1 / 7
①秘密クラブ「蜜の味」
しおりを挟む
ベッドの上で天井を見つめながら話をしている二人。
「ビーネ、私たちのこと、奥さんにはバレてないの?」
「ああ、全く問題ない。それより君の方は大丈夫なのか?旦那さん」
「私の方も問題ないわ」
「君の旦那さんも変わっているな」
「どこが?」
「君のように素敵な女性を妻にしながら、そんな妻がこんな夜中に、外出しているのに気にも止めないなんて」
「ふふふ、どんな夫婦にも秘密はあるものなのよ」
「そうかねえ、俺が旦那だったら君をこんな夜中に外には絶対出さないがな」
「まあ、嬉しいこと言ってくれるじゃない?だけどあなたの奥さんだっておかしいと思うわよ?」
「どこが?」
「だってこんないい男を夜一人で飲みに行かせるだなんて、私だったら無理ね。浮気されるんじゃないかと思って 絶対に外に出さないわ」
「ふっ、嬉しいことを言ってくれるじゃないか」
2人は愛し合い 、一つになり、そして自分の家に帰って行った。
護衛騎士のビーネは公爵令嬢オリオット様の護衛をしている。3人の騎士が3交代でオリオット様を守っている。
丸1日勤務すると丸2日、休日がある。ビーネは25歳、筋骨隆々の大男である。そして左手薬指には指輪がはまっている。
交代の騎士がやってきた。
「お疲れビーネ。問題はなかったか?」
「ああ、何もない。後は頼んだぞ、ピンストック」
そう言うとオリオット様に挨拶をして帰路に着いた。
家に帰ると下駄箱の上に左手薬指にはめた指輪を外す。
「さて一眠りするか」
そのままビーネはベッドに沈み込むように横になった。
ビーネが目を覚ますと外はもう薄暗くなっていた。
長い髪をうなじの辺りで紐で縛り、紺色のスーツに紺色の靴、シャツも紺色。
「さて出かけるか」
ビーネは今、秘密クラブ「蜜の味」に入っている。このクラブは既婚者しか入れない、デートクラブだ。
ビーネは独身だが、相手が人妻なら結婚を求めてきたりはしないだろうと、既婚者と偽ってこのクラブに入っている。
しかし今、ビーネは1人の女性に心を掴まれている。女性の名前はブルー。とても色気のある女性だ。年はビーネと同じぐらい。恐らく25歳ぐらいだろう。
結婚などしたいとは思ったことはなかったが、ブルーと出会ってから、この人とできることなら一緒に暮らしたいと強く思うようになっていた。
ただ相手には旦那も子供もいる。略奪婚などできるはずもない。
結婚はしたくない。だが女遊びはしたい。それでこのクラブに入ったのに、ビーネは今、ブルーに夢中になりかけていた。
「女将さん、それでは失礼いたします」
「メロン、気をつけて帰るのよ」
「はーい」
店の女の子メロンが出て行くと、女将のブルーは入り口のドアに鍵をかけた。
ブルーはこの小さな酒場の経営者である。休みは週に一度。その日は秘密クラブ「蜜の味」に通う日だ。その日が来るのが待ち遠しい。
ブルーもまた独身であった。ブルーは体の温もりを求めてこのクラブに入った。恋人なんていらない。時々私を抱いてくれる人がいればそれで構わない。そう思っていた。
だけど今、クラブで知り合ったビーネという男に夢中になりつつある。
今まで私に結婚しようと迫ったり、近づいてくる男たちは、ほとんどが私を紐にしようという男たちだった。
私1人に働かせて、自分は遊んで生きていこうとする男ばかりだった。
しかし秘密クラブ「蜜の味」はそういう紐になるような男は誰一人いない。
もうすでに男たちには妻がいるのだから。
きっとクラブにやってくる男たちは妻以外の女の体を、ただ求めているだけなんだろう。
ブルーは店のテーブル席に座って、1人酒を飲みながら、独り言を言う。
「私がもしもビーネに、私、離婚したからあなたと結婚したい、なんて言ったらあの人、どんな顔するんだろうな」
最初は体の温もりだけを求めて入ったクラブだったのに、なんだか今は心に隙間風が吹いているような寂しい気分になっていた。
「ビーネ、私たちのこと、奥さんにはバレてないの?」
「ああ、全く問題ない。それより君の方は大丈夫なのか?旦那さん」
「私の方も問題ないわ」
「君の旦那さんも変わっているな」
「どこが?」
「君のように素敵な女性を妻にしながら、そんな妻がこんな夜中に、外出しているのに気にも止めないなんて」
「ふふふ、どんな夫婦にも秘密はあるものなのよ」
「そうかねえ、俺が旦那だったら君をこんな夜中に外には絶対出さないがな」
「まあ、嬉しいこと言ってくれるじゃない?だけどあなたの奥さんだっておかしいと思うわよ?」
