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「――――お前がどんなに愛らしくて魅力的なのか、ちゃんと口で伝えていれば、そんなに自分を卑下する事もなかったんだよな……お前は凄く可愛いよ。もっと自分に、自信を持っていい」
「ウソだ! 」
「ウソじゃない」
「なら――どうして、正嘉さまは…………」
奏を一顧もしなかったのか。
それを言い掛け、奏はハッとして口を噤んだ。
――――この期に及んで、また正嘉か?
奏はそんな自分に嫌気が差したが、それは栄太も同じだ。
愛しい者の心を深く蝕む、病巣のようなアルファが憎たらしく感じる。
そして、ずっとそれに囚われて、今尚苦しみ続ける奏が哀れに思えて仕方がない。
抱き締める腕に力を込めて、栄太はその耳元で優しく言う。
「大丈夫だ、安心しろ。お前は可愛いよ。これは本当のことだ」
「……そだ」
「本当だ。発情期のオメガは半分意識が飛んでいるし、身体も柔らかいから、セックスするには都合のいい状態になるワケだが――――でも、セックスという行為が、気持ちがいいのかどうなのかも――――オメガは分からないんだってな? 」
この質問に、奏はコクリと頷いた。
そうなのだ。
ベータやアルファはどうだか知らないが、発情期のオメガは、ただもう脳内で生成されるモルヒネと同じ成分の『脳内麻薬』に、頭も身体も異常な興奮状態に陥ってしまって、遮二無二に他人の精を求めてしまう。
それが無いと、狂ってしまうのではないかというような全身の火照りに苛まれ、地獄を味わう事になるのだ。
しかも奏はそれに加え、全身を針で刺したような激痛に襲われ、身動きさえ取れなくなってしまうという『気絶ヤギ』のおまけ付きだ。。
解放されるには、身体の最奥に雄を迎え入れて精を受けるか、高額な上に副作用も強い抑制剤を服用するしかない。
――――オメガといえ、何と浅ましく哀しい身体なのか……。
しかし5年前、奏は発情期を迎えた事を、喜んで両親へ報告した。
子供を授かる事が可能な身体になったのだから、これで再び、青柳家と繋がりを持つことが出来るのではと期待したからだ。
――――結果、ものの見事に全てから裏切られた。
両親も兄弟も――……一途に信じた正嘉からも。
替わって現れたのは、この馬淵栄太であった。
それから栄太とは、奏が発情期に入るサイクルに合わせてあのホテルで落ち合い、性交を繰り返している。
だから、奏が知っている『雄』は栄太だけであるワケだが。
だが――――発情の所為で理性も意識も飛んで、しかも心まで閉ざしての行為は…………気持ちが良いのかもどうなのかも分からない。
正直に言うと、発情期に入るとその数日間の記憶が飛んでしまっていて、栄太とのセックスがどうだったかも奏は全然覚えていないのだ。
一番最初がとにかく最悪だったのは、強烈に覚えているが――――。
「でも……仲間には、発情期が来ると頭がおかしくなるけれど、セックスは好きだって言っているヤツもいます。だから多分、記憶には残っていなくても――それが楽しくて気持ちが良いと思っているオメガもいるみたいです。僕は……全然覚えていないので分かりませんが…………」
「――――やっぱり、オレの所為だな」
「? 」
「あの時……一番最初にお前を抱いた時、オレが乱暴だったから、お前をひどく傷つけてしまった。その時の嫌な記憶が奏の中に強く残っているから、心が壊れないように自衛本能が働いて、その後のオレとのセックスの記憶も、頭から全部追い出しているんだろうな…………」
「――」
そうなのだろうか?
「ウソだ! 」
「ウソじゃない」
「なら――どうして、正嘉さまは…………」
奏を一顧もしなかったのか。
それを言い掛け、奏はハッとして口を噤んだ。
――――この期に及んで、また正嘉か?
奏はそんな自分に嫌気が差したが、それは栄太も同じだ。
愛しい者の心を深く蝕む、病巣のようなアルファが憎たらしく感じる。
そして、ずっとそれに囚われて、今尚苦しみ続ける奏が哀れに思えて仕方がない。
抱き締める腕に力を込めて、栄太はその耳元で優しく言う。
「大丈夫だ、安心しろ。お前は可愛いよ。これは本当のことだ」
「……そだ」
「本当だ。発情期のオメガは半分意識が飛んでいるし、身体も柔らかいから、セックスするには都合のいい状態になるワケだが――――でも、セックスという行為が、気持ちがいいのかどうなのかも――――オメガは分からないんだってな? 」
この質問に、奏はコクリと頷いた。
そうなのだ。
ベータやアルファはどうだか知らないが、発情期のオメガは、ただもう脳内で生成されるモルヒネと同じ成分の『脳内麻薬』に、頭も身体も異常な興奮状態に陥ってしまって、遮二無二に他人の精を求めてしまう。
それが無いと、狂ってしまうのではないかというような全身の火照りに苛まれ、地獄を味わう事になるのだ。
しかも奏はそれに加え、全身を針で刺したような激痛に襲われ、身動きさえ取れなくなってしまうという『気絶ヤギ』のおまけ付きだ。。
解放されるには、身体の最奥に雄を迎え入れて精を受けるか、高額な上に副作用も強い抑制剤を服用するしかない。
――――オメガといえ、何と浅ましく哀しい身体なのか……。
しかし5年前、奏は発情期を迎えた事を、喜んで両親へ報告した。
子供を授かる事が可能な身体になったのだから、これで再び、青柳家と繋がりを持つことが出来るのではと期待したからだ。
――――結果、ものの見事に全てから裏切られた。
両親も兄弟も――……一途に信じた正嘉からも。
替わって現れたのは、この馬淵栄太であった。
それから栄太とは、奏が発情期に入るサイクルに合わせてあのホテルで落ち合い、性交を繰り返している。
だから、奏が知っている『雄』は栄太だけであるワケだが。
だが――――発情の所為で理性も意識も飛んで、しかも心まで閉ざしての行為は…………気持ちが良いのかもどうなのかも分からない。
正直に言うと、発情期に入るとその数日間の記憶が飛んでしまっていて、栄太とのセックスがどうだったかも奏は全然覚えていないのだ。
一番最初がとにかく最悪だったのは、強烈に覚えているが――――。
「でも……仲間には、発情期が来ると頭がおかしくなるけれど、セックスは好きだって言っているヤツもいます。だから多分、記憶には残っていなくても――それが楽しくて気持ちが良いと思っているオメガもいるみたいです。僕は……全然覚えていないので分かりませんが…………」
「――――やっぱり、オレの所為だな」
「? 」
「あの時……一番最初にお前を抱いた時、オレが乱暴だったから、お前をひどく傷つけてしまった。その時の嫌な記憶が奏の中に強く残っているから、心が壊れないように自衛本能が働いて、その後のオレとのセックスの記憶も、頭から全部追い出しているんだろうな…………」
「――」
そうなのだろうか?
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