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それは、ベータの場合もしかりだ。
だから青柳家でも、当然、アルファ以外の子供が産まれるのは珍しくもない普通の事である訳なのだが、青柳家は生来の選民思想が幅を利かせているのか、たとえ直系に生まれたとしても、アルファでなければ後継に選ばれない。
どうしてもアルファがいない場合は、親戚筋からアルファの養子を迎えて家督を継がせている。
それだけ、徹底したアルファ至上主義の家だ。
その点だけは、自分は、まだ馬淵家でよかったなと思う栄太であるが…………。
(そんな、気位が高くていけ好かない青柳を、まだ諦めてないと!! 一昔前ならいざ知らず、今の世の中では、オメガの男なんぞ相手にされるわけがないのに――)
どう考えても、奏には、青柳に迎え入れてもらえる可能性は一つもない。
だから青柳を諦めて、栄太の元へ嫁ぐ事になった筈ではなかったのか!?
そこまで考えて、栄太はハッと気付いた。
「もしや――」
「な、何ですか? 」
栄太の刺すような視線に気付き、結城の両親は、ビクッと身を強張らせた。
結城家は上流階級面しているが、他家に援助をしてもらわなければ、とても立ち行かないような斜陽の家だ。
貿易会社を経営しているが、何度も不渡りを出している。
それなのに、その生活ぶりは質素倹約どころか、栄耀栄華を極めた昔のままに贅沢三昧らしい。
興信所を使って調べたところ、結城家が一度目の破産の憂き目にあった時は、件の青柳家から資金援助を受けたようだ。
当時はまだ、オメガに死の病が蔓延していた。
それ故に、青柳家は数の少ないオメガを確保する為に、結城家の、まだ幼かった奏を未来の当主の婚約者として定めたのだ。
しかし、状況は一変した。
薬が開発され、オメガは死の恐怖から解放されると同時に――――再び、カーストの最下層へと落とされたのだ。
特に、オメガの男体は下の下に位置付けられた。
男のクセに、男に尻を振る淫売――――そう揶揄され唾棄され、最早彼らはどこの誰からも相手にされない。
当然のように、奏は青柳家から見切りを付けられた。
かの家では、由緒正しい家から、オメガの令嬢を婚約者に迎え入れたと聞いている。
だから、奏は今日、馬淵栄太と新たに婚約を結ぶ筈だったのだが――……。
「お前達――――この事を、奏に伝えないままここへ連れて来たのか!? 」
栄太の叱責するような声に、結城の両親は気まずそうに眼を逸らした。
つまりそれは、YESという意味だろう。
チッと舌打ちして、栄太は二人へ詰め寄る。
「じゃあ、いったい、あいつには何と言っていたんだ! 」
すると、渋々と言った様子で、父親は口を割った。
「――正直に言ったら絶対に来ないと思ったので……青柳家との場を設けたので、正嘉を交えて会食をしようと」
「っ! 」
「で、でも実際それであいつはのこのこと来たのだし――――あとはそのまま馬淵さんへ引き渡したら、大人しく状況を受け入れると思ったんです。だって、あいつはオメガの男ですよ!? 誰よりも、自分の立場を分かっている筈じゃないですか? 」
夫の言葉にうなずきながら、母親の方も口を開く。
「そうですわ! あの子はオメガですよ? こうして馬淵さんを紹介しただけ、親の愛だと理解してもいい筈ですわ! 」
そう、揃いも揃って言い出した。
さすがにこれには、怒りを感じてしまう栄太だ。
青柳に関する催しだろうと期待して来てみれば、見も知らない男が待ち構えていたら
――――さぞや、奏はショックだったろう。
勝手に逃げ出して何だと怒りを感じていたが、その怒りを向ける先は奏ではなく、こっちの両親の方だったとは!!
