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9 living hell
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「――――ええ、そうですよ?」
それは嘘だ。
AHIRU設立期には、フロランスと、百川ユリコがいたはずだ。
聖は慎重に言葉を選びながら、問い掛ける。
「会社を作るとなると、一人では大変だったでしょう。協力するスタッフなどもいたと思いますが、現在もメンバーは残っているのかな? 先程言っていたパートナーが、そうなのか?」
「……」
「ファッションブランドとは別に、こういった――特殊な仕事もしている訳だし。ファッションにしてもこちらにしても、助手がいないと手が回らないでしょう?」
「……それはご心配なく。専門家を雇っているので運営は順調ですよ。しかし……そうですね。ファッションブランドを起業した当時は百川という女性も一緒でしたが、彼女は現在は役員の一人として時々顔を出すだけで、今はもう我々と直接の仕事はしていませんね。私がパートナーと言ったのは、豊川安生氏のことですよ。資金面を始め、彼には力強い後ろ盾になって頂いています」
「AHIRUを設立した時には、百川の他にも、もう一人くらいは居たのでは?」
すると、安蒜が顔色がスーッと変わった。
(しまった、追求しすぎたか!?)
これはマズいと安蒜の腕から逃れようとしたところ、逆に強く肩を掴まれた。
そうして、安蒜は強張った顔で聖を睨んできた。
「もしや、フロランスの事を言っているのか」
――――肯定するか、否定するか。
一瞬迷ったが、聖は肯定する方に賭けてみることにした。
「そうだ、そのフロランスだ。部外者のオレが一々言う事じゃないが、彼女はあなたの事を愛していたらしいじゃないか? それなのに――」
「あの外人女、今は君の所にいたのか!」
「っ!?」
フロランスはとっくに死んでいる。
いったい、どういうことだ?
訝しむ聖に構わず、安蒜は怒りに紅潮した顔になって悪態をついた。
それは嘘だ。
AHIRU設立期には、フロランスと、百川ユリコがいたはずだ。
聖は慎重に言葉を選びながら、問い掛ける。
「会社を作るとなると、一人では大変だったでしょう。協力するスタッフなどもいたと思いますが、現在もメンバーは残っているのかな? 先程言っていたパートナーが、そうなのか?」
「……」
「ファッションブランドとは別に、こういった――特殊な仕事もしている訳だし。ファッションにしてもこちらにしても、助手がいないと手が回らないでしょう?」
「……それはご心配なく。専門家を雇っているので運営は順調ですよ。しかし……そうですね。ファッションブランドを起業した当時は百川という女性も一緒でしたが、彼女は現在は役員の一人として時々顔を出すだけで、今はもう我々と直接の仕事はしていませんね。私がパートナーと言ったのは、豊川安生氏のことですよ。資金面を始め、彼には力強い後ろ盾になって頂いています」
「AHIRUを設立した時には、百川の他にも、もう一人くらいは居たのでは?」
すると、安蒜が顔色がスーッと変わった。
(しまった、追求しすぎたか!?)
これはマズいと安蒜の腕から逃れようとしたところ、逆に強く肩を掴まれた。
そうして、安蒜は強張った顔で聖を睨んできた。
「もしや、フロランスの事を言っているのか」
――――肯定するか、否定するか。
一瞬迷ったが、聖は肯定する方に賭けてみることにした。
「そうだ、そのフロランスだ。部外者のオレが一々言う事じゃないが、彼女はあなたの事を愛していたらしいじゃないか? それなのに――」
「あの外人女、今は君の所にいたのか!」
「っ!?」
フロランスはとっくに死んでいる。
いったい、どういうことだ?
訝しむ聖に構わず、安蒜は怒りに紅潮した顔になって悪態をついた。
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