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66話 告白
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「ふふ、だから大丈夫なんです。貴方は怖がられていない。女装する必要は無いんですよ」
「……セラフィーナ様…」
専属メイドの横に、自分もぽすんと座る事にする。そのまま、アルヴェル子の頭にくっついてる可愛いブリムをすっぽ抜いて、手元に置く。
「さてさて、目的は果たせたんですし、専属騎士になる試験は合格ですね!」
「えっ!?い、良いのかよ…?」
「もちろんですよ。ルーチェさんがダメって言っても私が勝手に雇用します」
ふふん、と聖女の権力をデカデカと見せびらかす。魔力供与の日を生き残っただけあって、だいぶ自分に自信が持ててきているようだ。
「……けど、貴方を雇用する前に、ひとつお話しないといけない事があります」
「話?」
「……私、貴方に嘘をついてたんです」
「……嘘…?」
先程までの明るい表情とは打って変わって、静かな厳格な表情で彼の方を見つめる。その真剣な顔つきに、アルヴェルトは思わずゴクリと喉を鳴らす。
「…貴方を雇用するなら、私はこの嘘を貴方に告白しないといけません。…ただ…」
「俺が知ったら…困るのか…?」
「いえ…傷付いてしまうかもしれません。とても酷い…嘘ですから」
彼女の顔は、ますます深刻になっていく。もし、この話を聞けば、自分は深く傷付くかもしれない。だが、セラフィーナの真剣な話を、無下にする訳にはいかなかった。
「……話してくれ。セラフィーナ様」
【WARNING!WARNING!】
彼は真実をアルヴェルトに打ち明けた。そうして、しばらく静寂だけが辺りに響き渡っていた。カサカサと風に揺れる葉の音が、ようやく彼を現実へと引き戻した。
「……本当…なのか?」
「はい。…騙してしまって、ごめんなさい」
アルヴェルトは自身の胸中に凄まじい変化が起こっているのを感じ取っていた。けれど、それをどう文字に起こしたら良いか、自分でもわからなかった。これは、なんの感情だろうか。感情の坩堝の中で、色がどよどよとざわめいている。
「……悪い、セラフィーナ様。どうしても信じられねえよ…どっからどう見ても、女の子だろ?」
「…ふふ、ありがとうございます。けど、本当ですよ。見てみますか?」
「い、いや!そこまでしなくて良い!///…真剣に話してくれたんだ。信じるって」
「良かった…これで嘘偽り無く、貴方を雇えますね」
セラフィーナはこれで一安心、と言った感じだが、アルヴェルトの方はそうはいかない。思ったよりショックが大きかったのか、あちこち右往左往している。
「ちょ、ちょっと待てよ…セラフィーナ様が男って事は俺は男に恋したホモって事になっていや待てよセラフィーナ様はどう見ても女の子だしホモでは無いのかもしれないいやでも……」
「あ、アルヴェルトさん?」
「あーもう!訳わかんねえ!」
うがー、と頭を掻きむしってから、落ち着くために深呼吸を数回スーハー。落ち着いてきたところで、不安そうに見つめるセラフィーナの方に向かってきた。
「…別にセラフィーナ様が男でも俺は構わねえ!俺はアンタが好きだから!」
「ふぇっ!?///」
ぼふん。と今度はセラフィーナの頭から湯気が爆発する。もうもうと立ちこめる煙の中で、セラフィーナはまた例の妄想お約束ワールドにやってきた。
『俺、男でもイけるタイプなんだ…』
『ええっ!?そ、そんな…!?///』
『むしろ、セラフィーナ様が男って聞いて余計に燃えてきたぜ…』
『ちょ、ちょっと待ってください、こんなところで押し倒して…どうする気ですか…?///』
『どうするって…決まってんだろ?お前を本当の女の子にしてやるよ…///』
『ふぇっ!?…だ、だめえええええっ!///』
ぼん。おかえりなさいませ。オーバーヒート寸前のセラフィーナの前で、アルヴェルトも顔を赤くしていた。好きつ好かれつの関係である事は互いに承知しているが、面と向かって言うのはやっぱり恥ずかしいものである。
「…え、えっと…ありがとうございます…その、戻りましょうか…///」