栄太は、腸が煮え繰り返るような怒りを堪えながら、低く声を漏らす。
「……それじゃあ、あいつは青柳の家に行ったのは、間違いないんだな!? 」
だから青柳家でも、当然、アルファ以外の子供が産まれるのは珍しくもない普通の事である訳なのだが、青柳家は生来の選民思想が幅を利かせているのか、たとえ直系に生まれたとしても、アルファでなければ後継に選ばれない。
どうしてもアルファがいない場合は、親戚筋からアルファの養子を迎えて家督を継がせている。
それだけ、徹底したアルファ至上主義の家だ。
その点だけは、自分は、まだ馬淵家でよかったなと思う栄太であるが…………。
(そんな、気位が高くていけ好かない青柳を、まだ諦めてないと!! 一昔前ならいざ知らず、今の世の中では、オメガの男なんぞ相手にされるわけがないのに――)
どう考えても、奏には、青柳に迎え入れてもらえる可能性は一つもない。
だから青柳を諦めて、栄太の元へ嫁ぐ事になった筈ではなかったのか!?
そこまで考えて、栄太はハッと気付いた。
「もしや――」
「な、何ですか? 」
栄太の刺すような視線に気付き、結城の両親は、ビクッと身を強張らせた。
結城家は上流階級面しているが、他家に援助をしてもらわなければ、とても立ち行かないような斜陽の家だ。
貿易会社を経営しているが、何度も不渡りを出している。
それなのに、その生活ぶりは質素倹約どころか、栄耀栄華を極めた昔のままに贅沢三昧らしい。
興信所を使って調べたところ、結城家が一度目の破産の憂き目にあった時は、件の青柳家から資金援助を受けたようだ。
当時はまだ、オメガに死の病が蔓延していた。
それ故に、青柳家は数の少ないオメガを確保する為に、結城家の、まだ幼かった奏を未来の当主の婚約者として定めたのだ。
しかし、状況は一変した。
薬が開発され、オメガは死の恐怖から解放されると同時に――――再び、カーストの最下層へと落とされたのだ。
特に、オメガの男体は下の下に位置付けられた。
男のクセに、男に尻を振る淫売――――そう揶揄され唾棄され、最早彼らはどこの誰からも相手にされない。
当然のように、奏は青柳家から見切りを付けられた。
かの家では、由緒正しい家から、オメガの令嬢を婚約者に迎え入れたと聞いている。
だから、奏は今日、馬淵栄太と新たに婚約を結ぶ筈だったのだが――……。
「お前達――――この事を、奏に伝えないままここへ連れて来たのか!? 」
栄太の叱責するような声に、結城の両親は気まずそうに眼を逸らした。
つまりそれは、YESという意味だろう。
チッと舌打ちして、栄太は二人へ詰め寄る。
「じゃあ、いったい、あいつには何と言っていたんだ! 」
すると、渋々と言った様子で、父親は口を割った。
「――正直に言ったら絶対に来ないと思ったので……青柳家との場を設けたので、正嘉を交えて会食をしようと」
「っ! 」
「で、でも実際それであいつはのこのこと来たのだし――――あとはそのまま馬淵さんへ引き渡したら、大人しく状況を受け入れると思ったんです。だって、あいつはオメガの男ですよ!? 誰よりも、自分の立場を分かっている筈じゃないですか? 」
夫の言葉にうなずきながら、母親の方も口を開く。
「そうですわ! あの子はオメガですよ? こうして馬淵さんを紹介しただけ、親の愛だと理解してもいい筈ですわ! 」
そう、揃いも揃って言い出した。
さすがにこれには、怒りを感じてしまう栄太だ。
青柳に関する催しだろうと期待して来てみれば、見も知らない男が待ち構えていたら
――――さぞや、奏はショックだったろう。
勝手に逃げ出して何だと怒りを感じていたが、その怒りを向ける先は奏ではなく、こっちの両親の方だったとは!!
栄太は、腸が煮え繰り返るような怒りを堪えながら、低く声を漏らす。
「……それじゃあ、あいつは青柳の家に行ったのは、間違いないんだな!? 」
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