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②気持ちが揺れ始めるビーネ
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ビーネはあと少しで勤務が終わる。
今日はブルーに会える日だ。すっかりブルーと仲が良くなったビーネはお互いに来れる日を教え合っていた。
最初の頃、ビーネは行ける日はいつでも行っていた。しかし今は、ブルーにしか会いたくない。だからブルーが来ない日は秘密クラブには行っていない。
しかし交代でやってくる騎士がまだ来ない。
「何をやっている、ピンストック」
イライラしながらもオリオット様を護衛するビーネ。
外がもう薄暗くなりかけた頃にようやくピンストックが現れた。
「遅いぞ、ピンストック!」
「すまん、母が急に具合悪くなって」
「あ、そ、そうだったのか」
ピンストックが体の弱い母親と二人暮らしだったのを思い出したビーネが
「いや、気にするな。それじゃあ仕方がないじゃないか、うん、気にするなよ」
「ははは、ほんとに悪い。あ、あと、何か引き継ぎ事項でもあるか?」
「いや、ない」
ビーネは急いでその場を離れようとしたが立ち止まり、ピンストックの方を振り返ると
「おい、ピンストック、お袋さん、本当に大丈夫なんだろうな?」
「ああ、医者にも見てもらったし、薬も飲ませた。だから大丈夫だ」
「そうか、じゃまた、3日後に会おう」
そういうとビーネは急いで帰路についた。
家に帰ったビーネは寝るのはやめてこのまま秘密クラブへ行こうと思ったのだが、少しだけ仮眠を取ろうとベッドに横になる。
目が覚めるとすっかり外は暗くなっていた。
急いで出かける支度をして部屋を出るビーネ。
もうこんな時間ではブルーに出会えても、今日は一緒に過ごすことはできないだろう。
だけど一目でいい。顔が見たい。ブルーの顔が見たい。
秘密クラブの店の前にやっとたどり着いたビーネ。息を整え服の乱れを正し、髪の毛が後ろで束ねてないのに気づき慌てて紐でくくる。
ドアをノックしようとした時、向こうからドアが開いた。
「あ、ビーネ」
「ブルー、今帰るところなのか?」
「ええ、あなたを待っていたんだけど来なかったから帰ろうかなって」
「仕事が忙しくて来れなかったんだ」
「そう?本当は奥さんに引き止められてたんじゃないの?」
「あはは、まさか、あの、今からじゃダメかな、部屋へ行くの」
「いいわよ、じゃ一緒に行きましょう」
ブルーはビーネの腕にしがみつくとまた店の中に入って行った。
部屋に入るとすぐに2人は愛し合った。
ベッドでくつろぐ 二人。ビーネがふと思いついたことをブルーに聞いてみる。
「ブルー、もし俺が離婚したら君はどうする?」
「え?それは」
「俺が君に離婚してほしいと言ったらどうする?」
びっくりしてビーネの顔を見るブルー。
「ビーネ、それは私と結婚したいっていうこと?」
急に我に帰ったビーネが寂しそうに言う。
「君は、ご主人を愛しているんだろう?子供もいるって言っていたしな」
「あ」言葉に詰まるブルー。
(私、子供もいるって言ってたんだっけ)
「ごめん、今言ったことは忘れてくれ、俺も忘れるよ」
「ビーネ・・・」
2人は手をつないで子供の頃の話とか昔の話をしていたが、いつのまにかビーネが睡眠不足のためか、ぐっすりと眠り込んでしまう。
朝、秘密クラブの店員に起こされて目が覚めたビーネは急いで帰り支度をして部屋を出ようとした時、ハンカチがテーブルの上に置いてあるのに気がついた。
そっと手に取り匂いを嗅いでみる。
「あ、ブルーの匂いがする」
ビーネはハンカチをそっと胸ポケットに入れて呟く。
「ブルーが離婚してくれれば俺たち一緒になれるのに」
そう呟いて自分の頭を叩くビーネ。
〘 バカか俺は!そんなことになったらブルーの旦那さんと子供が悲しむことになるのに!〙