「ああ…///」
というわけで、アルヴェル子達は見学を済ませて屋敷へと戻るのだった。女の子気分を存分に味わったアルヴェル子は、もう二度とゴメンだと感想を漏らしたとかなんとか。
「……セラフィーナ様…」
専属メイドの横に、自分もぽすんと座る事にする。そのまま、アルヴェル子の頭にくっついてる可愛いブリムをすっぽ抜いて、手元に置く。
「さてさて、目的は果たせたんですし、専属騎士になる試験は合格ですね!」
「えっ!?い、良いのかよ…?」
「もちろんですよ。ルーチェさんがダメって言っても私が勝手に雇用します」
ふふん、と聖女の権力をデカデカと見せびらかす。魔力供与の日を生き残っただけあって、だいぶ自分に自信が持ててきているようだ。
「……けど、貴方を雇用する前に、ひとつお話しないといけない事があります」
「話?」
「……私、貴方に嘘をついてたんです」
「……嘘…?」
先程までの明るい表情とは打って変わって、静かな厳格な表情で彼の方を見つめる。その真剣な顔つきに、アルヴェルトは思わずゴクリと喉を鳴らす。
「…貴方を雇用するなら、私はこの嘘を貴方に告白しないといけません。…ただ…」
「俺が知ったら…困るのか…?」
「いえ…傷付いてしまうかもしれません。とても酷い…嘘ですから」
彼女の顔は、ますます深刻になっていく。もし、この話を聞けば、自分は深く傷付くかもしれない。だが、セラフィーナの真剣な話を、無下にする訳にはいかなかった。
「……話してくれ。セラフィーナ様」
【WARNING!WARNING!】
彼は真実をアルヴェルトに打ち明けた。そうして、しばらく静寂だけが辺りに響き渡っていた。カサカサと風に揺れる葉の音が、ようやく彼を現実へと引き戻した。
「……本当…なのか?」
「はい。…騙してしまって、ごめんなさい」
アルヴェルトは自身の胸中に凄まじい変化が起こっているのを感じ取っていた。けれど、それをどう文字に起こしたら良いか、自分でもわからなかった。これは、なんの感情だろうか。感情の坩堝の中で、色がどよどよとざわめいている。
「……悪い、セラフィーナ様。どうしても信じられねえよ…どっからどう見ても、女の子だろ?」
「…ふふ、ありがとうございます。けど、本当ですよ。見てみますか?」
「い、いや!そこまでしなくて良い!///…真剣に話してくれたんだ。信じるって」
「良かった…これで嘘偽り無く、貴方を雇えますね」
セラフィーナはこれで一安心、と言った感じだが、アルヴェルトの方はそうはいかない。思ったよりショックが大きかったのか、あちこち右往左往している。
「ちょ、ちょっと待てよ…セラフィーナ様が男って事は俺は男に恋したホモって事になっていや待てよセラフィーナ様はどう見ても女の子だしホモでは無いのかもしれないいやでも……」
「あ、アルヴェルトさん?」
「あーもう!訳わかんねえ!」
うがー、と頭を掻きむしってから、落ち着くために深呼吸を数回スーハー。落ち着いてきたところで、不安そうに見つめるセラフィーナの方に向かってきた。
「…別にセラフィーナ様が男でも俺は構わねえ!俺はアンタが好きだから!」
「ふぇっ!?///」
ぼふん。と今度はセラフィーナの頭から湯気が爆発する。もうもうと立ちこめる煙の中で、セラフィーナはまた例の妄想お約束ワールドにやってきた。
『俺、男でもイけるタイプなんだ…』
『ええっ!?そ、そんな…!?///』
『むしろ、セラフィーナ様が男って聞いて余計に燃えてきたぜ…』
『ちょ、ちょっと待ってください、こんなところで押し倒して…どうする気ですか…?///』
『どうするって…決まってんだろ?お前を本当の女の子にしてやるよ…///』
『ふぇっ!?…だ、だめえええええっ!///』
ぼん。おかえりなさいませ。オーバーヒート寸前のセラフィーナの前で、アルヴェルトも顔を赤くしていた。好きつ好かれつの関係である事は互いに承知しているが、面と向かって言うのはやっぱり恥ずかしいものである。
「…え、えっと…ありがとうございます…その、戻りましょうか…///」
「ああ…///」
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