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後日談
Eternal-25
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そんな聖を前に、史郎は思わず声に出して笑っていた。
「ハハハハ、本音が出たな」
「――そもそもオレは、野郎とスルのはそんなに好きじゃない」
不機嫌そうに言う聖に、史郎は同意するように頷き返した。
「ああそうだな。オレも、野郎なんざ冗談じゃねーよ。ベッドの相手にするなら、もちろん女がいい」
『それなら、どうしてオレを欲しがる』
そう言い掛けた聖であるが、瞳に深い色を浮かべて自分を見下ろしている史郎に気付き、時が止まったように動きを止めた。
奇妙な静寂のなかで、史郎は本心を告げる。
「……お前は、別格だ。付いているモンは確かにオレと同じはずなのに、何もかもが全然違う」
「――そんな事は……」
「謙遜は無意味だぞ。お前は、誰よりも綺麗だ。野郎のクセに、傾国の美女なんて二つ名がまかり通るのも頷ける」
通常ならばクサイ台詞も、スラスラと口から出て来る。
史郎が知る全ての賛美を総動員しても足りない程に、この男は本当に美しいから。
その聖から、カタギになるのを理由に別れを告げられた時は、漢らしく潔く受け入れようと思った史郎だ。
散々苦しめて泣かせた自覚があるだけに、一度は本気で、聖を諦めようと心に誓った。
手練手管に長けた玄人から人妻、素人まで、あらゆる女を抱いて聖を忘れようと思った。
――――だが、どんなに努力しても、聖を忘れる事など不可能で。
「……お前の事を考えると、いつでも、出会った瞬間に戻っちまう。何処の誰の目にも触れさせたくなくて、自分だけのモノにしようと力づくで攫おうとした、あの頃に」
僅かな沈黙のあと、聖は答えを返した。
「あんたとオレは違う」
「……」
「今のオレには、守らなければならないものが増えた。あんたの執心は――迷惑だ」
しかし、史郎が何処かで見守っている事を確信して、悪党の待ち構えている根城へと乗り込んだのも事実だ。
「ハハハハ、本音が出たな」
「――そもそもオレは、野郎とスルのはそんなに好きじゃない」
不機嫌そうに言う聖に、史郎は同意するように頷き返した。
「ああそうだな。オレも、野郎なんざ冗談じゃねーよ。ベッドの相手にするなら、もちろん女がいい」
『それなら、どうしてオレを欲しがる』
そう言い掛けた聖であるが、瞳に深い色を浮かべて自分を見下ろしている史郎に気付き、時が止まったように動きを止めた。
奇妙な静寂のなかで、史郎は本心を告げる。
「……お前は、別格だ。付いているモンは確かにオレと同じはずなのに、何もかもが全然違う」
「――そんな事は……」
「謙遜は無意味だぞ。お前は、誰よりも綺麗だ。野郎のクセに、傾国の美女なんて二つ名がまかり通るのも頷ける」
通常ならばクサイ台詞も、スラスラと口から出て来る。
史郎が知る全ての賛美を総動員しても足りない程に、この男は本当に美しいから。
その聖から、カタギになるのを理由に別れを告げられた時は、漢らしく潔く受け入れようと思った史郎だ。
散々苦しめて泣かせた自覚があるだけに、一度は本気で、聖を諦めようと心に誓った。
手練手管に長けた玄人から人妻、素人まで、あらゆる女を抱いて聖を忘れようと思った。
――――だが、どんなに努力しても、聖を忘れる事など不可能で。
「……お前の事を考えると、いつでも、出会った瞬間に戻っちまう。何処の誰の目にも触れさせたくなくて、自分だけのモノにしようと力づくで攫おうとした、あの頃に」
僅かな沈黙のあと、聖は答えを返した。
「あんたとオレは違う」
「……」
「今のオレには、守らなければならないものが増えた。あんたの執心は――迷惑だ」
しかし、史郎が何処かで見守っている事を確信して、悪党の待ち構えている根城へと乗り込んだのも事実だ。
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