99 / 101
最終章
7
しおりを挟む
少し苦いものを感じ、ユウはぶっきら棒に言い捨てた。
これに、零はニヤリと笑って答える。
「でも、恋愛経験は、ユウさんよりオレの方が絶対多いですよ? オレは昔から体も大きかったので、かなりモテました。五歳からモデルやっていましたから、業界の先輩を始め、お姉さん達からも常にお誘いは多かったんです。おかげで、ユウさんがおっしゃる通りオレはまだ若いですが、体だけの関係になった相手はそれなりに多いんですよ?」
「な、なんだって!?」
ギョッとするユウに微笑みかけ、零は素直な思いを伝える。
「ですが、正真正銘、初恋はあなたです」
「え……」
「今までオレは、興味本位でしか人と付き合った事がなかった。生まれて初めて、心から欲しいと思ったのはユウさんだけです。こうして告白したのは、真実あなただけなんです。この思いは一生変わらないと誓いますよ」
――――すごいプロポーズだ。
ユウは根負けして、とうとう吹き出してしまった。
これからどうなるかは正直言って分からないが、少なくとも、この十六歳のマセた男は、生意気に背伸びをしながら懲りずにユウを口説くのだろう。
何度断っても、それは聞こえないフリをしながら。
そう思うと、なんだか可愛らしく思えてしまう。
大人の余裕で、ひらりひらりと蝶のように躱してやってもいいし、それこそ大人の本気でぶつかってやるのもいいかもしれない。
だが、今しばらくは……その恋心を焦らして掻い潜って、簡単に落ちてなどやるものか。
たとえヒネクレモノと言われようと、こんな自分が好きになったというのなら、それこそ海の底まで追いかけて来い!
ずっと、物心ついた頃から人が怖くて壁を作っていたが、それも全部一気に吹き飛んだ気がする。
霧が晴れ、目の前が何もかもがクリアに感じる。
「ハハハ……いいよ……お前、思ったよりもずっと生意気で、可愛いヤツだったんだな」
「?」
不思議そうな顔になる零に、ユウは燦然と笑ったのであった。
これに、零はニヤリと笑って答える。
「でも、恋愛経験は、ユウさんよりオレの方が絶対多いですよ? オレは昔から体も大きかったので、かなりモテました。五歳からモデルやっていましたから、業界の先輩を始め、お姉さん達からも常にお誘いは多かったんです。おかげで、ユウさんがおっしゃる通りオレはまだ若いですが、体だけの関係になった相手はそれなりに多いんですよ?」
「な、なんだって!?」
ギョッとするユウに微笑みかけ、零は素直な思いを伝える。
「ですが、正真正銘、初恋はあなたです」
「え……」
「今までオレは、興味本位でしか人と付き合った事がなかった。生まれて初めて、心から欲しいと思ったのはユウさんだけです。こうして告白したのは、真実あなただけなんです。この思いは一生変わらないと誓いますよ」
――――すごいプロポーズだ。
ユウは根負けして、とうとう吹き出してしまった。
これからどうなるかは正直言って分からないが、少なくとも、この十六歳のマセた男は、生意気に背伸びをしながら懲りずにユウを口説くのだろう。
何度断っても、それは聞こえないフリをしながら。
そう思うと、なんだか可愛らしく思えてしまう。
大人の余裕で、ひらりひらりと蝶のように躱してやってもいいし、それこそ大人の本気でぶつかってやるのもいいかもしれない。
だが、今しばらくは……その恋心を焦らして掻い潜って、簡単に落ちてなどやるものか。
たとえヒネクレモノと言われようと、こんな自分が好きになったというのなら、それこそ海の底まで追いかけて来い!
ずっと、物心ついた頃から人が怖くて壁を作っていたが、それも全部一気に吹き飛んだ気がする。
霧が晴れ、目の前が何もかもがクリアに感じる。
「ハハハ……いいよ……お前、思ったよりもずっと生意気で、可愛いヤツだったんだな」
「?」
不思議そうな顔になる零に、ユウは燦然と笑ったのであった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
21
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる