彼が恋した華の名は:4

亜衣藍

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最終章

最終章-13

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 だが、良い事ばかりでは無かった。

 聖と同時期に多生が面倒を見ていた咲夜という青年の方は、じつに悲惨な末路を辿っていた事を知った。

 咲夜は、日本人の父とフィリピン人の母との間に産まれた子供だった。幼少期はずっとフィリピンで過ごしたが、その後、母にくっ付いて日本へと来たらしい。
 咲夜は、日本語を話すのが苦手で、いつもたどたどしい日本語を喋ってはいじられて・・・・・笑われていた。

 笑う方は気にも留めないだろうが、笑われる方は堪ったものではない。
 その気持ちは、よく分かった。

 何故なら多生も、咲夜と同じような身の上であったからだ。

 だから多生は、咲夜に対する時は、苦手な日本語ではなく全て英語で話しかけた。
 日本語よりも英語の方が得意な多生にシンパシーを感じた咲夜は、殊更多生に懐いたようだった。
 だが咲夜は、自分に好意を向けてくる相手であれば、誰にもなびくような青年だったので、彼が多生に寄せる好意も『その他大勢』に対するものと同じだと……そう、多生は思っていたのだが。

 しかし咲夜は、本気だったらしい。
 姿を消した多生を捜し回って、やがて昨夜は破滅していったという。

 その事実を知り、多生は言いようのない罪悪感に襲われた。

 咲夜の死には、関川という外道が深く係わっていたらしいという情報を得て、多生はその関川について調べ始めた。
 ツテも資金も乏しく、命の灯も徐々に消えゆく中、多生に出来る事は限られていたが、それでも調べられるだけは調べ上げた。

――――そうして、ゾッとするような事実を知ってしまう。

 なんと関川は、ジュピタープロダクションを嵌めた上に、社長の御堂聖と反社青菱史郎との関わり合いをネタに雁字搦めに縛り上げ、聖から全てを搾り取ろうと策略を練っているらしいという事実を。

 相手は、関東最大の指定暴力団だ。
 まさかそんな大それた事をと思ったが、関川には勝算があるらしい。

 日本を離れていた二十年の間に、ずいぶんと世情は様変わりした。
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