「どこが?」
「だってこんないい男を夜一人で飲みに行かせるだなんて、私だったら無理ね。浮気されるんじゃないかと思って 絶対に外に出さないわ」
「ふっ、嬉しいことを言ってくれるじゃないか」
2人は愛し合い 、一つになり、そして自分の家に帰って行った。
護衛騎士のビーネは公爵令嬢オリオット様の護衛をしている。3人の騎士が3交代でオリオット様を守っている。
丸1日勤務すると丸2日、休日がある。ビーネは25歳、筋骨隆々の大男である。そして左手薬指には指輪がはまっている。
交代の騎士がやってきた。
「お疲れビーネ。問題はなかったか?」
「ああ、何もない。後は頼んだぞ、ピンストック」
そう言うとオリオット様に挨拶をして帰路に着いた。
家に帰ると下駄箱の上に左手薬指にはめた指輪を外す。
「さて一眠りするか」
そのままビーネはベッドに沈み込むように横になった。
ビーネが目を覚ますと外はもう薄暗くなっていた。
長い髪をうなじの辺りで紐で縛り、紺色のスーツに紺色の靴、シャツも紺色。
「さて出かけるか」
ビーネは今、秘密クラブ「蜜の味」に入っている。このクラブは既婚者しか入れない、デートクラブだ。
ビーネは独身だが、相手が人妻なら結婚を求めてきたりはしないだろうと、既婚者と偽ってこのクラブに入っている。
しかし今、ビーネは1人の女性に心を掴まれている。女性の名前はブルー。とても色気のある女性だ。年はビーネと同じぐらい。恐らく25歳ぐらいだろう。
結婚などしたいとは思ったことはなかったが、ブルーと出会ってから、この人とできることなら一緒に暮らしたいと強く思うようになっていた。
ただ相手には旦那も子供もいる。略奪婚などできるはずもない。
結婚はしたくない。だが女遊びはしたい。それでこのクラブに入ったのに、ビーネは今、ブルーに夢中になりかけていた。
「女将さん、それでは失礼いたします」
「メロン、気をつけて帰るのよ」
「はーい」
店の女の子メロンが出て行くと、女将のブルーは入り口のドアに鍵をかけた。
ブルーはこの小さな酒場の経営者である。休みは週に一度。その日は秘密クラブ「蜜の味」に通う日だ。その日が来るのが待ち遠しい。
ブルーもまた独身であった。ブルーは体の温もりを求めてこのクラブに入った。恋人なんていらない。時々私を抱いてくれる人がいればそれで構わない。そう思っていた。
だけど今、クラブで知り合ったビーネという男に夢中になりつつある。
今まで私に結婚しようと迫ったり、近づいてくる男たちは、ほとんどが私を紐にしようという男たちだった。
私1人に働かせて、自分は遊んで生きていこうとする男ばかりだった。
しかし秘密クラブ「蜜の味」はそういう紐になるような男は誰一人いない。
もうすでに男たちには妻がいるのだから。
きっとクラブにやってくる男たちは妻以外の女の体を、ただ求めているだけなんだろう。
ブルーは店のテーブル席に座って、1人酒を飲みながら、独り言を言う。
「私がもしもビーネに、私、離婚したからあなたと結婚したい、なんて言ったらあの人、どんな顔するんだろうな」
最初は体の温もりだけを求めて入ったクラブだったのに、なんだか今は心に隙間風が吹いているような寂しい気分になっていた。
0
あなたにおすすめの小説
『君だから、恋を知った 』――冷徹殿下×天然令嬢のじれ甘ロマンス――
だって、これも愛なの。
恋愛
冷徹と呼ばれる殿下と、おっとり天然な令嬢。
恋をまだ知らない彼女は、ただ彼を「優しい人」と信じていた。
けれど殿下は――彼女が気になって、心配で、嫉妬して、もだもだが止まらない。
すれ違い、戸惑い、やがて気づく初めての恋心。
星空の下で結ばれる両想いから、正式な婚約、そして新婚の日常へ。
じれじれの甘やかしを、小さな出来事とともに。
七人の美形守護者と毒りんご 「社畜から転生したら、世界一美しいと謳われる毒見の白雪姫でした」
紅葉山参
恋愛
過労死した社畜OL、橘花莉子が目覚めると、そこは異世界の王宮。彼女は絶世の美貌を持つ王女スノーリアに転生していた。しかし、その体は継母である邪悪な女王の毒によって蝕まれていた。
転生と同時に覚醒したのは、毒の魔力を見抜く特殊能力。このままでは死ぬ! 毒殺を回避するため、彼女は女王の追手から逃れ、禁断の地「七つの塔」が立つ魔物の森へと逃げ込む。
そこで彼女が出会ったのは、童話の小人なんかじゃない。
七つの塔に住まうのは、国の裏の顔を持つ最強の魔力騎士団。全員が規格外の力と美しさを持つ七人の美形守護者(ガーディアン)だった!
