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おまけ
隣りのサンタ🎅3
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「ふむ……」
「今回は不運にもテロ未遂があったが――」
ギロリと睨んでくる王子と侯爵の視線を無視して、サイエンは続ける。
「普段のナモ公国の治安の良さは、世界でもトップクラスだ。治安に問題のある中南米や中東、政情不安定なアメリカやEU諸国よりも――――遥かに安全安心だ。ここにMHJを誘致して、今後も開催する事にしてはどうだろう? 」
そして、更に大いなる構想は続く。
「MHJを皮切りに、諸々のイベントを誘致して固定化するのだ。音楽、ファッション、スポーツをな。そうすれば、それに伴う民間企業の進出も大いに見込めるだろう」
サイエンの提案に、二人の男達は頷いた。
「確かにいいアイディアかもな」
「カナダのように映画撮影で優遇し、外資を呼び込むという手もあるな。それなら……」
聖のジュピタープロダクションは、所属する歌手よりも、多くの俳優の方を抱えている。
海外進出も戦略にあるらしく、本年度はハリウッドへ積極的に投資し、準主役級も勝ち取っている。
そうなると、今後も海外進出に力を入れる事は間違いないだろう。
ロケ地誘致でハリウッドを含む外資を呼び込み、世界的に有名な映画監督を招致して、ナモ公国を売り込む。そこには当然、配役に係わる芸能関係者も多く訪れるだろう。
三人の男達は互いにニヤリと笑うと、互いに杯を掲げた。
「オレはもう、彼と付き合えるのなら『友人』でもいいと思っている」
「僕も同じだ。この際、欲は捨てる事にした。恋人は諦める――――ライバルも多すぎるしな」
「わ、私は――」
二人の男にギラリと睨まれ、侯爵も渋々我を捨てる。
「分かった! 恋人として独占するのは諦める。友人でもいいから……何とか、再びナモ公国へと頻繁に来てくれるなら――――その時に少しでも一緒の時間を過ごせたら、それで満足する」
「「「抜け駆けはナシで!」」」
最後の一声は、見事に揃った。
案外、この男達は――――これから仲良く纏まるかもしれない。
◇
「オレが遭難した場合と、あの金髪野郎が遭難した場合。実際のところユウはどっちを助けようとすると思う」
真顔で聞かれ、真壁は大変困った。
そして、恐る恐る訊いてみる。
「あの……御堂さん? もしかして、かなり酔っぱらってますか? 」
「なにっ!? 」
据わった眼で睨み付けられ、真壁は聖の隣で大人しく畏まる。
「いいえ、何でもありません! 」
「オレはなー……あの子が幸せなら、もうそれで良いんだよ。充分なんだ」
「はぁ……」
「だけどな! あの子はオレの中で、昔から――――いっとう輝いている希望の星だったんだ。それを、どうしてあの若造が! 」
ワナワナと震えると、聖は『もう一杯! 』とバーテンダーへ追加を頼む。
すると、聖の隣に座っていた――真壁とは逆側に陣取って座っていた碇が、嘆息しながら口を開いた。
「――――おい、もういい加減に止めとけよ」
「あぁ!? 」
「それにお前、その若造と待ち合わせしていたんじゃなかったか? 」
碇の疑問に、聖は深いふかい溜め息をつくと、ボソッと言った。
「……そうだよ。だからお前達と、こうして美味くもない酒を飲んでるんだろうが」
「? 」
「あーあ……オレも、恋愛はもう卒業だと思ってたが――――諦めないで、また一花咲かせるかなぁ」
聖はそう言うと、アルコールを一口含んでコクリと嚥下し、次に甘く熱い吐息を中空へと吐き出した。
御堂聖、まだ四十路の男盛りの花盛り。
ここでイロコイをすっぱり諦め、引退するには早過ぎる。
美しいと誰もが褒めそやし、どこに行っても人目を引くほどに、綺麗な男だ。
現に、昔と変わらず恋の相手は引きも切らず、求婚してくる相手のグレードも、昔よりずっと上がっている。
ここナモ公国でも、幾人もの男からせめて食事だけでもと懇願されている。
