69 / 92
67話 これが好き
しおりを挟む
午後は自由時間。アルヴェル子ちゃんには元に戻ってもらって、セラフィーナは一旦ルーチェの元にやってきていた。チャールズの相手をしていた彼女に、先程起こったことを洗いざらい全部ぶちまけた。
「……えっと、それマジ?」
「マジです」
「……なにしてんのよおおおおおっ!?」
そりゃ、まあ、この反応である。アルヴェルトを雇用するなら嘘はつけない、というのは確かに正しいのだが、そんな簡単にぶっちゃけられるとは思わなかったのである。
「ま、まあまあ、良いじゃないですか、誰にも公言しないよう伝えておきましたし」
「それでもよ!アルヴェルト君が信用出来ない訳じゃないけど…どこで情報を漏らすか分からないのよ!」
「大丈夫ですよ。アルヴェルトさん、私になんかあったら俺も死ぬーって言ってましたし」
「なにそのメンヘラっぷり!?…ま、まあ、私も彼は信用してます。彼に打ち明けるくらいなら良いでしょう」
コホン。と軽く咳払いして、ルーチェは落ち着きを取り戻す。それから小声で他に誰も聞いてないでしょうね、と尋ねた。もちろん誰も聞いていない。
「ならよろしいですが。午後は何か、予定がおありですか?」
「はい。図書館で魔術について学ぼうかと」
「畏まりました。用があれば、私もそちらに赴きます」
そんな訳で、セラフィーナは図書館の中へ。魔術の本をパワータイプの男性のように無造作に引こうとして、慌てて丁寧に取り直す。
「…どうしよう…参っちゃったなぁ…///」
セラフィーナは困っていた。魔術の本を見てこそいるが、内容は全く入っていない。彼女が思い浮かべているのは、先程のアルヴェルトの台詞。
『セラフィーナ様が男でも構わねえ!俺はアンタが好きだから!』
「…嘘でしょー!///」
机に突っ伏して、足をバタバタさせる。男であると伝えたら、きっと幻滅されると思っていた。けど彼は、そこまで含めて自分が好きだと言い放ったのだ。もう意識しない訳にはいかないだろう。
「これが好き…って事なのかな…///」
こうして一人、甘々しい恋の世界に入り浸ったり、妄想に片足突っ込んでしまって慌てて出てきたりと、大忙しなセラフィーナなのであった。
「…私が追求するなら、やっぱりこれですかね…」
ホットココアを飲みながら、壁に貼り付けた書類を眺める探偵。ほぅ、とため息のような吐息を吹いてから、書類を幾つかピッピっとピックアップする。そこには、セラフィーナの過去を示す書類が残っていた。
「ジョット・バルハート。三年前、セラフィーナ様がこの国に引っ越して来たのとほぼ同時に失踪している。もし、彼がセラフィーナ様だと言うなら…」
「私の仮説は正しいものになりますね。もう少し情報を集めてみますか」
セラフィーナが恋にうつつを抜かしている間にも、探偵は着々と彼女を追い詰めるための証拠を集めていた。
「…しかし、他の国に行ったと言われると情報集めも難しいですね…」
「しかも冒険者になった…ギルドは市立と私立の二つがありますからね…私立のギルドに紛れられたら、居場所を特定するのすら難しい……」
参ったなー、と机に突っ伏して頭を指でトントンする。ここはまだ、文明がそこまで発達していない世界。証拠ひとつを突き止めるのも大苦労なのである。
だからこそ、セラフィーナの女装は誰にもバレずに続いているとも言える。これまで何人かが疑問を抱いた事はあるだろうが、確かめに行くほどの余裕が無いというのが実態だ。
「考えてても仕方ない!私が真実を突き止めないと!さあ、調査に行くぞー!」
となれば、やるべき事は一つ。今この国でジョットを知っている人物から話を聞き出すことのみ。少しでも情報を集めて、セラフィーナがジョットである事に近付けて行くしか他に無い。
「絶対突き止めますよ、セラフィーナ様!」
「……えっと、それマジ?」
「マジです」
「……なにしてんのよおおおおおっ!?」
そりゃ、まあ、この反応である。アルヴェルトを雇用するなら嘘はつけない、というのは確かに正しいのだが、そんな簡単にぶっちゃけられるとは思わなかったのである。
「ま、まあまあ、良いじゃないですか、誰にも公言しないよう伝えておきましたし」
「それでもよ!アルヴェルト君が信用出来ない訳じゃないけど…どこで情報を漏らすか分からないのよ!」
「大丈夫ですよ。アルヴェルトさん、私になんかあったら俺も死ぬーって言ってましたし」
「なにそのメンヘラっぷり!?…ま、まあ、私も彼は信用してます。彼に打ち明けるくらいなら良いでしょう」
コホン。と軽く咳払いして、ルーチェは落ち着きを取り戻す。それから小声で他に誰も聞いてないでしょうね、と尋ねた。もちろん誰も聞いていない。
「ならよろしいですが。午後は何か、予定がおありですか?」
「はい。図書館で魔術について学ぼうかと」
「畏まりました。用があれば、私もそちらに赴きます」
そんな訳で、セラフィーナは図書館の中へ。魔術の本をパワータイプの男性のように無造作に引こうとして、慌てて丁寧に取り直す。
「…どうしよう…参っちゃったなぁ…///」
セラフィーナは困っていた。魔術の本を見てこそいるが、内容は全く入っていない。彼女が思い浮かべているのは、先程のアルヴェルトの台詞。
『セラフィーナ様が男でも構わねえ!俺はアンタが好きだから!』
「…嘘でしょー!///」
机に突っ伏して、足をバタバタさせる。男であると伝えたら、きっと幻滅されると思っていた。けど彼は、そこまで含めて自分が好きだと言い放ったのだ。もう意識しない訳にはいかないだろう。
「これが好き…って事なのかな…///」
こうして一人、甘々しい恋の世界に入り浸ったり、妄想に片足突っ込んでしまって慌てて出てきたりと、大忙しなセラフィーナなのであった。
「…私が追求するなら、やっぱりこれですかね…」
ホットココアを飲みながら、壁に貼り付けた書類を眺める探偵。ほぅ、とため息のような吐息を吹いてから、書類を幾つかピッピっとピックアップする。そこには、セラフィーナの過去を示す書類が残っていた。
「ジョット・バルハート。三年前、セラフィーナ様がこの国に引っ越して来たのとほぼ同時に失踪している。もし、彼がセラフィーナ様だと言うなら…」
「私の仮説は正しいものになりますね。もう少し情報を集めてみますか」
セラフィーナが恋にうつつを抜かしている間にも、探偵は着々と彼女を追い詰めるための証拠を集めていた。
「…しかし、他の国に行ったと言われると情報集めも難しいですね…」
「しかも冒険者になった…ギルドは市立と私立の二つがありますからね…私立のギルドに紛れられたら、居場所を特定するのすら難しい……」
参ったなー、と机に突っ伏して頭を指でトントンする。ここはまだ、文明がそこまで発達していない世界。証拠ひとつを突き止めるのも大苦労なのである。
だからこそ、セラフィーナの女装は誰にもバレずに続いているとも言える。これまで何人かが疑問を抱いた事はあるだろうが、確かめに行くほどの余裕が無いというのが実態だ。
「考えてても仕方ない!私が真実を突き止めないと!さあ、調査に行くぞー!」
となれば、やるべき事は一つ。今この国でジョットを知っている人物から話を聞き出すことのみ。少しでも情報を集めて、セラフィーナがジョットである事に近付けて行くしか他に無い。
「絶対突き止めますよ、セラフィーナ様!」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
狙って追放された創聖魔法使いは異世界を謳歌する
マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーから追放される~異世界転生前の記憶が戻ったのにこのままいいように使われてたまるか!
【第15回ファンタジー小説大賞の爽快バトル賞を受賞しました】
ここは異世界エールドラド。その中の国家の1つ⋯⋯グランドダイン帝国の首都シュバルツバイン。
主人公リックはグランドダイン帝国子爵家の次男であり、回復、支援を主とする補助魔法の使い手で勇者パーティーの一員だった。
そんな中グランドダイン帝国の第二皇子で勇者のハインツに公衆の面前で宣言される。
「リック⋯⋯お前は勇者パーティーから追放する」
その言葉にリックは絶望し地面に膝を着く。
「もう2度と俺達の前に現れるな」
そう言って勇者パーティーはリックの前から去っていった。
それを見ていた周囲の人達もリックに声をかけるわけでもなく、1人2人と消えていく。
そしてこの場に誰もいなくなった時リックは⋯⋯笑っていた。
「記憶が戻った今、あんなワガママ皇子には従っていられない。俺はこれからこの異世界を謳歌するぞ」
そう⋯⋯リックは以前生きていた前世の記憶があり、女神の力で異世界転生した者だった。
これは狙って勇者パーティーから追放され、前世の記憶と女神から貰った力を使って無双するリックのドタバタハーレム物語である。
*他サイトにも掲載しています。
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる