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37話「ダンジョン攻略」

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それから数日。トモヤ達はすっかりSランク冒険者として、ギルドの台頭に成り上がっていた。四人はあっちへこっちへ次々と難しいクエストをこなし、四人ともSランク冒険者として恥じないレベルにまで成長していた。

「トモヤさーん!次はこれお願いします~!」

「ちょっと!次はこれでしょ!」

「おい、二人とも、次は私の番で…」

「落ち着けよ…一つずつやるから…」

そして今。Sランクの依頼をあらかた片付けてしまったトモヤ達は、他のメンバーの仕事を無くさない為の特別措置として「一週間にクエスト3つまで」とソニヤに命令されてしまった。その為、慎重にクエストを選ばなくてはならないのだが、その度に三人はいっつも喧嘩している。

「じゃあ、トモヤさんに決めてもらいましょ!」

「それが良いわね。トモヤ、どれが良いの?」

「私の番なのに…トモヤ、私を選んでくれ!」

「(えっ…ええ~…)」

非常に嬉しくない状況だが、一応これでもハーレム状態である。トモヤは迷いに迷った挙げ句、そっと手を伸ばして、クエストを掴もうとする。

────ウゥゥゥゥゥ…!

その時だった。聞きたくもないサイレン音が辺りに響き、招集の命令がトモヤ達に下された。急いでトモヤ達はソニヤの元へと急ぐが、何故かカツァル達の姿は無く、トモヤ達四人だけがそこに呼ばれていた。

「あれ?ソニヤさん、カツァル達は…?」

「彼らは別件でクエストに行っているのです。…皆さんに集まってもらったのは、あるダンジョンの攻略を行って欲しいからなのです。」

「ダンジョン?…確か、Sランク以上の冒険者だけが行ける、高難易度の依頼でしたっけ?」

ダンジョン。この世界にいくつか生成される、魔物達の巣窟とも呼べる場所。地下へと続く道が幾重にも続いており、大きなものでは何百階と奥まで、深い階層が存在している。ダンジョン自体は下級冒険者でも挑む事は出来るが、それは各ギルドが管理出来る地区までしか進む事が出来ない。それより奥の未踏の地を探索するのが、高ランク冒険者の役目だ。

「はい。その通りです。今回向かって欲しいのは、西の海に突如現れた海のダンジョン…数多もの船乗り達が、そこに向かっては行方不明になっているのです。その謎を、貴方達四人に解いて頂きたいのです。」

「なるほど…分かりました。お受けします。」

「そう来ると思っていました。…期待していますよ。」

────

『西海のダンジョン』

場所︰シジナ獄西南
内容︰ダンジョンの詮索 並びに深層の確認
報酬︰詮索具合に応じて変化

────

「海、海、海です~♪」

「んー、どれにしようかしら…」

「こ、こんなものを着るのか…?ううむ…」

トモヤを除く三人がやってきたのは、女性用の服屋。海に行くとなれば、当然買うのは水着だ。遊びじゃなくてダンジョンに行くんだから買わなくても良いだろというのは禁句だ。

「私はサイズ的にこれしか無いわね~…スフレちゃん、貴女の分、私も選んであげるわ。」

「え?べ、別に良いですよ、自分で選びますから…」

と、スフレは恥ずかしそうに横へと離れていく。というのも、まあ二人には格差があるからで。その真ん中辺りにいるイチゴが、何とも言えない感じで無言で選んでいた。

「遠慮しないで良いのよ。ほら、これなんてどうかしら?ぴったりだと思うわ。」

と、差し出したのはぺたぺたサイズの子供用。トレファ本人は親切心で選んでいるのだが、その圧倒的なボリュームを持ってして、絶壁の前にそれを突き付けるなど、もはや嫌味にしか見えない訳で。

「うがー!トレファさんのばかばかー!おっぱいおばけー!」

────ぽゆん!ぽゆん!

「あっ、ちょ、何するのよ~!」

スフレの必死の抵抗。トレファの豊かな胸を、思いくそ揉みしだく。その脂肪ちょっぴりよこせと、うりうりと必死で触りまくる。

「こーのーやーろー!」

「ひゃん!い、イチゴ…助けて~!」

「(すまぬなトレファ…私では止められぬ…)」

イチゴは、その微妙な立場を理解していたからか、止める事が出来なかったとか。

────

「ついに海か…三人とも、準備は良いか?」

「はい!バッチリですよ!」

「ええ。もちろんよ。」

「準備万端だ。」

三人の意気込みを聞いて、トモヤは安心したように笑う。これなら、どんなに難しいクエストでも大丈夫そうだ。四人はそれぞれの思いを胸に、ダンジョンへと向かって行く。
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