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策謀の果てに
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「ふあっ……。ああ、あ――」
クラウス王子は、ようやく余韻に襲われていた。
何度も意識が飛び、失神からようやく回復していく。
水面に顔を出した鮒のように口を開き、喘いでる。
――勝った。
枕の傍らで喘ぐクラウス王子の顔を覗き込みながら、フリージアは総革新した。
処女を喪ってでも、手に入れたいものがあったのだ。
股間には、疼痛と熱さがある。
それは王家の血筋と、クラウス王子の心を手に入れた証である。
虚ろな瞳は焦点を結ばず、びくっ、びくっとまだ小さく身を震わしている。
まだ幼気なクラウス王子に、初めて性の快感を刻んだのだ。
破瓜の痛みも、今は愛おしい。
「クラウス王子……」
「え? ……ん?」
いまだ、意識がぼやけているクラウス王子の唇を奪い、舌を差し入れる。
フリージアは、戸惑う王子にエリンの面影を重ねた。
「んん、うむぅ……」
舌で存分に口腔内の感触を味わったのち、解放してやる。
今、フリージアはクラウス王子にエリンを重ねて弄んでいる。
クラウス王子に処女を捧げ、意のままにするという謀略のためにエリンと交わることはできなかった。
だが、事は成就したのだ。
これからは、存分に抱いてやれる。
そしてまた、このクラウス王子も手に入れた。
彼には、エリンとは違う可愛さがある。
人形のように愛らしく、貴種にふさわしい面立ちをしているのだ。
セックスの疲労の中で、フリージアの期待は膨らんでいた。
「あなたは、兄上たちに勝つおつもりなのですか……」
はあはあと荒い息を吐き、クラウス王子が問うてきた。
そう、もう子供の振りはできない。
快楽に溺れて腰を動かし、フリージアに子種を放ったのだから。
「はい、第一王子は、王家の秘密を知り、守旧派のギュスターランド公爵家を廃しようとしております。わたくしにも暗殺者が差し向けられました」
「そうだったのですか。兄上は、焦っておいでなのでしょう」
「そう、第一王子は改革派の貴族たちと結んで王国を刷新しようとしておられます。ですから、わたくしとあなたが邪魔なのです」
「…………」
クラウス王子は沈黙する。
彼は、王位に興味はなかったのだ。
だから、継承者争いから降りるために、白痴をよそおっていた。
「あなたは、僕が兄様たちに勝てると思っているのですか?」
「はい、殿下は正妃様の忘れ形見。正式な王位継承者であられます。あなたさえ望むのならば――」
クラウス王子は正妃の子であるが、生まれ順では末子となっている。
ここには複雑な事情がある。
国王の初婚の相手は、子を為さずに死んだ。
不義の疑いをかけられ、国王から疎まれて幽閉されのが原因と言われている。
国王が教会によって戴冠した以上、離婚は許されない。
この背景には、国王が踊り子上がりの愛妾を見初め、正妃に迎えようと画策したからだと言われる。
貴族と教会は、この後ろ盾を持たぬ愛妾を正妃の座につけることに反対した。
どこの馬とも知れぬ踊り子などに既得権益を犯される理由などなく、守旧派の貴族たちも空白となった正妃の座に娘をつけることで外戚となれれば権力を掌中に収めることができる。
そのため、国王の寵愛はあるものの愛妾という立場にまだ変わらない。
この大陸では正妃でない庶子には相続権を認めないというのが習わしである。
よって、愛妾の子である第一王子と第二王子は相続権はないが、正統な継承者が生まれないままであればその座も転がり込んくる。
しかし、ここで予想外のことが起こる。
好色な国王は貴族の若い娘にも手を出していた。
第三王子クラウスの母は、国王のお手つきとなり彼を身ごもったのである。
これが発覚すると、宮廷が慌てふためいた。
結婚の約束を交わさぬまま、未婚の子を設けるというのは不道徳の極みだ。
しかも相手はまだ一五歳で、年端もゆかぬ娘を孕ませたとあってはいかにも体裁が悪い。
踊り子に手を出したというのとはわけが違う。
そこで、重臣たちは宮廷相談役の枢機卿と結び、ふたりは秘密結婚を交わしていたとをでっち上げた。
結局、婚姻によって生まれたとして正妃の座を与え、第三王子クラウスが生まれた。
しかし、運命はここでも悪戯をする。
正妃は、産後の肥立ち悪く、クラウス王子を生んでまもなく身罷った。
こうして継承権があるものの、なんの後ろ盾もないクラウス王子が残された。
庶子の王子からすれば、目障り極まりない。
みずからの立場の危うさを知るクラウス王子は、知恵の遅れたふりをして今まで身を守っていたというわけだ。
「いかがでしょう殿下。わたくしとあなたは第一王子にとって邪魔者同士。手を組みませんか?」
「……あなたは、兄上を亡き者にするおつもりですか」
「そのつもりですわ。わたくしをともに、血まみれの玉座を目指しましょう。
フリージアの魂胆をクラウス王子は悟った。
王国の闇を引き受けたギュスターランド公爵家と結び、ふたりの腹違いの兄を葬らねばならねばならないと。
「女侯爵殿、僕はあなたとともに……」
「なら、フリージアとおよびくださいまし」
フリージアは、クラウス王子が伸ばした手を取り、自分に引き寄せる。
その双丘に、彼は顔を埋めた。