「人妻に本気で惚れるなんて、俺もどうかしているぜ」
そう言いながらビーネは部屋を出て行った。
今日はブルーに会える日だ。すっかりブルーと仲が良くなったビーネはお互いに来れる日を教え合っていた。
最初の頃、ビーネは行ける日はいつでも行っていた。しかし今は、ブルーにしか会いたくない。だからブルーが来ない日は秘密クラブには行っていない。
しかし交代でやってくる騎士がまだ来ない。
「何をやっている、ピンストック」
イライラしながらもオリオット様を護衛するビーネ。
外がもう薄暗くなりかけた頃にようやくピンストックが現れた。
「遅いぞ、ピンストック!」
「すまん、母が急に具合悪くなって」
「あ、そ、そうだったのか」
ピンストックが体の弱い母親と二人暮らしだったのを思い出したビーネが
「いや、気にするな。それじゃあ仕方がないじゃないか、うん、気にするなよ」
「ははは、ほんとに悪い。あ、あと、何か引き継ぎ事項でもあるか?」
「いや、ない」
ビーネは急いでその場を離れようとしたが立ち止まり、ピンストックの方を振り返ると
「おい、ピンストック、お袋さん、本当に大丈夫なんだろうな?」
「ああ、医者にも見てもらったし、薬も飲ませた。だから大丈夫だ」
「そうか、じゃまた、3日後に会おう」
そういうとビーネは急いで帰路についた。
家に帰ったビーネは寝るのはやめてこのまま秘密クラブへ行こうと思ったのだが、少しだけ仮眠を取ろうとベッドに横になる。
目が覚めるとすっかり外は暗くなっていた。
急いで出かける支度をして部屋を出るビーネ。
もうこんな時間ではブルーに出会えても、今日は一緒に過ごすことはできないだろう。
だけど一目でいい。顔が見たい。ブルーの顔が見たい。
秘密クラブの店の前にやっとたどり着いたビーネ。息を整え服の乱れを正し、髪の毛が後ろで束ねてないのに気づき慌てて紐でくくる。
ドアをノックしようとした時、向こうからドアが開いた。
「あ、ビーネ」
「ブルー、今帰るところなのか?」
「ええ、あなたを待っていたんだけど来なかったから帰ろうかなって」
「仕事が忙しくて来れなかったんだ」
「そう?本当は奥さんに引き止められてたんじゃないの?」
「あはは、まさか、あの、今からじゃダメかな、部屋へ行くの」
「いいわよ、じゃ一緒に行きましょう」
ブルーはビーネの腕にしがみつくとまた店の中に入って行った。
部屋に入るとすぐに2人は愛し合った。
ベッドでくつろぐ 二人。ビーネがふと思いついたことをブルーに聞いてみる。
「ブルー、もし俺が離婚したら君はどうする?」
「え?それは」
「俺が君に離婚してほしいと言ったらどうする?」
びっくりしてビーネの顔を見るブルー。
「ビーネ、それは私と結婚したいっていうこと?」
急に我に帰ったビーネが寂しそうに言う。
「君は、ご主人を愛しているんだろう?子供もいるって言っていたしな」
「あ」言葉に詰まるブルー。
(私、子供もいるって言ってたんだっけ)
「ごめん、今言ったことは忘れてくれ、俺も忘れるよ」
「ビーネ・・・」
2人は手をつないで子供の頃の話とか昔の話をしていたが、いつのまにかビーネが睡眠不足のためか、ぐっすりと眠り込んでしまう。
朝、秘密クラブの店員に起こされて目が覚めたビーネは急いで帰り支度をして部屋を出ようとした時、ハンカチがテーブルの上に置いてあるのに気がついた。
そっと手に取り匂いを嗅いでみる。
「あ、ブルーの匂いがする」
ビーネはハンカチをそっと胸ポケットに入れて呟く。
「ブルーが離婚してくれれば俺たち一緒になれるのに」
そう呟いて自分の頭を叩くビーネ。
〘 バカか俺は!そんなことになったらブルーの旦那さんと子供が悲しむことになるのに!〙
「人妻に本気で惚れるなんて、俺もどうかしているぜ」
そう言いながらビーネは部屋を出て行った。
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