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「史郎、やめ……」
身悶える白い美獣へ、飢えた野獣が牙を剥こうとしたところ――
――――コンコン!
「会長、失礼します。こっちの若いもんが、話があるという事で」
と、こちらの返事も待たずに、ドアがガチャリと開いた。
ホッとしたように身を起こす聖にチッと舌打ちをして、史郎は、入室してきた部下へ振り向きざまに怒声を上げる。
「なんだ! ヤツを連れて来たのか!! 」
「し、失礼しますっ組長!! じゃない、会長! 自分、鈴置千景ってモンです。ちと厄介なことになってまして、取り急ぎ報告に上がらせて頂きました! 」
と、取次の舎弟の陰から転び出るように、作業服を着たガタイのいい若者が顔を出した。
作業服の胸部には、『ブルー・クリーンハウス』という社名のロゴが入っている。それは史郎が、一夏へ与えた会社の一つだった。
件の『クウガ』という男がその清掃会社で働いており、今回、聖の息子へ暴行した張本人である。
史郎は、そのクウガをここへ連れてこいと厳命を下したのだが。
「見つけたのか? 」
ギロリと睨み付けると、鈴置はビクリとなって、下を向いて答えた。
「い、いいえ――それが。なぜか警察もウロついていて、こっちは自由に動けないんです。それに、坊ちゃん……いえ、社長のご友人や舎弟が妨害してきて、思うように捜索出来ない状況でして」
「なに? 」
「せめて、社長か警察か、どちらかが引っ込んでもらえると助かるんですが……」
一夏は、クウガの口から自分の関与を証言されるのを警戒し、誰より先にその身柄を押さえようと躍起になっていた。
そして鈴置は、今回のことは自分の監督不行き届きで起こった事件ではなく、あくまで全責任は一夏にこそあるのだとクウガに証言させたくて、血眼になって捜していた。
互いに、自分の『無実』を、先に史郎に対して証明しなければ――――
身悶える白い美獣へ、飢えた野獣が牙を剥こうとしたところ――
――――コンコン!
「会長、失礼します。こっちの若いもんが、話があるという事で」
と、こちらの返事も待たずに、ドアがガチャリと開いた。
ホッとしたように身を起こす聖にチッと舌打ちをして、史郎は、入室してきた部下へ振り向きざまに怒声を上げる。
「なんだ! ヤツを連れて来たのか!! 」
「し、失礼しますっ組長!! じゃない、会長! 自分、鈴置千景ってモンです。ちと厄介なことになってまして、取り急ぎ報告に上がらせて頂きました! 」
と、取次の舎弟の陰から転び出るように、作業服を着たガタイのいい若者が顔を出した。
作業服の胸部には、『ブルー・クリーンハウス』という社名のロゴが入っている。それは史郎が、一夏へ与えた会社の一つだった。
件の『クウガ』という男がその清掃会社で働いており、今回、聖の息子へ暴行した張本人である。
史郎は、そのクウガをここへ連れてこいと厳命を下したのだが。
「見つけたのか? 」
ギロリと睨み付けると、鈴置はビクリとなって、下を向いて答えた。
「い、いいえ――それが。なぜか警察もウロついていて、こっちは自由に動けないんです。それに、坊ちゃん……いえ、社長のご友人や舎弟が妨害してきて、思うように捜索出来ない状況でして」
「なに? 」
「せめて、社長か警察か、どちらかが引っ込んでもらえると助かるんですが……」
一夏は、クウガの口から自分の関与を証言されるのを警戒し、誰より先にその身柄を押さえようと躍起になっていた。
そして鈴置は、今回のことは自分の監督不行き届きで起こった事件ではなく、あくまで全責任は一夏にこそあるのだとクウガに証言させたくて、血眼になって捜していた。
互いに、自分の『無実』を、先に史郎に対して証明しなければ――――
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