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第1章 死神編
第13話 後輩との食事と今後
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ギルド本部・総督室──
重く閉ざされた扉の中、張り詰めた空気の中で最初に口を開いたのは、ギルド総督ハイドだった。
「単刀直入に聞く。サティ・フライデー──お前が《死神》だな?」
鋭く、揺るぎない声だった。
私は眉ひとつ動かさず、目の前の男を見返した。だが、心は静かに波打っていた。
この部屋には、私以外に三人のリーダーがいた。ジェイルとガイ、そして見慣れない女性。
「《死神》ですか?」
問いを返す私に、ハイドが軽く頷く。そして傍らの女性が一歩前に出た。
「総督。本題に入る前に、私のことをご紹介いただけますか?」
「そうだったな。彼女は《白瑛の月》というSランクパーティーのリーダー、メイリ・ラングルだ」
「はじめまして。メイリ・ラングルです。それで──話を戻しましょう。あなたが、《死神》?」
彼女の目は冷静で、だが敵意もなかった。ただ真実を見極めようとする観察者の目。
「……サティ・フライデー。誤魔化さずに正直に話した方が、お互いのためだ」
ハイドの言葉に、私は短く息を吐いた。
――これまで通り、受付嬢として生きるには、ここでの対応が重要だ。
考えた末、私は静かに告げた。
「……分かりました。認めます。私が《死神》です」
その瞬間、室内の空気が変わる。
ジェイルもガイも驚きを隠しきれず、同時に安堵の吐息を漏らす。
「認めたか……」と呟くハイド。
すると、沈黙を破るようにメイリが話しかけてきた。
「それにしても……なんで受付嬢なのに、冒険者なんて?」
「……攻略が進まないダンジョンがあった時に、助けになればと思って。自分の正体を隠していたのは、ただそれだけです」
納得してくれるだろうかと不安に思ったが、メイリはあっさりと頷いた。
「なるほどね。ひとまずは納得したわ。またどこかで、ゆっくり話しましょう。サティ」
女同士、どこか通じるものを感じてくれたのだろうか。
「サティ、君はどうしたいんだ?」とハイドが問う。
「私は……これまで通り、受付嬢として働きたいと思っています」
「そうか。それなら私から言うことは何もない。通常業務に戻ってくれ」
そう言われて、私は一礼し、部屋を後にした。
* * *
廊下を歩いていると、後ろから声が掛かった。
「……今回は証拠もなかったから、強く追及できなかったけど。君のこと、骨の髄まで調べて見せるから」
軽い口調に見せかけたその言葉に、私は苦笑いを返す。
「メイリさん、怖いこと言わないでくださいよ」
「私はいつだって真面目よ?」
笑いながら去っていく彼女の背を見送り、私はつぶやいた。
「やっぱり……S級の冒険者って、重みが違うわね」
再びギルド支部に戻った私は、いつものカウンターに立った。
「ただいま戻りました」
「おお、サティ。総督と何を話していたんだ?」と支部マスター。
「業務のことを少し……。大した話じゃありませんよ」
もちろん、真実は言えない。だが、マスターはそれ以上突っ込まず、うなずいた。
「……じゃあ、今日も仕事、頑張ろうかな」
「先輩! 今日は遅刻ですか? 珍しいですね!」
声をかけてきたのは後輩のルリ。明るい笑顔に少し気が緩む。
「総督に呼ばれてたのよ」
「えっ、何かやらかしました?」
「やらかしてないわよ! ただ、業務はこなせてるかって、それだけ」
「お疲れ様です!」
「……さ、仕事するわよ」
「はいっ! 一緒に頑張りましょう!」
ルリと並んで仕事をこなしながら、ふと思いつく。
「そうだ、仕事終わったらご飯でも行こうか。たまには先輩らしいところ、見せないとね」
「えっ、いいんですか!? 先輩がご馳走してくれるなんて!」
「最近、頑張ってるみたいだしね」
「やったぁー!」
