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この両親は、息子を騙して高値で売ろうとした鬼だ。
人でなしだ。
こいつらの欲望のままに、金など二度と出すものか!
栄太はそう思い、いけしゃしゃと、追加融資の話まで持ち出してきたこいつらを懲らしめてやろうと考えた。
愛想笑いをし、浅ましく金を強請る奏の両親相手に、栄太は、奏がこんな傷を負ってしまった事に対する責任を取れと、先ずは強く迫った。
奏を惨い目に遭わせた代償を実感させようと『資金援助は出来かねる』と、次に言ってやった。
すると余程金に困っているのだろう、奏の両親は平身低頭して栄太へ取り縋って来た。
そうやって醜い言い争いをしていたら、奏が目覚めたようだ。
「おお。どうやら意識が戻ったようだぞ」
「まぁ! 」
「医者が、命に別状はないと言っていたが……さすがに心配しましたね。よかったですね、馬淵さん」
「しかし、首の傷痕は残るという話じゃないか。こんな傷物では、約束の融資はとてもとても……」
「そんな! そこを何とか――奏は、もうお好きになさってもいいですから」
この言葉に、栄太はカッとした。
こんな連中に、もう二度と奏を渡してはならない。
「当たり前だ! 今まで、幾ら払ったと思ってるんだ!? 」
「で、では……減額してもいいですから、こちらは年度末の決算も控えてますし――それだけは協力して頂かないと――」
(何とこの夫婦は、この期に及んでまだ金に執着しているのか!? )
「ふざけるな! お前達に、これ以上金を出してやる義理は無い! 」
栄太は頭に血が上って、ここが病院と言う事も忘れて声を荒げた。
またそれに、奏の両親もヒートアップして声を放つ。
――――さぞや騒がしかったのだろう。看護師が直ぐに、病室へ駆け付けてきた。
「お静かにお願いします! 」
「あっ……も、申し訳ありません……」
「そ、そうだ! ついさっき、この子が気付いたんですよ。ね、奏? 」
「――」
母親の問い掛けに、奏は無言で睨み返してきた。
ゾクリとするような、冷たい視線だった。
「奏? 」
「…………」
母の声に、奏は無言のまま、シーツの上に指で字を書く。
『喉が痛むので喋りたくありません』
「あ、そうよね――――それにしても、奏! 本当にバカな事をして! もしもの事があったらどうするの!? 」
「そうだぞ! 父さんも母さんも馬淵さんも、みんな心配したんだからなっ」
『すみませんでした』
奏はそう指で字を書くと、次に『疲れたので一人にしてください』と、続けた。
細い奏の首には白い包帯が巻かれていて、見るからに痛々しい。
手足もほっそりとしていて、凡そ頑健には見えない。
(こんな嫋やかな身体で、あの雨の中を一人で――――……)
栄太は痛ましい気持ちになり、ギュッと眉間にシワを寄せた。
この表情が、非常に機嫌が悪く怒っているように、他人の目に映るという事に…………栄太は、残念ながら気付かない。
栄太の表情を見た奏は、ますます凍り付いた視線になり、指を動かした。
『お父さまもお母さまも、馬淵さんもお忙しいでしょう。どうぞお帰り下さい』
「えぇ? でも――あなた、明後日まで入院する事になったし……」
『僕は未成年ではありません。僕の事は放っておいても大丈夫ですから、この後のお見舞いも結構です』
奏のメッセージに、父母は「助かった」というような表情を一瞬見せ、互いに目配せをした。
「あ、そうだな…………うん」
「――――そうね。入院費は馬淵さんが負担なさると仰っているし……なら、ねぇ……」
人でなしだ。
こいつらの欲望のままに、金など二度と出すものか!
栄太はそう思い、いけしゃしゃと、追加融資の話まで持ち出してきたこいつらを懲らしめてやろうと考えた。
愛想笑いをし、浅ましく金を強請る奏の両親相手に、栄太は、奏がこんな傷を負ってしまった事に対する責任を取れと、先ずは強く迫った。
奏を惨い目に遭わせた代償を実感させようと『資金援助は出来かねる』と、次に言ってやった。
すると余程金に困っているのだろう、奏の両親は平身低頭して栄太へ取り縋って来た。
そうやって醜い言い争いをしていたら、奏が目覚めたようだ。
「おお。どうやら意識が戻ったようだぞ」
「まぁ! 」
「医者が、命に別状はないと言っていたが……さすがに心配しましたね。よかったですね、馬淵さん」
「しかし、首の傷痕は残るという話じゃないか。こんな傷物では、約束の融資はとてもとても……」
「そんな! そこを何とか――奏は、もうお好きになさってもいいですから」
この言葉に、栄太はカッとした。
こんな連中に、もう二度と奏を渡してはならない。
「当たり前だ! 今まで、幾ら払ったと思ってるんだ!? 」
「で、では……減額してもいいですから、こちらは年度末の決算も控えてますし――それだけは協力して頂かないと――」
(何とこの夫婦は、この期に及んでまだ金に執着しているのか!? )
「ふざけるな! お前達に、これ以上金を出してやる義理は無い! 」
栄太は頭に血が上って、ここが病院と言う事も忘れて声を荒げた。
またそれに、奏の両親もヒートアップして声を放つ。
――――さぞや騒がしかったのだろう。看護師が直ぐに、病室へ駆け付けてきた。
「お静かにお願いします! 」
「あっ……も、申し訳ありません……」
「そ、そうだ! ついさっき、この子が気付いたんですよ。ね、奏? 」
「――」
母親の問い掛けに、奏は無言で睨み返してきた。
ゾクリとするような、冷たい視線だった。
「奏? 」
「…………」
母の声に、奏は無言のまま、シーツの上に指で字を書く。
『喉が痛むので喋りたくありません』
「あ、そうよね――――それにしても、奏! 本当にバカな事をして! もしもの事があったらどうするの!? 」
「そうだぞ! 父さんも母さんも馬淵さんも、みんな心配したんだからなっ」
『すみませんでした』
奏はそう指で字を書くと、次に『疲れたので一人にしてください』と、続けた。
細い奏の首には白い包帯が巻かれていて、見るからに痛々しい。
手足もほっそりとしていて、凡そ頑健には見えない。
(こんな嫋やかな身体で、あの雨の中を一人で――――……)
栄太は痛ましい気持ちになり、ギュッと眉間にシワを寄せた。
この表情が、非常に機嫌が悪く怒っているように、他人の目に映るという事に…………栄太は、残念ながら気付かない。
栄太の表情を見た奏は、ますます凍り付いた視線になり、指を動かした。
『お父さまもお母さまも、馬淵さんもお忙しいでしょう。どうぞお帰り下さい』
「えぇ? でも――あなた、明後日まで入院する事になったし……」
『僕は未成年ではありません。僕の事は放っておいても大丈夫ですから、この後のお見舞いも結構です』
奏のメッセージに、父母は「助かった」というような表情を一瞬見せ、互いに目配せをした。
「あ、そうだな…………うん」
「――――そうね。入院費は馬淵さんが負担なさると仰っているし……なら、ねぇ……」
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