しかし何より、こんなに好い男達も身近にいるのだし。
自分とよく似た面差しの、愛しい息子が手から離れて行くのは寂しいが――――今でも、雪の降る寒々としたアパートの一室で、幼い息子を抱き締めた時の感触も覚えているが。
いつまでも、自分の腕の中で大切にずっと護って行きたいが……。
(――――こればっかりは、仕方ねぇなぁ……)
「……お前達」
「ん? 」
「何でしょう? 」
碇は気遣うように、真壁は心配そうに、それぞれ聖の両隣から返答をする。
しばしの沈黙の後、聖はフッと笑った。
「オレも、それなりに楽しい人生だよ。皆のお陰でな」
だから、ここは譲るとしよう。
自分にも、愛していると言ってくれるヤツは大勢いるのだし。
聖はちょっと寂しそうに微笑み、最後にカランとグラスを鳴らした。
◇
『ピーコックグリーン』
そのBARの扉を、零は緊張しながらギッと開いた。
趣味のいい、落ち着いた色で統一された仄暗い店内を見回すと、カウンターに一人座る華奢な人物の後ろ姿が目に留まった。
一瞬、御堂聖かと思うが――――。
「……ユウさん? 」
「――零」
振り向いたのは、待ち合わせをしていた筈の聖ではなく、ユウであった。
「どうしてユウさんが、ここに? ――あ、ジントニックお願いします」
オーダーしながら、ユウの隣のカウンターへ腰を下ろす。
そして手土産にと、律儀に再度持ってきたシャンパンとワインの入った袋を手に、キョロキョロと周りを見回すが、聖の姿は見当たらない。
「ええと――ユウさん一人だけですか? 」
すると、ユウはテーブルの上にスッと封筒を差し出した。
怪訝な表情で、零はそれに視線を落とす。
「これは? 」
「聖さんからの餞別だって」
「――――? 」
開けてみると、中には、日本のテーマパークのフリーパスが二枚とカードが入っている。
カードには、
『少し早いが、オレからのクリスマスプレゼントだ。リボンを付けて贈るから、一生大事にしろよ。もしも泣かせたら承知しねぇぞ』
と、書かれてあった。
「リボン? 」
視線をユウに戻すと、ユウの襟元にはリボン・タイが結ばれていた。
ユウは零の視線を受けると、ニッコリと極上の笑みを浮かべる。
そして、桜色の唇をクッと上げ、自分のグラスに残っていたオリーブを抓んだ。
「あ~ん」
「? 」
言われるままに口を開けると、ユウはそれを零の口に放り込む。
「オレからのプレゼントだ」
〔ゴクンッ〕
鮮やかに微笑むユウに見惚れながら、零はそれを嚥下する。
そして、ゆっくりと口を開いた。
「――――ええと、もしかして……御堂さんが言いたいのは……」
「オレ、ここに来る直前に……今まで一度もネズミーランドに行った事が無いって言ったら、今度二人で行こうって聖さんが――多分、帰国したら、忙しくなる前に実行しようとしてクリスマスプレゼントのつもりで――サプライズ目的でチケットを用意してたんだろうな」
今まで、親子一緒の行事に一切関わる事が出来なかっただけに、聖は、ユウのどんな願いでも叶えようと、いつも必死だ。
このチケットも、密かに手配して手に入れていたのだろう。
だが、その用意していた筈のチケットを、今回零へ託したという事は。
「もしかして――御堂さんは、オレとユウさんの事を……」
「そんなの、とっくにだろう」
ユウはハハハと笑い、零に向き直る。
「あの人は、もうお前を認めているんだよ。今はちょっと拗ねているだけさ。普段はちょっと怖いけれど、元々は凄く優しい人なんだぜ」
――――あの人が無条件で優しいのは、ユウに対してだけだろう。
そう思い、零は苦笑を返す。
しかし、何はともあれ。
「それじゃあ、有難く頂きます」
「大事にしろよ」
小悪魔のように笑い、次にユウはぺちっと零の頭を叩く。
「? 」
「お前、仕事が押してるんだろう? マネージャーがあちこち駆けずり回っていたぞ? あまり困らせてやるな……今夜0時、ヨーロッパ行きのチャーター機が出るらしいから、それに乗せてもらえ」
「えぇ!? 」
せっかく、聖のお許しが出たというのに――――このまま、またお預けか!?