そう言って、ルリは楽しそうに頷いた。
* * *
夕方。仕事を終えた私はルリと街に出る。
「どこに行きたい?」
「最近流行ってる、肉が美味しい店がいいです!」
「ふふ、じゃあ、そこにしましょう」
もとより、そのつもりだった。私が奢るのだから、彼女が行きたい場所で構わない。
「早く行きましょうよ!」
「わ、わかったから。腕、引っ張らないで!」
「先輩って、歩くの遅いんですよ~」
そう愚痴られながらも、私はそのやり取りが、どこか心地よく感じていた。
仮面を脱いだあとも、私には“日常”がある。
それが、何よりの救いだった。
***
~補足~
この作品の冒険者の等級とパーティのランクについて。
この世界で、冒険者の等級は壱(Ⅰ)から玖(Ⅸ)までありパーティーランクはS~Gの8つです。
ちなみにですがサティ・フライデーは等級が壱。
Sランクパーティ《白瑛の月》リーダーのメイル。
Aランクパーティは《白金の盾》リーダーのジェイルと《黄金の剣》のリーダーのガイ。
それに続きBからGまである。
パーティを組む場合、最初はGから始まりほとんどの者がAやBで止まる。Sまで到達する者はほとんどいない。
~今後の物語の流れ~
総督に呼び出された後もギルドで毎日忙しく働いているサティ。数日、忙しくしていたある日、《死神》として依頼が入る。
その依頼者はサティが《死神》であることを知っているようだ。
依頼内容はどんなものか依頼者は誰か。
そして、なぜ《死神》に依頼を出したのか。
そして、サティは久々に他の街へ行くことになる。そしてある人物と会合することに。
ある人物とは誰なのか。
これからサティの交友関係はどんどん広がります。
サティのスキル《大罪》
《大罪》にはそれぞれ権能が存在します。権能は加護の上位互換。
この物語にはまだ加護持ちのキャラクターは出てきていませんが今後、登場させる予定です。
虚飾や色欲の権能は作品に出てきたのでご存知かと思いますが他のものはまだ出てきてないので楽しみにしていてください。
今日はここら辺でお別れです。またお会いしましょう
重く閉ざされた扉の中、張り詰めた空気の中で最初に口を開いたのは、ギルド総督ハイドだった。
「単刀直入に聞く。サティ・フライデー──お前が《死神》だな?」
鋭く、揺るぎない声だった。
私は眉ひとつ動かさず、目の前の男を見返した。だが、心は静かに波打っていた。
この部屋には、私以外に三人のリーダーがいた。ジェイルとガイ、そして見慣れない女性。
「《死神》ですか?」
問いを返す私に、ハイドが軽く頷く。そして傍らの女性が一歩前に出た。
「総督。本題に入る前に、私のことをご紹介いただけますか?」
「そうだったな。彼女は《白瑛の月》というSランクパーティーのリーダー、メイリ・ラングルだ」
「はじめまして。メイリ・ラングルです。それで──話を戻しましょう。あなたが、《死神》?」
彼女の目は冷静で、だが敵意もなかった。ただ真実を見極めようとする観察者の目。
「……サティ・フライデー。誤魔化さずに正直に話した方が、お互いのためだ」
ハイドの言葉に、私は短く息を吐いた。
――これまで通り、受付嬢として生きるには、ここでの対応が重要だ。
考えた末、私は静かに告げた。
「……分かりました。認めます。私が《死神》です」
その瞬間、室内の空気が変わる。
ジェイルもガイも驚きを隠しきれず、同時に安堵の吐息を漏らす。
「認めたか……」と呟くハイド。
すると、沈黙を破るようにメイリが話しかけてきた。
「それにしても……なんで受付嬢なのに、冒険者なんて?」
「……攻略が進まないダンジョンがあった時に、助けになればと思って。自分の正体を隠していたのは、ただそれだけです」
納得してくれるだろうかと不安に思ったが、メイリはあっさりと頷いた。
「なるほどね。ひとまずは納得したわ。またどこかで、ゆっくり話しましょう。サティ」
女同士、どこか通じるものを感じてくれたのだろうか。