冷静沈着なリーダー、熱情的な魔術師、孤高の弓使い、知的な書庫番、武骨な壁役、ミステリアスな情報屋……。
彼らはスノーリアを女王の手から徹底的に守護し、やがて彼女の無垢な魅力に溺れ、熱烈な愛を捧げ始める。
「姫様を傷つける者など、この世界には存在させない」
七人のイケメンたちによる超絶的な溺愛と、命懸けの守護が始まった。
しかし、嫉妬に狂った女王は、王国の若き王子と手を組み、あの毒りんごの罠を仕掛けてくる。
最強の逆ハーレムと、毒を恐れぬ白雪姫が、この世界をひっくり返す!
「ご安心を、姫。私たちは七人います。誰もあなたを、奪うことなどできはしない」
【完結済】春を迎えに~番という絆に導かれて~
廻野 久彩
恋愛
辺境の村から王都の星環教会へやってきた研修生アナベル・ウィンダーミア。
門で出会った王族直属騎士団副団長ルシアン・ヴァルセインと握手を交わした瞬間、二人の手首に金色の光が浮かび上がる。
それは"番"——神が定めた魂の半身の証。
物語の中でしか聞いたことのない奇跡的な出会いに胸を躍らせるアナベルだったが、ルシアンの口から告げられたのは冷酷な現実だった。
「俺には……すでに婚約者がいる」
その婚約者こそ、名門ルヴェリエ家の令嬢セレナ。国境の緊張が高まる中、彼女との政略結婚は王国の命運を左右する重要な政治的意味を持っていた。
番の衝動に身を焼かれながらも、決して越えてはならない一線を守ろうとするルシアン。
想い人を諦めきれずにいながら、彼の立場を理解しようと努めるアナベル。
そして、すべてを知りながらも優雅に微笑み続けるセレナ。
三人の心は複雑に絡み合い、それぞれが異なる痛みを抱えながら日々を過ごしていく。
政略と恋情、義務と本心、誠実さと衝動——
揺れ動く想いの果てに、それぞれが下す選択とは。
番という絆に翻弄されながらも、最後に自分自身の意志で道を選び取る三人の物語。
愛とは選ぶこと。
幸せとは、選んだ道を自分の足で歩くこと。
番の絆を軸に描かれる、大人のファンタジーロマンス。
全20話完結。
**【キーワード】**
番・運命の相手・政略結婚・三角関係・騎士・王都・ファンタジー・恋愛・完結済み・ハッピーエンド
記憶を無くした、悪役令嬢マリーの奇跡の愛
三色団子
恋愛
豪奢な天蓋付きベッドの中だった。薬品の匂いと、微かに薔薇の香りが混ざり合う、慣れない空間。
「……ここは?」
か細く漏れた声は、まるで他人のもののようだった。喉が渇いてたまらない。
顔を上げようとすると、ずきりとした痛みが後頭部を襲い、思わず呻く。その拍子に、自分の指先に視線が落ちた。驚くほどきめ細やかで、手入れの行き届いた指。まるで象牙細工のように完璧だが、酷く見覚えがない。
私は一体、誰なのだろう?
【完結】真面目系眼鏡女子は、軽薄騎士の求愛から逃げ出したい。
たまこ
恋愛
真面目が信条の眼鏡女子カレンは、昔からちょっかいを掛けてくる、軽薄な近衛騎士ウィリアムの事が大嫌い。いつも令嬢に囲まれているウィリアムを苦々しく思っていたのに、ウィリアムと一夜を共にしてしまい、嫌々ながら婚約を結ぶことに•••。
ウィリアムが仕える王太子や、カレンの友人である公爵令嬢を巻き込みながら、何故か求愛してくるウィリアムと、ウィリアムの真意が分からないカレン。追いかけっこラブストーリー!
下賜されまして ~戦場の餓鬼と呼ばれた軍人との甘い日々~
イシュタル
恋愛
王宮から突然嫁がされた18歳の少女・ソフィアは、冷たい風の吹く屋敷へと降り立つ。迎えたのは、無愛想で人嫌いな騎士爵グラッド・エルグレイム。金貨の袋を渡され「好きにしろ」と言われた彼女は、侍女も使用人もいない屋敷で孤独な生活を始める。
王宮での優雅な日々とは一転、自分の髪を切り、服を整え、料理を学びながら、ソフィアは少しずつ「夫人」としての自立を模索していく。だが、辻馬車での盗難事件や料理の失敗、そして過労による倒れ込みなど、試練は次々と彼女を襲う。
そんな中、無口なグラッドの態度にも少しずつ変化が現れ始める。謝罪とも言えない金貨の袋、静かな気遣い、そして彼女の倒れた姿に見せた焦り。距離のあった二人の間に、わずかな波紋が広がっていく。
これは、王宮の寵姫から孤独な夫人へと変わる少女が、自らの手で居場所を築いていく物語。冷たい屋敷に灯る、静かな希望の光。
⚠️本作はAIとの共同製作です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる