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最終章
最終章-3
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もしかしたら、サイエンは最初から、レオン・マフタンの詳細な情報を集めて、ある程度の事を予見していたのではないかと……今はそう疑っている聖だ。
(散々恩着せがましい事を言っていたが、結局、一番得をしたのはヤツだからな。なにが『ミドーに夢中だったというのは分かって欲しい』だ。白々しい!)
切々と愛を語るその裏で、サイエンは何を考えていたのか。
自己保身に走るのは生物としては正しいことだろうが、やはり聖は、この先サイエンと付き合う事は遠慮しようと心に決めた。
(そうだよな。甘い事を言われて惑わされるような歳でもないし。オレはやっぱり独りが気楽だな)
そんな事を思っていたら、晁生がしんみりとした口調で呟くのが聞こえた。
「……今回、私利私欲なしに行動したのは聖だけのようだな」
「ん?」
「君がレオンに、城嶋エンタープライズとマフタン財団の提携を打診してくれたおかげで、皆に素晴らしい手土産を持ち帰ることが出来た。倒産するか経営権を譲渡するか道が無いと諦めていたが、これで首の皮が繋がったよ」
「……良かったな」
「本当に、ありがとう」
晁生はニッコリと微笑み、じっと聖を見つめる。
そうして、ゆっくりと口を開いた。
「君は本当に善い人だ。ボクの窮状を察して、来なくてもいいクイーンダイヤモンドまで付いて来てくれて、こうしてボクを助けてくれた。恩に着るよ。感謝してもし足りない」
「別に、お前の為だけじゃない。ジュピタープロダクションでも、ヨーロッパで信用の置けるプロモーターを捜していた所だったし。マフタンがバックアップを確約したから、こっちも手ぶらじゃない」
素っ気なく言う聖に、晁生は静かに頷く。
昔から、恩着せがましいことは言わずに的確に仕事を熟す聖に、晁生は淡い恋心を抱いていた。
時には聖に手ひどい目に遭いながらも、本気で憎んだ事は無い。
華麗に艶やかに業界を渡り歩く聖こそを、スターに押し上げたいと熱望した過去もある。
だが聖は、そんな晁生の願いも蝶のようにヒラリと躱して、ずっと裏方に徹した。
(散々恩着せがましい事を言っていたが、結局、一番得をしたのはヤツだからな。なにが『ミドーに夢中だったというのは分かって欲しい』だ。白々しい!)
切々と愛を語るその裏で、サイエンは何を考えていたのか。
自己保身に走るのは生物としては正しいことだろうが、やはり聖は、この先サイエンと付き合う事は遠慮しようと心に決めた。
(そうだよな。甘い事を言われて惑わされるような歳でもないし。オレはやっぱり独りが気楽だな)
そんな事を思っていたら、晁生がしんみりとした口調で呟くのが聞こえた。
「……今回、私利私欲なしに行動したのは聖だけのようだな」
「ん?」
「君がレオンに、城嶋エンタープライズとマフタン財団の提携を打診してくれたおかげで、皆に素晴らしい手土産を持ち帰ることが出来た。倒産するか経営権を譲渡するか道が無いと諦めていたが、これで首の皮が繋がったよ」
「……良かったな」
「本当に、ありがとう」
晁生はニッコリと微笑み、じっと聖を見つめる。
そうして、ゆっくりと口を開いた。
「君は本当に善い人だ。ボクの窮状を察して、来なくてもいいクイーンダイヤモンドまで付いて来てくれて、こうしてボクを助けてくれた。恩に着るよ。感謝してもし足りない」
「別に、お前の為だけじゃない。ジュピタープロダクションでも、ヨーロッパで信用の置けるプロモーターを捜していた所だったし。マフタンがバックアップを確約したから、こっちも手ぶらじゃない」
素っ気なく言う聖に、晁生は静かに頷く。
昔から、恩着せがましいことは言わずに的確に仕事を熟す聖に、晁生は淡い恋心を抱いていた。
時には聖に手ひどい目に遭いながらも、本気で憎んだ事は無い。
華麗に艶やかに業界を渡り歩く聖こそを、スターに押し上げたいと熱望した過去もある。
だが聖は、そんな晁生の願いも蝶のようにヒラリと躱して、ずっと裏方に徹した。
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