたから、もうお引き取りください」
「は~い、じゃあ、今度の日曜日に、翔太の荷物を受け取りに来ますので、できればまとめて、すぐに持っていけるようにしておいて欲しいんですけど。お願いできますかあ?」
「分かりました」
そう言ってドアを閉めた。すぐに鍵をしてチェーンをかける。
ドアスコープから覗くと反対側からミチルがこちらを見つめていた。
「きゃ!」
思わず両手で口を押さえる陽子。もう一度ゆっくりドアスコープを覗くと、もうミチルの姿はなかった。
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日曜日の朝までに、翔太の荷物をまとめて玄関に置いておいたが、意外に荷物は少なかった。
「マンションを解約して引っ越してきたって言うけど……男の一人暮らしってこんなものなのかしら」
ダンボールにたった2箱しかなかった。これなら宅配便で送り返せばよかった、などと考えていたが、約束したものは仕方がない。そう思ってミチルが来るのを待っていた。
そして、しばらくするとチャイムが鳴った。すぐにインターホンに出た。
「はい」
「宅配便の者です。荷物を受け取りに来ました」
「はい、今出ます」
ドアホンの受話器を置くと、ぼやく陽子。
「何よあの女、自分で取りに来るみたいなことを言って、宅配業者に頼んでるんじゃないのよ」
そして陽子は、ドアスコープも見ずに、ドアを開けた。
すると2人の男が玄関に押し入ってきた。
「な、何ですか、あなたたち!」
しかしすぐに口をハンカチで塞がれ、陽子は意識を失った。
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どれぐらい経ったのだろうか、窓の外はもう暗くなっていた。
陽子は洋服を着たままベッドで横になっていた。起き上がると頭が少しふらつく。
「あれ?私……」
朝、ミチルが来るのを待っていたのだが、その辺りから記憶がない。
玄関へ行ってみると翔太の荷物はなかった。
「あれ?」
玄関のドアは、鍵はかかっていなかった。慌てて鍵を閉める陽子。
何も覚えていないことに徐々に恐怖が込み上げてくる。
冷蔵庫から缶ビールを1本取り出して食卓に座る。その時テーブルの上の灰皿に目がいった。吸い殻が残されていた。
「え?なに?これ」
吸殻はセブンスターだった。翔太はメビウスを吸っていた。
そして、テーブルの上にUSBメモリーが1つ置かれているのが目に入る。
「……」
無言で部屋に戻りノートパソコンを持ってくると震える手で差し込み、中身を確認した。
パソコン画面に映る動画を見て固まる陽子。
そこには、意識を失った自分が2人の男に陵辱されている映像が映っていた。
陽子はその男たちの顔に見覚えがあった。街で翔太に助けられた時の、あの男たちだった。
男2人→翔太→ミチル→男2人
陽子の頭の中で、全てが繋がった。
「翔太は、最初からあの男たちとグルだった。あの優男の翔太が、あんな柄の悪い男たちから、私を助けるわけがないのに……」
「私に近づくためにあんな芝居をして……」
陽子の目から涙がこぼれ落ちた。
こんな動画がネットに公開されたら、私はもう生きていけない……。
私を助けてくれた時の翔太は、まさに正義の味方だった。私の作った料理を美味しそうに食べて褒めてくれた。あの時の笑顔も全部、嘘だったの?
翔太……優しい顔で私に近づき、私にありもしない幸せな未来を見せた男。
ミチル……この女は、あの男たち2人と完全にグルとしか考えられない。
そして私を弄んだ名前も知らない男2人。
陽子の目から、絶望と悔しさで涙が溢れていた。
翌日、陽子は会社を辞めた。そして家財道具を全て処分して姿を消した。
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