絶望しかける零に、ユウは可愛くウィンクをした。
「裏に車を停めてある」
「え? 」
零の手に、白魚のような手を重ね、ユウは囁く。
「お前の手……あったかい……」
「ユ、ユウさん? 」
「さすがにここは常夏の国だけど、夜は少し冷える。それに、さっきからずっと店内にいたからクーラーで身体が冷えちまった。車の中で、もっと温まろうぜ」
「えっ!? 」
「――――それが終わったら、空港に直行だ。ジントニックはバーテンダーへ奢っておけ」
さすがに言いたい事分かり、零の顔は一気に紅潮する。
「ユウさん!! 」
「生クリームたっぷりの極上ケーキ、お前に食わせてやるよ」
本当は恋愛経験値0のクセに、余裕ぶってそんな事を言い年上ぶるユウは――――ますます可愛い。
三十路である筈だが、この魅力的なセイレーンはそんな事さえ微塵も感じさせない強烈な引力がある。
喋る声音は美しく、鈴を転がすような笑い声は愛らしい。
歌う声は、嫋やかで麗しい極上の典雅だ。
零はもう、出会う度に好きで堪らなくなる。
「はい! 美味しく頂きます!! 」
「よろしい」
零の返事に満足げに頷くと、ユウは艶やかに微笑んだ。
「12時まで遊んだら――――とっとと行けよ、シンデレラ? 」
年上の貫録を見せているつもりのユウであったが、やはり彼は…………零にとって、キュートで可憐なセイレーンなのであった。
☆おわり☆
これにて終了で御座います。
明日はまた趣向を凝らしたオマケを用意しようと思ってます。
もうしばしお付き合い頂ければ幸いで御座います。
「今回は不運にもテロ未遂があったが――」
ギロリと睨んでくる王子と侯爵の視線を無視して、サイエンは続ける。
「普段のナモ公国の治安の良さは、世界でもトップクラスだ。治安に問題のある中南米や中東、政情不安定なアメリカやEU諸国よりも――――遥かに安全安心だ。ここにMHJを誘致して、今後も開催する事にしてはどうだろう? 」
そして、更に大いなる構想は続く。
「MHJを皮切りに、諸々のイベントを誘致して固定化するのだ。音楽、ファッション、スポーツをな。そうすれば、それに伴う民間企業の進出も大いに見込めるだろう」
サイエンの提案に、二人の男達は頷いた。
「確かにいいアイディアかもな」
「カナダのように映画撮影で優遇し、外資を呼び込むという手もあるな。それなら……」
聖のジュピタープロダクションは、所属する歌手よりも、多くの俳優の方を抱えている。
海外進出も戦略にあるらしく、本年度はハリウッドへ積極的に投資し、準主役級も勝ち取っている。
そうなると、今後も海外進出に力を入れる事は間違いないだろう。
ロケ地誘致でハリウッドを含む外資を呼び込み、世界的に有名な映画監督を招致して、ナモ公国を売り込む。そこには当然、配役に係わる芸能関係者も多く訪れるだろう。
三人の男達は互いにニヤリと笑うと、互いに杯を掲げた。
「オレはもう、彼と付き合えるのなら『友人』でもいいと思っている」
「僕も同じだ。この際、欲は捨てる事にした。恋人は諦める――――ライバルも多すぎるしな」
「わ、私は――」
二人の男にギラリと睨まれ、侯爵も渋々我を捨てる。
「分かった! 恋人として独占するのは諦める。友人でもいいから……何とか、再びナモ公国へと頻繁に来てくれるなら――――その時に少しでも一緒の時間を過ごせたら、それで満足する」
「「「抜け駆けはナシで!」」」
最後の一声は、見事に揃った。
案外、この男達は――――これから仲良く纏まるかもしれない。
◇
「オレが遭難した場合と、あの金髪野郎が遭難した場合。実際のところユウはどっちを助けようとすると思う」
真顔で聞かれ、真壁は大変困った。
