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1、突然の土下座…なんで?
しおりを挟む三村祐樹は困惑していた。
ここは彼の一人暮らしのマンションのリビングである。
目の前の男は大きな図体を小さくして・・・いや、土下座をして、こちらに懇願をしている。
ソファーに座り脚を組んでそれを見下ろしながら、祐樹は何度目になるかわからないため息をついた。
先ほどから土下座をしている男は、クラスメートの林田倫太郎である。
バスケ部で活躍する彼は、その長身を縮こめながらも、上目遣いで祐樹の様子を伺っている。
「・・・それで?竹内を好きになったのはわかったけど、なんで俺のとこにくんの」
この男は、同じクラスメートの竹内真に恋をしている。
彼らの高校は男子校である。
竹内真は素直な性格が誰からも好かれる少年だ。少し小柄だが男にしては可愛い顔で、くるくると変わる表情が魅力的だと学内でも人気があった。
その彼に告白し、先日お友達からと言う条件でお付き合いを承諾してもらえたらしい。
それを聞いた祐樹は、お付き合いじゃなくて友達になっただけだろうと突っ込みたくなったが、舞い上がっている倫太郎に水を差すのも悪いかと口をつぐんだ。
そんな祐樹の内心も知らず、小一時間惚気を続けた後の、この突然の土下座だ。
話の脈絡の無さに祐樹は困惑する。
「頼むよ、お前にしか頼めないんだって」
「何がだ」
強引に話を進めるわりに、何がしたいかを言わない倫太郎に祐樹がイライラした様子を隠さない。
「・・・俺、女とはそれなりに経験があるんだけど、男とはないんだよ」
はっきり言えと苛立つ祐樹に、言いづらそうに倫太郎が口を開く。
「・・・それで?」
男と恋愛をしたいが、倫太郎は元々ゲイではなく男性との経験がなかった。
性勉強のためと割り切って、ゲイビデオを見てはみたが興奮しない。尻の穴に指を入れてみろと言われても、どこがいいのかわからなかった。
そこまで聞いて、祐樹がえ?と言葉を遮った。
「ちょっと確認するけど、お前どっちなの」
「どっちって・・・」
「だから、タチかネコってことだよ。男役と女役」
このでかいイケメンがタチだと思って話を聞いていた祐樹は、まさか逆だったかと身を乗り出した。
「いや、まだ真とはそういうことしたことないんだけど・・・する時は俺がしたいと思ってるよ」
「あー、びっくりした。だよな、竹内がタチとか衝撃すぎるわ」
あの小動物のようなクラスメートは祐樹の好みではないが、世間では十分美少年で通る。長身で男らしい容貌の倫太郎とはお似合いだ。
「もうすぐ、真が俺の家に泊まりに来るんだけど・・・かっこ悪い所見せたくないだろ」
要約すると、男同士のセックスの仕方を教えてくれと言うことだった。
(てか、お友達からなんだろ。まだ付き合ってないんじゃねぇのか、この2人)
気が早い倫太郎に、内心突っ込みながら呆れる。まあ、男なら仕方ない。
言いにくそうにしていた理由は理解したが、馬鹿にしたような表情で祐樹は倫太郎を見下ろした。
「お前、それでろくに喋ったこともない俺に声かけてきた訳?」
祐樹は学校で自身がゲイだとは隠していない。祐樹の好みは年上の美人である。余裕のあるサラリーマンのスーツを脱がして乱れさせるのが好きで、付き合うのは大抵余裕のある社会人ばかりだ。
自身の性癖をオープンにしている彼は、学校では放課後に車で迎えに来る恋人のことで揶揄われり、心ない中傷を受けたりしていたが、たまに男から告白されることもあった。
しかし、こんな相談を受けることは初めてである。
「いきなりこんなこと頼んで悪いと思ってるんだけど、他に聞ける奴もいなくて」
気が向いたらアプリで男を探す遊び人の自分と違って、恋愛経験は多いものの、倫太郎は根が真面目な男だ。
お友達から、と始めたお付き合いは未だプラトニックなものだった。
どうにかして一歩進みたい倫太郎は、苦肉の策で思い切って祐樹に声をかけてきたらしい。
「でも俺、基本タチだから抱かれるやつの事はよくわかんないんだけど」
そう前置きして、とりあえず手順を教えてやると言うと、倫太郎はほっとしたように肩の力を抜いた。
そんな様子に悪戯心を刺激され、祐樹はソファから立ち上がる。
「とりあえず、フェラからな。いろいろ教えて欲しけりゃ・・・こっち座れ」
にいっと笑い、有無を言わせぬよう凛太郎の両肩に手をかけた。
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