「サティ、君はどうしたいんだ?」とハイドが問う。
「私は……これまで通り、受付嬢として働きたいと思っています」
「そうか。それなら私から言うことは何もない。通常業務に戻ってくれ」
そう言われて、私は一礼し、部屋を後にした。
* * *
廊下を歩いていると、後ろから声が掛かった。
「……今回は証拠もなかったから、強く追及できなかったけど。君のこと、骨の髄まで調べて見せるから」
軽い口調に見せかけたその言葉に、私は苦笑いを返す。
「メイリさん、怖いこと言わないでくださいよ」
「私はいつだって真面目よ?」
笑いながら去っていく彼女の背を見送り、私はつぶやいた。
「やっぱり……S級の冒険者って、重みが違うわね」
再びギルド支部に戻った私は、いつものカウンターに立った。
「ただいま戻りました」
「おお、サティ。総督と何を話していたんだ?」と支部マスター。
「業務のことを少し……。大した話じゃありませんよ」
もちろん、真実は言えない。だが、マスターはそれ以上突っ込まず、うなずいた。
「……じゃあ、今日も仕事、頑張ろうかな」
「先輩! 今日は遅刻ですか? 珍しいですね!」
声をかけてきたのは後輩のルリ。明るい笑顔に少し気が緩む。
「総督に呼ばれてたのよ」
「えっ、何かやらかしました?」
「やらかしてないわよ! ただ、業務はこなせてるかって、それだけ」
「お疲れ様です!」
「……さ、仕事するわよ」
「はいっ! 一緒に頑張りましょう!」
ルリと並んで仕事をこなしながら、ふと思いつく。
「そうだ、仕事終わったらご飯でも行こうか。たまには先輩らしいところ、見せないとね」
「えっ、いいんですか!? 先輩がご馳走してくれるなんて!」
「最近、頑張ってるみたいだしね」
「やったぁー!」
そう言って、ルリは楽しそうに頷いた。
* * *
夕方。仕事を終えた私はルリと街に出る。
「どこに行きたい?」
「最近流行ってる、肉が美味しい店がいいです!」
「ふふ、じゃあ、そこにしましょう」
もとより、そのつもりだった。私が奢るのだから、彼女が行きたい場所で構わない。
「早く行きましょうよ!」
「わ、わかったから。腕、引っ張らないで!」
「先輩って、歩くの遅いんですよ~」
そう愚痴られながらも、私はそのやり取りが、どこか心地よく感じていた。
仮面を脱いだあとも、私には“日常”がある。
それが、何よりの救いだった。
***
~補足~
この作品の冒険者の等級とパーティのランクについて。
この世界で、冒険者の等級は壱(Ⅰ)から玖(Ⅸ)までありパーティーランクはS~Gの8つです。
ちなみにですがサティ・フライデーは等級が壱。
Sランクパーティ《白瑛の月》リーダーのメイル。
Aランクパーティは《白金の盾》リーダーのジェイルと《黄金の剣》のリーダーのガイ。
それに続きBからGまである。
パーティを組む場合、最初はGから始まりほとんどの者がAやBで止まる。Sまで到達する者はほとんどいない。
~今後の物語の流れ~
総督に呼び出された後もギルドで毎日忙しく働いているサティ。数日、忙しくしていたある日、《死神》として依頼が入る。
その依頼者はサティが《死神》であることを知っているようだ。
依頼内容はどんなものか依頼者は誰か。
そして、なぜ《死神》に依頼を出したのか。
そして、サティは久々に他の街へ行くことになる。そしてある人物と会合することに。
ある人物とは誰なのか。
これからサティの交友関係はどんどん広がります。
サティのスキル《大罪》
《大罪》にはそれぞれ権能が存在します。権能は加護の上位互換。
この物語にはまだ加護持ちのキャラクターは出てきていませんが今後、登場させる予定です。
虚飾や色欲の権能は作品に出てきたのでご存知かと思いますが他のものはまだ出てきてないので楽しみにしていてください。
今日はここら辺でお別れです。またお会いしましょう
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