そして、恐る恐る訊いてみる。
「あの……御堂さん? もしかして、かなり酔っぱらってますか? 」
「なにっ!? 」
据わった眼で睨み付けられ、真壁は聖の隣で大人しく畏まる。
「いいえ、何でもありません! 」
「オレはなー……あの子が幸せなら、もうそれで良いんだよ。充分なんだ」
「はぁ……」
「だけどな! あの子はオレの中で、昔から――――いっとう輝いている希望の星だったんだ。それを、どうしてあの若造が! 」
ワナワナと震えると、聖は『もう一杯! 』とバーテンダーへ追加を頼む。
すると、聖の隣に座っていた――真壁とは逆側に陣取って座っていた碇が、嘆息しながら口を開いた。
「――――おい、もういい加減に止めとけよ」
「あぁ!? 」
「それにお前、その若造と待ち合わせしていたんじゃなかったか? 」
碇の疑問に、聖は深いふかい溜め息をつくと、ボソッと言った。
「……そうだよ。だからお前達と、こうして美味くもない酒を飲んでるんだろうが」
「? 」
「あーあ……オレも、恋愛はもう卒業だと思ってたが――――諦めないで、また一花咲かせるかなぁ」
聖はそう言うと、アルコールを一口含んでコクリと嚥下し、次に甘く熱い吐息を中空へと吐き出した。
御堂聖、まだ四十路の男盛りの花盛り。
ここでイロコイをすっぱり諦め、引退するには早過ぎる。
美しいと誰もが褒めそやし、どこに行っても人目を引くほどに、綺麗な男だ。
現に、昔と変わらず恋の相手は引きも切らず、求婚してくる相手のグレードも、昔よりずっと上がっている。
ここナモ公国でも、幾人もの男からせめて食事だけでもと懇願されている。
しかし何より、こんなに好い男達も身近にいるのだし。
自分とよく似た面差しの、愛しい息子が手から離れて行くのは寂しいが――――今でも、雪の降る寒々としたアパートの一室で、幼い息子を抱き締めた時の感触も覚えているが。
いつまでも、自分の腕の中で大切にずっと護って行きたいが……。
(――――こればっかりは、仕方ねぇなぁ……)
「……お前達」
「ん? 」
「何でしょう? 」
碇は気遣うように、真壁は心配そうに、それぞれ聖の両隣から返答をする。
しばしの沈黙の後、聖はフッと笑った。
「オレも、それなりに楽しい人生だよ。皆のお陰でな」
だから、ここは譲るとしよう。
自分にも、愛していると言ってくれるヤツは大勢いるのだし。
聖はちょっと寂しそうに微笑み、最後にカランとグラスを鳴らした。
◇
『ピーコックグリーン』
そのBARの扉を、零は緊張しながらギッと開いた。
趣味のいい、落ち着いた色で統一された仄暗い店内を見回すと、カウンターに一人座る華奢な人物の後ろ姿が目に留まった。
一瞬、御堂聖かと思うが――――。
「……ユウさん? 」
「――零」
振り向いたのは、待ち合わせをしていた筈の聖ではなく、ユウであった。
「どうしてユウさんが、ここに? ――あ、ジントニックお願いします」
オーダーしながら、ユウの隣のカウンターへ腰を下ろす。
そして手土産にと、律儀に再度持ってきたシャンパンとワインの入った袋を手に、キョロキョロと周りを見回すが、聖の姿は見当たらない。
「ええと――ユウさん一人だけですか? 」
すると、ユウはテーブルの上にスッと封筒を差し出した。
怪訝な表情で、零はそれに視線を落とす。
「これは? 」
「聖さんからの餞別だって」
「――――? 」
開けてみると、中には、日本のテーマパークのフリーパスが二枚とカードが入っている。
カードには、
『少し早いが、オレからのクリスマスプレゼントだ。リボンを付けて贈るから、一生大事にしろよ。もしも泣かせたら承知しねぇぞ』
と、書かれてあった。
