《完結》辱めを受けた女は復讐の狂気に人生をかける

ぜらちん黒糖

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第二章

⑱盗聴された本心

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ガチャリと玄関の鍵の開く音がした。

美知留が翔太に気がついて声をかける。

「お帰りなさい、翔太」

だがいつものように翔太は返事をしない。

「どうかしたの?」

美知留を無視したい気持ちに駆られたが、ぐっと我慢して、なんとか声を出す。

「何でもないよ」

「ズボン、破れてるじゃない」

美知留がズボンを触ろうとすると翔太が小さく怒鳴る。

「触るな」

「え?」

あまりに突然に、自分を拒否する翔太の言葉に驚く美知留。

翔太は部屋に入ると1人で着替え始めた。上着を畳の上に脱ぎ捨てズボンもそのままにした。下着姿のまま頭を抱えてうずくまる。

「あああっ!クソッ!」

部屋の入口で立ち止まり、翔太を見ている美知留が恐る恐る小さな声をかけた。

「会社で、何かあった?」

心配する美知留の声にハッとして我に返る翔太。

「あ、いや、ごめん、ちょっと、会社で嫌なことがあって、つい……」

すぐに畳の上に脱ぎ捨てられた上着とズボンをハンガーにかける美知留。

なんとなく、重苦しい雰囲気の中で夕食が始まった。

「この味噌汁、食べてみて、美味しいから」

翔太はお箸で具を摘んで口に入れる。

「それ、その里芋、純子さんに分けてもらったの」

「……」

(うまいけど、この里芋のせいで、あんなことになって……いや、どうせ遅かれ早かれ、ああ、なっていただろうが……)

突然、翔太が過去の話をし始める。

「美知留、どうして陽子さんにあんな酷いことをしたんだよ」

「え?」

その問いかけに思わず箸が止まる。

「あの時、俺の了解もなく、俺の荷物を陽子さんの家から持ち出した。それも、リュウジさんとケンを使って……。あの2人を使えば、想像できただろう?陽子さんがどうなるか?」

今頃なぜ、そんなことを翔太が言い出すのか分からなかったが、美知留はしらを切ることにした。

「陽子さんは、何かされたの?あの2人に」

「マジで言っているのか?」

思わず呆れたように美知留を見る翔太。

美知留はおおよそ察しはついていたが、それでも知らないふりを貫くことにした。

「あの人たちは一見、悪に見えるけど根はいい人たちよ?あの頃、あの人たち、お金に困っていたから仕事を与えてあげただけよ」

「それにしたって、女性1人の部屋にあの男たち2人を行かせるなんて、浅はかすぎるよ」

美知留が少しキレ出す。

「何よ、自分だって、あの2人を使って、あの女に取り入ったくせに」

「…生まれて初めての一目惚れだったんだよ。だからナンパしたけど断られて、それから彼女が帰り道を変えたのを知って……それでも諦めきれなくて、先輩たちに相談したら、一役買ってくれて、ただそれだけだ」

「だったらなぜ、あの人を大切にしなかったのよ。働けって文句言われて、それなのにキレて私の家に来た翔太が悪いんじゃないの!私が翔太のことが大好きなのを知っていて、私のところに来たあなたが悪いんじゃないの!」

「……」

翔太は、先ほど純子に詰め寄られ、ここでも美知留に言い込められて、どうにもこうにも、いたたまれなくなり、箸を置いて、部屋に戻った。翔太は服に着替えるなり、アパートを飛び出していった。

階下では、純子が椅子に座ってコーヒーを飲みながら、耳に装着していたイヤホンを外した。

翔太の襟首のところに盗聴器を仕掛けておいたのだ。

翔太が階段を駆け下りる靴音を聞きながらつぶやいた。

「やはり、美知留は全く反省していない」

純子は美知留と親しくなって、復讐心が少しだけ揺らぎ始めていたのだが、今の盗聴で美知留の本心を知り、予定通り復讐をすることにした。













    
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