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「奏……いいのか? 」
問われた奏の方も、もう『何が? 』とは言わない。
ただ、小さく――――恥ずかしそうに、コクリと頷いた。
◇
発情期ではない、意識のしっかりした状態で行う性交は、これで二度目になる。
前回は…………本当にもう恥ずかしくてどうしようもなくなり、その途中で、奏はギブアップ状態になってしまった。
しかし栄太は、最後まで無理に身体を繋げようとはせず、素股で自身の処理をしたらしい……。
あの後、いったい『スマタ』とは何の事かと密かに調べた奏は、その意味を知って、本当に恥ずかしさと申し訳なさのあまりに熱が出そうになった。
あんなに丹念に身体を解してもらったのに、その相手を受け入れもせずにセルフ処理をさせるなんて――――恋人としては失格だろう。
何度か電話越しにそれを謝ろうとしたが、やはり口に出すのは恥ずかしくて……今日に至る。
でも、今度こそは――――。
「……何を考えている? 」
「え? 」
「随分と、難しい顔をしている」
仄かな照明の下で映し出される小さな顔を両手で包みながら、栄太はその額へチュッとキスをする。
「……また何か、悩んでいるのか? 一人で溜め込む前に、口に出して言ってみろ」
奏が、いつまでも栄太の口から『番』の言葉が出て来ない事に不安を感じていた事を知り――栄太は、どこか甘い声で囁く。
「不安な事があるなら、ほら、何でもいいから言ってみろ」
「あの、この前は――その…………僕……」
モジモジしながら、栄太の広い胸の中へポスっと顔を埋める。
「やっぱり、僕……恥ずかしくって……こんなに明るいのも、全部見えちゃうから……」
「明るいかぁ? 」
仄かな温暖色のライトの下で、奏はそれでも、明るいと頷く。
「だって――全部見えちゃうから…………」
余裕を見せる栄太の、その下肢で――隆々と自己主張をする赤銅色の雄芯が目に入り、どうしても奏は目を瞑ってしまいそうになる。
そして、自分の方も……栄太と比べると随分と小ぶりで、子供のような桃色の雄芯がフルフルと震えているのが目に入り、どうにも居たたまれない。
栄太とそんなに歳は離れていないというのに、これでは本当に大人と子供だ。
恥ずかしいわ情けないわで、眼を逸らしてしまいたくなる。
「電気……消してくれませんか? 」
「いや、それじゃあ危ないし――――第一、可愛いお前の顔が見えなくなっちまう」
「じゃ、じゃあ、せめて……フットライトだけに…………」
全身を羞恥の緋色に染め、両手で顔を隠しながらそう訴える。
この可愛い恋人は、本当に発情期の時とは全然違う生き物だ。
栄太は苦笑しながら、奏の言う通りに照明を落としていく。
――――奏は知らないだろうが、ヒートの時の奏は凄まじかった。
本当に、とんでもない破廉恥だった。
栄太は、他にもオメガを抱いた事はあるが、やはり奏はそれらから飛び抜ける程の淫蕩さを誇っていた。
『気絶ヤギ』の症状が出る前に、いつしか奏は栄太と抱き合うようになっていた。
計算さえすれば、その不快なタイミングを外す事は可能だ。
ピークが来る前に、抱き合って性交すればいいだけなのだから簡単な話だ。
だが、しかし…………ヌルヌルとした愛液を垂らしながら妖艶に笑い、紅い舌をペロリと出して自らの手でそこを開いて挑発してくる淫乱な姿などと――――今の奏からは想像もつかないだろうが。
オメガの性であろうが、ヒート状態の時の奏は、まさに天性の淫婦のように振舞いながら、栄太を喰らい尽くすように、全てを呑み込み精を搾り取ろうとしてきた。
馬乗りになるのは当たり前。
問われた奏の方も、もう『何が? 』とは言わない。
ただ、小さく――――恥ずかしそうに、コクリと頷いた。
◇
発情期ではない、意識のしっかりした状態で行う性交は、これで二度目になる。
前回は…………本当にもう恥ずかしくてどうしようもなくなり、その途中で、奏はギブアップ状態になってしまった。
しかし栄太は、最後まで無理に身体を繋げようとはせず、素股で自身の処理をしたらしい……。
あの後、いったい『スマタ』とは何の事かと密かに調べた奏は、その意味を知って、本当に恥ずかしさと申し訳なさのあまりに熱が出そうになった。
あんなに丹念に身体を解してもらったのに、その相手を受け入れもせずにセルフ処理をさせるなんて――――恋人としては失格だろう。
何度か電話越しにそれを謝ろうとしたが、やはり口に出すのは恥ずかしくて……今日に至る。
でも、今度こそは――――。
「……何を考えている? 」
「え? 」
「随分と、難しい顔をしている」
仄かな照明の下で映し出される小さな顔を両手で包みながら、栄太はその額へチュッとキスをする。
「……また何か、悩んでいるのか? 一人で溜め込む前に、口に出して言ってみろ」
奏が、いつまでも栄太の口から『番』の言葉が出て来ない事に不安を感じていた事を知り――栄太は、どこか甘い声で囁く。
「不安な事があるなら、ほら、何でもいいから言ってみろ」
「あの、この前は――その…………僕……」
モジモジしながら、栄太の広い胸の中へポスっと顔を埋める。
「やっぱり、僕……恥ずかしくって……こんなに明るいのも、全部見えちゃうから……」
「明るいかぁ? 」
仄かな温暖色のライトの下で、奏はそれでも、明るいと頷く。
「だって――全部見えちゃうから…………」
余裕を見せる栄太の、その下肢で――隆々と自己主張をする赤銅色の雄芯が目に入り、どうしても奏は目を瞑ってしまいそうになる。
そして、自分の方も……栄太と比べると随分と小ぶりで、子供のような桃色の雄芯がフルフルと震えているのが目に入り、どうにも居たたまれない。
栄太とそんなに歳は離れていないというのに、これでは本当に大人と子供だ。
恥ずかしいわ情けないわで、眼を逸らしてしまいたくなる。
「電気……消してくれませんか? 」
「いや、それじゃあ危ないし――――第一、可愛いお前の顔が見えなくなっちまう」
「じゃ、じゃあ、せめて……フットライトだけに…………」
全身を羞恥の緋色に染め、両手で顔を隠しながらそう訴える。
この可愛い恋人は、本当に発情期の時とは全然違う生き物だ。
栄太は苦笑しながら、奏の言う通りに照明を落としていく。
――――奏は知らないだろうが、ヒートの時の奏は凄まじかった。
本当に、とんでもない破廉恥だった。
栄太は、他にもオメガを抱いた事はあるが、やはり奏はそれらから飛び抜ける程の淫蕩さを誇っていた。
『気絶ヤギ』の症状が出る前に、いつしか奏は栄太と抱き合うようになっていた。
計算さえすれば、その不快なタイミングを外す事は可能だ。
ピークが来る前に、抱き合って性交すればいいだけなのだから簡単な話だ。
だが、しかし…………ヌルヌルとした愛液を垂らしながら妖艶に笑い、紅い舌をペロリと出して自らの手でそこを開いて挑発してくる淫乱な姿などと――――今の奏からは想像もつかないだろうが。
オメガの性であろうが、ヒート状態の時の奏は、まさに天性の淫婦のように振舞いながら、栄太を喰らい尽くすように、全てを呑み込み精を搾り取ろうとしてきた。
馬乗りになるのは当たり前。
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