そおしやるげゑむ美術館

日比谷ナオキ

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愚者の行く末

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それから、私はあの彫刻館に寄る事は無くなった。相変わらず彫刻館は活気に満ちているが、今の私にはもはやどうでも良かった。あれは馬鹿が行くものなのだ。私も、その馬鹿の一人ではあったが。あれに寄ったところで、得るものは何も無い。ただ一つ、あの彫刻に感謝するとすれば、愚かな自分に忠告を行ってくれた妻、現実に生きる者の大切さを教えてくれた事だろう。虚像に身を焦がした所で何も得られはしない。そう教えてくれた妻に感謝しながら、私はその道を通り過ぎるのだった。

それから数週間経ったある日の事。遠くへと仕事へ出かけていた私に、ある報せが届いた。仕事の合間に読んだ新聞に、あの彫刻館の事が書かれていたのだ。しばらくの間見ていなかったので、私はすっかり記憶から忘れてしまっていた。それを読み進めると、奇天烈な事が新聞に書かれていた。

なんと、あれだけの栄華を極めていた彫刻館は経営難に陥り、一夜の内に数多の虚像と共にその姿を消し、消え失せてしまったのだと言う。なんとも不思議な話だと思うと同時に、あの虚像掘りに精を出していた人々がどうなったのか気になった。大方、気狂いして瘋癲ふうてん病にでもかかっているのだろうが。そう言えば、コートにしまったカーネーションの花はどうなっているだろうか。今頃、妻が確かめている頃だろうか。

いずれにしても、私は今こうして現実に生きている事が何よりも大事な事だと知り、虚像に沈まずに生きていける事に感謝した。それを支えてくれた妻に感謝して、私は再び仕事に打ち込んだ。

今日の空は、見事な秋晴れだ。
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