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爆竹のような音が鳴り響き、会場内は阿鼻叫喚の渦に巻き込まれる。
急転直下のこの事態に、大公の護衛達も成す統べなく混乱に陥った。
発煙筒が焚かれたのか、とにかく凄まじい煙も立ち上り、視界が利かなくなる。
もう、目も開けていられない!
「デヒョン! 」
ジュジンは恋人の名を叫ぶと、辺り構わず手を伸ばす。
「どこだ!? デヒョン!…………サンウンも、どこにいる!? 」
「こ、ここ……サンウンも……」
ジュジンはそれを聞くと、素早く腕を伸ばして二人を両腕に抱え込んだ。
「出るぞっ!」
「うんっ」
「――」
デヒョンの返事はあったが、サンウンは荒い喘鳴を繰り返すだけで返事はしない。
――――出来ないのか?
焦るジュジンであるが、出入り口方向から「こっちへ避難してくださーい! 」という誘導の声が聞こえ、彼は二人を抱えたまま雑踏の中を進んでいった。
◇
この騒ぎは、意外にも直ぐに鎮静化した。
王族に籍を置く一人――――もっとも、それは先日剥奪されていたが――――サイエン・カルマの手腕によって、事態はその日の内に収束へ向かったのである。
ナモ公国は立憲君主制とはいえ、現在でも色濃く残る王家の影響力に、一部国民の間には以前から根強い反発があった。
その為、一部の過激派グループが秘密裏に武器を密輸し、王族が出席する【ナモ・コレ】を狙い襲撃を企てた……が、準備不足か連携不足かは知らぬが、襲撃犯たちは会場へ発煙筒と閃光弾を投げ入れ、現場を混乱に陥れただけで、何もせぬまま逃走してしまった。
幸いにも、死者や重傷を負った者はいない。
けが人は、転倒した際に擦り傷を負ったりした者が数名出たが――――場合によっては大惨事になる事件が、これだけで済んだのは幸運だろう。
「――――これは、全く本当に稀な事であった。テロリスト達が暴挙に及ばず、早々に逃走へ移った事は僥倖以外の何ものでもない。私は、神の加護に感謝する! 」
サイエンは、事件当日の夜に記者会見を開き、テレビカメラの前でそう断言した。
そして彼は、続けた。
「しかし、被害が軽微だったからといって、全ての者が無罪放免となるワケが無い!! 現場検証の結果、ファッションショーに運び込まれた幾つかの荷の中から、大量の銃器が見付かった。当日の警備責任者はアーカム・ルドー侯爵であり、これを看過した彼の責任は重い! 」
急転直下のこの事態に、大公の護衛達も成す統べなく混乱に陥った。
発煙筒が焚かれたのか、とにかく凄まじい煙も立ち上り、視界が利かなくなる。
もう、目も開けていられない!
「デヒョン! 」
ジュジンは恋人の名を叫ぶと、辺り構わず手を伸ばす。
「どこだ!? デヒョン!…………サンウンも、どこにいる!? 」
「こ、ここ……サンウンも……」
ジュジンはそれを聞くと、素早く腕を伸ばして二人を両腕に抱え込んだ。
「出るぞっ!」
「うんっ」
「――」
デヒョンの返事はあったが、サンウンは荒い喘鳴を繰り返すだけで返事はしない。
――――出来ないのか?
焦るジュジンであるが、出入り口方向から「こっちへ避難してくださーい! 」という誘導の声が聞こえ、彼は二人を抱えたまま雑踏の中を進んでいった。
◇
この騒ぎは、意外にも直ぐに鎮静化した。
王族に籍を置く一人――――もっとも、それは先日剥奪されていたが――――サイエン・カルマの手腕によって、事態はその日の内に収束へ向かったのである。
ナモ公国は立憲君主制とはいえ、現在でも色濃く残る王家の影響力に、一部国民の間には以前から根強い反発があった。
その為、一部の過激派グループが秘密裏に武器を密輸し、王族が出席する【ナモ・コレ】を狙い襲撃を企てた……が、準備不足か連携不足かは知らぬが、襲撃犯たちは会場へ発煙筒と閃光弾を投げ入れ、現場を混乱に陥れただけで、何もせぬまま逃走してしまった。
幸いにも、死者や重傷を負った者はいない。
けが人は、転倒した際に擦り傷を負ったりした者が数名出たが――――場合によっては大惨事になる事件が、これだけで済んだのは幸運だろう。
「――――これは、全く本当に稀な事であった。テロリスト達が暴挙に及ばず、早々に逃走へ移った事は僥倖以外の何ものでもない。私は、神の加護に感謝する! 」
サイエンは、事件当日の夜に記者会見を開き、テレビカメラの前でそう断言した。
そして彼は、続けた。
「しかし、被害が軽微だったからといって、全ての者が無罪放免となるワケが無い!! 現場検証の結果、ファッションショーに運び込まれた幾つかの荷の中から、大量の銃器が見付かった。当日の警備責任者はアーカム・ルドー侯爵であり、これを看過した彼の責任は重い! 」
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