「リボン? 」
視線をユウに戻すと、ユウの襟元にはリボン・タイが結ばれていた。
ユウは零の視線を受けると、ニッコリと極上の笑みを浮かべる。
そして、桜色の唇をクッと上げ、自分のグラスに残っていたオリーブを抓んだ。
「あ~ん」
「? 」
言われるままに口を開けると、ユウはそれを零の口に放り込む。
「オレからのプレゼントだ」
〔ゴクンッ〕
鮮やかに微笑むユウに見惚れながら、零はそれを嚥下する。
そして、ゆっくりと口を開いた。
「――――ええと、もしかして……御堂さんが言いたいのは……」
「オレ、ここに来る直前に……今まで一度もネズミーランドに行った事が無いって言ったら、今度二人で行こうって聖さんが――多分、帰国したら、忙しくなる前に実行しようとしてクリスマスプレゼントのつもりで――サプライズ目的でチケットを用意してたんだろうな」
今まで、親子一緒の行事に一切関わる事が出来なかっただけに、聖は、ユウのどんな願いでも叶えようと、いつも必死だ。
このチケットも、密かに手配して手に入れていたのだろう。
だが、その用意していた筈のチケットを、今回零へ託したという事は。
「もしかして――御堂さんは、オレとユウさんの事を……」
「そんなの、とっくにだろう」
ユウはハハハと笑い、零に向き直る。
「あの人は、もうお前を認めているんだよ。今はちょっと拗ねているだけさ。普段はちょっと怖いけれど、元々は凄く優しい人なんだぜ」
――――あの人が無条件で優しいのは、ユウに対してだけだろう。
そう思い、零は苦笑を返す。
しかし、何はともあれ。
「それじゃあ、有難く頂きます」
「大事にしろよ」
小悪魔のように笑い、次にユウはぺちっと零の頭を叩く。
「? 」
「お前、仕事が押してるんだろう? マネージャーがあちこち駆けずり回っていたぞ? あまり困らせてやるな……今夜0時、ヨーロッパ行きのチャーター機が出るらしいから、それに乗せてもらえ」
「えぇ!? 」
せっかく、聖のお許しが出たというのに――――このまま、またお預けか!?
絶望しかける零に、ユウは可愛くウィンクをした。
「裏に車を停めてある」
「え? 」
零の手に、白魚のような手を重ね、ユウは囁く。
「お前の手……あったかい……」
「ユ、ユウさん? 」
「さすがにここは常夏の国だけど、夜は少し冷える。それに、さっきからずっと店内にいたからクーラーで身体が冷えちまった。車の中で、もっと温まろうぜ」
「えっ!? 」
「――――それが終わったら、空港に直行だ。ジントニックはバーテンダーへ奢っておけ」
さすがに言いたい事分かり、零の顔は一気に紅潮する。
「ユウさん!! 」
「生クリームたっぷりの極上ケーキ、お前に食わせてやるよ」
本当は恋愛経験値0のクセに、余裕ぶってそんな事を言い年上ぶるユウは――――ますます可愛い。
三十路である筈だが、この魅力的なセイレーンはそんな事さえ微塵も感じさせない強烈な引力がある。
喋る声音は美しく、鈴を転がすような笑い声は愛らしい。
歌う声は、嫋やかで麗しい極上の典雅だ。
零はもう、出会う度に好きで堪らなくなる。
「はい! 美味しく頂きます!! 」
「よろしい」
零の返事に満足げに頷くと、ユウは艶やかに微笑んだ。
「12時まで遊んだら――――とっとと行けよ、シンデレラ? 」
年上の貫録を見せているつもりのユウであったが、やはり彼は…………零にとって、キュートで可憐なセイレーンなのであった。
☆おわり☆
これにて終了で御座います。
明日はまた趣向を凝らしたオマケを用意しようと思ってます。
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