【R18】悪役令嬢と囚われの少年暗殺者

とけみゆい

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策謀の果てに

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 暗い地下牢――。
 褐色の肌を持つ女が鎖に繋がれている。
 女は、ぐったりとうなだれていた。

「そろそろ頃合いでしょうか? 執事殿」
「ふむ、薬も回ってきたようだ。やってみるとしよう」

 ギュスターランド公爵家のメイド長とダークエルフの執事が、褐色の女の様子を観察している。
 女の名はアーミナ。
 アサシンギルドがギュスターランド公爵家のフリージアを亡き者にしようと放った女暗殺者だ。
 妹のアサーラはエリンによって殺され、姉のアーミナはこうして虜囚の身となった。

「エリン、お前の出番だ」

 執事がエリンを呼ぶ。
 囚われの身となったアーミナは、エリンの同門であり、顔見知りだ。
 暗殺者というのは、大概が奴隷出身である。
 奴隷市で見込みがありそうな少年少女を買い、暗殺術を仕込んでいく。
 暗殺の標的となるのは身分の高い者たちで、護衛に守られているし、警戒するのが常だ。
 その隙を突くためには技術もさることながら、女子供というのは都合がいい。
 アーミナとアサーラもそうした奴隷――性奴隷として売られていた。
 それをギルドの長老が目に止め、暗殺術を叩き込まれた。
 要は寝所に夜伽よときの相手として呼ばれ、油断したところをひと突きに仕留めるためだ。
 暗殺者というのは、基本的に使い捨てである。 失敗してたとしても身寄りがない元奴隷であれば後腐れがない。
 しくじって囚われの身となっても、拷問によって口を割らない訓練もさせられる。
 成功すれば自由や報酬が約束されるが、裏切りや逃亡は絶対に許さない。それがギルドの血の掟。
 生き残りたければ、標的を必ず仕留める技を磨いて師範代マスタークラスになるしかない。
 そんな過酷な境遇で、エリンと褐色の姉妹は生きてきた。
 明日をも知れぬ身の中で、姉妹はエリンを共通の弟のように思ったのか、何かと気にかけてくれた。
 それによって、ふたりは心の空白を埋めていたのかもしれない。
 だが、そんなアーミナも自分と同じ境遇となってしまった。
 どんな目に遭わされるのか? エリンは、身を持って知っている。

「エリン、この女を犯せ」
「な、何を……!?」

 ――できるはずがない。
 なのに、執事はこともなげに言った。
 暗黒の中で身を寄せあった女性を犯せなど。
 しかも、自分の手で姉妹の片割れを殺しているのだ。

「お前の標的は、第一王子。妾腹しょうふくであるが改革派貴族の求心的立場にある切れ者だ。単独での暗殺は難しいだろう。そこで、お前がたらし込んで手足とするがいい」
「そんなことをしなくても、僕だけで殺れる!」

 バシン――!!

 執事が、勢いよくエリンの頬を張った。
 地下牢に、寒々しくその音が反響した。

「思い上がるなよ? お前は、お嬢様の暗殺に失敗してこうなったのだろうが。逆らうことができる立場か」
「くっ……!」
「お前が承諾しないというなら、この女に利用価値などない。なぶり殺しにするか手足の腱を切って奴隷市に叩き売るかだ。どうする?」
「わかった、やればいいんだろ」

 執事が言ったのは、脅しではない。
 犯さねば、アーミラの運命は決まってしまう。

「今までさんざん女になぶられてきたお前が、女を犯して言いなりにするなんてできるかしらね」

 メイド長もくすくすと声を上げて嘲笑う。
 エリンに震えが走った。
 さんざんなぶってエリンの童貞を奪い、トラウマを刻んだのはこのメイド長なのだ。

「この女には、薬と暗示をかけてある。さあ、存分に犯して、快楽に溺れさせろ」

 執事が言うと、アーミラの牢が開かれる。
 アーミラを救うには、その身を穢すしかない。
 意を決したエリンが、牢の中に入る。
 女に犯されることも、女を犯すことも教えられてきた。

 だから――。

「ごめん、アーミラ……」

 わびたとて、アーミラに救いはないだろう。
 だだ、そうせずにはいられなかった。
 エリンは、その隙を突かれたのだ。

「ア、アーミラ!?」
「アサーラの仇、思い知れっ!」

 アーミラは、みずからを繋ぐ鎖を巧みに使い、エリンの首に絡ませる。
 そのまま引き倒し、馬乗りの姿勢となった。

「くあっ……!」
「わたしを犯す? まだまだ餓鬼ね、エリン」

 アーミラの目には憎しみが込められている。
 その憎しみを向けたまま、エリンの太ももに熱く熟した股間を擦り付けてきた。

「犯してやるのは、わたしの方さ!」

 欲望の入り混じった視線とともに、アーミラは獣のように舌なめずりをした。
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