顔も知らぬ母の面影を求めているのだと、フリージアは抱きしめてやるのだった。
クラウス王子は、ようやく余韻に襲われていた。
何度も意識が飛び、失神からようやく回復していく。
水面に顔を出した鮒のように口を開き、喘いでる。
――勝った。
枕の傍らで喘ぐクラウス王子の顔を覗き込みながら、フリージアは総革新した。
処女を喪ってでも、手に入れたいものがあったのだ。
股間には、疼痛と熱さがある。
それは王家の血筋と、クラウス王子の心を手に入れた証である。
虚ろな瞳は焦点を結ばず、びくっ、びくっとまだ小さく身を震わしている。
まだ幼気なクラウス王子に、初めて性の快感を刻んだのだ。
破瓜の痛みも、今は愛おしい。
「クラウス王子……」
「え? ……ん?」
いまだ、意識がぼやけているクラウス王子の唇を奪い、舌を差し入れる。
フリージアは、戸惑う王子にエリンの面影を重ねた。
「んん、うむぅ……」
舌で存分に口腔内の感触を味わったのち、解放してやる。
今、フリージアはクラウス王子にエリンを重ねて弄んでいる。
クラウス王子に処女を捧げ、意のままにするという謀略のためにエリンと交わることはできなかった。
だが、事は成就したのだ。
これからは、存分に抱いてやれる。
そしてまた、このクラウス王子も手に入れた。
彼には、エリンとは違う可愛さがある。
人形のように愛らしく、貴種にふさわしい面立ちをしているのだ。
セックスの疲労の中で、フリージアの期待は膨らんでいた。
「あなたは、兄上たちに勝つおつもりなのですか……」
はあはあと荒い息を吐き、クラウス王子が問うてきた。
そう、もう子供の振りはできない。
快楽に溺れて腰を動かし、フリージアに子種を放ったのだから。
「はい、第一王子は、王家の秘密を知り、守旧派のギュスターランド公爵家を廃しようとしております。わたくしにも暗殺者が差し向けられました」
「そうだったのですか。兄上は、焦っておいでなのでしょう」
「そう、第一王子は改革派の貴族たちと結んで王国を刷新しようとしておられます。ですから、わたくしとあなたが邪魔なのです」
「…………」
クラウス王子は沈黙する。
彼は、王位に興味はなかったのだ。
だから、継承者争いから降りるために、白痴をよそおっていた。
「あなたは、僕が兄様たちに勝てると思っているのですか?」
「はい、殿下は正妃様の忘れ形見。正式な王位継承者であられます。あなたさえ望むのならば――」
クラウス王子は正妃の子であるが、生まれ順では末子となっている。
ここには複雑な事情がある。
国王の初婚の相手は、子を為さずに死んだ。
不義の疑いをかけられ、国王から疎まれて幽閉されのが原因と言われている。
国王が教会によって戴冠した以上、離婚は許されない。
この背景には、国王が踊り子上がりの愛妾を見初め、正妃に迎えようと画策したからだと言われる。
貴族と教会は、この後ろ盾を持たぬ愛妾を正妃の座につけることに反対した。
どこの馬とも知れぬ踊り子などに既得権益を犯される理由などなく、守旧派の貴族たちも空白となった正妃の座に娘をつけることで外戚となれれば権力を掌中に収めることができる。
そのため、国王の寵愛はあるものの愛妾という立場にまだ変わらない。
この大陸では正妃でない庶子には相続権を認めないというのが習わしである。
よって、愛妾の子である第一王子と第二王子は相続権はないが、正統な継承者が生まれないままであればその座も転がり込んくる。
しかし、ここで予想外のことが起こる。
好色な国王は貴族の若い娘にも手を出していた。
第三王子クラウスの母は、国王のお手つきとなり彼を身ごもったのである。
これが発覚すると、宮廷が慌てふためいた。
結婚の約束を交わさぬまま、未婚の子を設けるというのは不道徳の極みだ。
しかも相手はまだ一五歳で、年端もゆかぬ娘を孕ませたとあってはいかにも体裁が悪い。
踊り子に手を出したというのとはわけが違う。
そこで、重臣たちは宮廷相談役の枢機卿と結び、ふたりは秘密結婚を交わしていたとをでっち上げた。
結局、婚姻によって生まれたとして正妃の座を与え、第三王子クラウスが生まれた。
しかし、運命はここでも悪戯をする。
正妃は、産後の肥立ち悪く、クラウス王子を生んでまもなく身罷った。
こうして継承権があるものの、なんの後ろ盾もないクラウス王子が残された。
庶子の王子からすれば、目障り極まりない。
みずからの立場の危うさを知るクラウス王子は、知恵の遅れたふりをして今まで身を守っていたというわけだ。
「いかがでしょう殿下。わたくしとあなたは第一王子にとって邪魔者同士。手を組みませんか?」
「……あなたは、兄上を亡き者にするおつもりですか」
「そのつもりですわ。わたくしをともに、血まみれの玉座を目指しましょう。
フリージアの魂胆をクラウス王子は悟った。
王国の闇を引き受けたギュスターランド公爵家と結び、ふたりの腹違いの兄を葬らねばならねばならないと。
「女侯爵殿、僕はあなたとともに……」
「なら、フリージアとおよびくださいまし」
フリージアは、クラウス王子が伸ばした手を取り、自分に引き寄せる。
その双丘に、彼は顔を埋めた。
顔も知らぬ母の面影を求めているのだと、フリージアは抱きしめてやるのだった。
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