ナラズモノ

亜衣藍

文字の大きさ
19 / 102
5

5-1(畠山ユウの記憶)

しおりを挟む
 お前の母さんはお前のせいで不幸になってしまった。

 札付きの不良だったお前の父親のせいで、大きく道を踏み外したんだ。

 お前は生まれて来てはいけない子供だった。

 疫病神。

 陰気なお前の顔を見るのなんかご免だ。

 そこの小屋から出るんじゃないよ。

 食い物なら、カネを月一でまとめてくれてやるから、それで買って食えばいい。

 洋服も自分で買え。

 トイレも風呂も小屋の隣に作ってやったんだから、そこで充分だろう。

 こっちの母屋には、一歩も入って来るんじゃない!

   ◇

 お前の母ちゃんと父ちゃん、ハンザイシャなんだろう?

 それで、この町にいられなくなって、どっかに逃げたんだってみんな言ってるぞ。

 お前は捨てられて、仕方ないから畠山が引き取ったんだって。

 だから、プレハブ小屋で生活して、母屋に入れてもらえないんだろう?

 ハンザイシャの子供だから、畠山でもすげー嫌われてるって。

 やーい、やーい、ハンザイシャ、ハンザイシャ! 

 こっちにくんなよ、ハンザイシャ。

   ◇

 いつも何考えてんだか、一言も喋らないのね。

 どうして私があなたの面倒を見ないとダメなの?

 担任教師だからって、そこまで私に義務なんかないはずよ。

 ケンカしないでって、何度も言ってるでしょう?

 はぁ?向こうが先に手を出してきたですって?

 そんなの知らないわよ。

 どうせ、あなたが全部悪いんでしょう。

 あなたみたいな子は、亀の子みたいに、縮こまって大人しくジッとしていればいいのよ。

 そのうち向こうも飽きて、手なんか出さなくなるんだから。

 ね、分かった?

 こっちはね、いちいち、あなたになんか構っていられないの。

 何度も言わせないでよ!

   ◇

 あんたの母さん、教え子だった生徒に手を出して妊娠したんだよ。

 そりゃあ、普通なら懲戒免職もんだよ。

 警察沙汰になったっておかしくない、犯罪だよ。

 だって、教師の淫行だよ?

 相手は未成年だ。

 はぁ?

 女に罪はないって、畠山の家では言ってるって?

 ハハハ、そんなワケないだろう。

 だって、あんたの母さん二十五のいい歳した大人の女で、相手の男の子は十二の小さな子供だったのに、それで関係したってんだから。

 どう考えても、女の方がイカレてるよ。

 妊娠に関しては、家の力で何とか依願退職って事にして、体裁だけでも整えたらしいけど。

 腹がもうポッコリと膨れて誤魔化せないから、仕方なしにさぁ。

 この前まで小学生だって子供に手を出して妊娠したって、どんだけ淫乱女なんだよ。

 ああ、ショタコンっていうんだっけ?

 ハハハ、言い方なんか、よく知らんけどね。相手の男の子も、それから行方不明だって――養護施設で大暴れして飛び出したんだってさ。


 やっぱさ、普通じゃないよね、あんたの両親。



しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

インテリヤクザは子守りができない

タタミ
BL
とある事件で大学を中退した初瀬岳は、極道の道へ進みわずか5年で兼城組の若頭にまで上り詰めていた。 冷酷非道なやり口で出世したものの不必要に凄惨な報復を繰り返した結果、組長から『人間味を学べ』という名目で組のシマで立ちんぼをしていた少年・皆木冬馬の教育を任されてしまう。 なんでも性接待で物事を進めようとするバカな冬馬を煙たがっていたが、小学生の頃に親に捨てられ字もろくに読めないとわかると、徐々に同情という名の情を抱くようになり……──

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

鬼上司と秘密の同居

なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳 幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ… そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた… いったい?…どうして?…こうなった? 「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」 スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか… 性描写には※を付けております。

ニューハーフヘルス体験

中田智也
BL
50代のオジサンがニューハーフヘルスにハマッた実体験と心の内を元にしたおはなし

灰かぶりの少年

うどん
BL
大きなお屋敷に仕える一人の少年。 とても美しい美貌の持ち主だが忌み嫌われ毎日被虐的な扱いをされるのであった・・・。

従僕に溺愛されて逃げられない

大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL! 俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。 その傍らには、当然のようにリンがいる。 荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。 高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。 けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。 当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。 居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。 さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。 主従なのか、恋人なのか。 境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。 従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。

R指定

ヤミイ
BL
ハードです。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

処理中です...