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「――僕は、オメガの世間体とかは、どうでもいいですよ」
「いや、しかし……やはり子を産めないオメガでは、なにかと肩身の狭い思いをするという話を、よく耳にするからな。オレはお前に、そんな目には遭ってほしくない」
それなのに、と、栄太は悔しそうに顔を歪ませた。
「オレが子供に執着するのは、どこかへ好条件で養子へ出そうと画策しているだとか! そんな言い掛かりを、まさか裁判所が受け入れるとは……せっかくお前に――――」
「だから、それはもういいんですよ」
「奏? 」
そっと手を重ねられ、栄太は驚いて目を見張る。
奏は少し瞳を潤ませながら、そんな栄太を見つめた。
「いいじゃないですか。僕は、これからゆっくりとあなたと付き合って行こうと思っているのだし。たとえ子供が出来なくても、2人で幸せに暮らしていければ、それでもう充分でしょう? 」
「……奏――」
「栄太さんが、僕の世間体を考えてくれたことは嬉しいです。でも、親権を争ったという事は…………つまり、その方とは現在……」
「ああ、もうとっくに別れている。オレに言わせれば、向こうの方がとんでもない守銭奴だ。愛人契約を結んだ時に、もしも妊娠したら親権はオレに渡すという条件だったクセに、あいつら――――ちゃっかり被害者づらして慰謝料と養育費と親権を天秤に掛けやがって! 」
立腹する栄太であるが、ひとまず本人の口から、事の顛末を聞いた。
ああ、では、やはり九条の言っていた事は本当だったのだ――――と、奏は内心安堵の息をつく。
これで大丈夫。一つの不安は消し去った。
――――でも、もう一つ残っている。
「僕から、栄太さんに――――訊きたい事があったんです」
「訊きたい事? 」
「はい。どうしても、確かめておきたいんです」
「ん? 何だ、改まって? 」
今日の奏は、積極的だ。
本当に先週とは、全然違う。
奏は、いつもは下を向きがちの目線を真っ直ぐにして、栄太をジッと見る。
そして意を決したように、口を開いた。
「栄太さん、あなたは――――僕と正式な番になりたいと思いますか? 」
かなり真剣な顔で何を言い出すのかと緊張したが、まさかそんな事を口にするとは。
栄太は一瞬呆気にとられ、次に苦笑を漏らした。
「ははは、何だ、そんな事か」
「っ!? 」
相当勇気を出して訊いた言葉なのに、一笑に付された事で、奏はショックを受ける。
(え――――? そんな事? 栄太さんは…………僕と番になる事は考えていなかったの…………? )
目の前が暗くなりかけるが、その前に栄太が口を開いた。
「勿論、オレは最初からそのつもりだった。番になりたいと、ずっと思っていた。でも、一番最初に――かなり奏に酷い事をしてしまったから…………次からは、無理にコトを進めるのは絶対に止めようと我慢していたんだ」
「えっ? 」
「奏の首を噛んで番になりたいと、オレはいつも思っていたよ。この5年間、我ながらよく耐えて我慢したと思うぜ」
パチリと音のしそうなウィンクを至近距離で投げられ、奏の頬がバラ色に染まる。
「ほ、本当に……? 」
「ああっ! お前は可愛い、オレだけのオメガだ。だから、子を持たせて幸せにしてやりたかった――」
その言葉は、途中で塞がれた。
栄太の眼は驚愕で見開かれる。
奏が、自分から栄太へ口付けをしてきたのだ。
それは、実に初めての事だった。
「――あ、あの……ご、ごめんなさい、つい…………」
完熟トマトのように真っ赤になる奏を見て、栄太の顔は喜色に輝いた。
「いや、しかし……やはり子を産めないオメガでは、なにかと肩身の狭い思いをするという話を、よく耳にするからな。オレはお前に、そんな目には遭ってほしくない」
それなのに、と、栄太は悔しそうに顔を歪ませた。
「オレが子供に執着するのは、どこかへ好条件で養子へ出そうと画策しているだとか! そんな言い掛かりを、まさか裁判所が受け入れるとは……せっかくお前に――――」
「だから、それはもういいんですよ」
「奏? 」
そっと手を重ねられ、栄太は驚いて目を見張る。
奏は少し瞳を潤ませながら、そんな栄太を見つめた。
「いいじゃないですか。僕は、これからゆっくりとあなたと付き合って行こうと思っているのだし。たとえ子供が出来なくても、2人で幸せに暮らしていければ、それでもう充分でしょう? 」
「……奏――」
「栄太さんが、僕の世間体を考えてくれたことは嬉しいです。でも、親権を争ったという事は…………つまり、その方とは現在……」
「ああ、もうとっくに別れている。オレに言わせれば、向こうの方がとんでもない守銭奴だ。愛人契約を結んだ時に、もしも妊娠したら親権はオレに渡すという条件だったクセに、あいつら――――ちゃっかり被害者づらして慰謝料と養育費と親権を天秤に掛けやがって! 」
立腹する栄太であるが、ひとまず本人の口から、事の顛末を聞いた。
ああ、では、やはり九条の言っていた事は本当だったのだ――――と、奏は内心安堵の息をつく。
これで大丈夫。一つの不安は消し去った。
――――でも、もう一つ残っている。
「僕から、栄太さんに――――訊きたい事があったんです」
「訊きたい事? 」
「はい。どうしても、確かめておきたいんです」
「ん? 何だ、改まって? 」
今日の奏は、積極的だ。
本当に先週とは、全然違う。
奏は、いつもは下を向きがちの目線を真っ直ぐにして、栄太をジッと見る。
そして意を決したように、口を開いた。
「栄太さん、あなたは――――僕と正式な番になりたいと思いますか? 」
かなり真剣な顔で何を言い出すのかと緊張したが、まさかそんな事を口にするとは。
栄太は一瞬呆気にとられ、次に苦笑を漏らした。
「ははは、何だ、そんな事か」
「っ!? 」
相当勇気を出して訊いた言葉なのに、一笑に付された事で、奏はショックを受ける。
(え――――? そんな事? 栄太さんは…………僕と番になる事は考えていなかったの…………? )
目の前が暗くなりかけるが、その前に栄太が口を開いた。
「勿論、オレは最初からそのつもりだった。番になりたいと、ずっと思っていた。でも、一番最初に――かなり奏に酷い事をしてしまったから…………次からは、無理にコトを進めるのは絶対に止めようと我慢していたんだ」
「えっ? 」
「奏の首を噛んで番になりたいと、オレはいつも思っていたよ。この5年間、我ながらよく耐えて我慢したと思うぜ」
パチリと音のしそうなウィンクを至近距離で投げられ、奏の頬がバラ色に染まる。
「ほ、本当に……? 」
「ああっ! お前は可愛い、オレだけのオメガだ。だから、子を持たせて幸せにしてやりたかった――」
その言葉は、途中で塞がれた。
栄太の眼は驚愕で見開かれる。
奏が、自分から栄太へ口付けをしてきたのだ。
それは、実に初めての事だった。
「――あ、あの……ご、ごめんなさい、つい…………」
完熟トマトのように真っ赤になる奏を見て、栄太の顔は喜色に輝いた。
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