運命を殺したい僕、運命を幸せにしたい俺

かりん

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11 無自覚の『可愛い』は行動から現れる。

深夜

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(side夏向)
結局僕たちはぴったり抱きつきながら眠った。
光希には相当我慢させたことは察しているけれど……それでも光希は僕に手を出そうとはしなかった。
僕はというと、その……光希とそういうことをしてもいいんだけど。
いや、でもさっき泣いちゃったし、僕から誘うのも誰とでも寝るとか軽いとか思われて、呆れられるかもしれない。
兎に角、僕から誘うのは何か違う気がする。うん、例え光希が寝てる間にこっそりトイレに行っていたとしても……そして白い欲望を僕のナカでは無くて、トイレで吐き出されたとしても。僕から誘うのは……ほら、準備とかあるし!!

「……」

ひとりで寂しくて、ついつい布団を頭まで被る。
もういいや、寝てしまおう。光希、ごめん。
嫌だった訳では無いんだ。怖かったんだ。

身体と心の奥まで……全てを暴かれてしまったら、きっと僕の汚さに幻滅してしまうんだろうなって。

微睡みの中そんなことを考えていたら僕は本当に寝てしまっていた。


ピコン、とメッセージアプリの通知音が鳴る。僕は何故かそれだけで目を覚ましてしまった。まだ起きるのには早い時間帯……。外はまだ薄暗い。顔の真ん前に光希の寝顔があってドキドキしているが……起きる気配は無さそうだ。
ていうか、いつの間にトイレから戻ってきたんだろう。

「綺麗だな」

何度見ても、僕と違って男らしいのに線が細くて『綺麗』という言葉が似合う。頭のてっぺんから爪の先まで黄金律で出来ているみたい。
彼が、僕の運命なんだ。そして僕を好きって、救いたいって思ってくれている人。
思わず顔がにやけてしまって、僕から抱きしめてみる。いや、既に光希の逞しい腕は僕の腰をがっしり掴んでいるけれど。

そうだ、スマホだ。忘れてた。

慌てて枕元に置いてあったスマホを取り出し覗いてみる。光希が僕の腰を掴んでいるので起き上がることは出来ない。寝転ぶ体勢はそのままで、光希から背を向ける。
藍先輩からだ。こんな時間に……とは思うけれど、電話では無いから、僕が朝起きてから気づくようにと思ったのかな。

『今日、テスト終わりに一緒にランチだからね~。よろしく』
『光希も一緒?』

思わず気になった僕はメッセージを入れる。直ぐに次のメッセージが来た。

『え、起きてたの。ごめんね~起こしちゃった!?』
『大丈夫です。偶然なので』
『そっか。えっと、みっくんは別。選挙のことで用事あるからね~』
『だからお昼は藍先輩と?』

そうだ。光希は今大変な時期なのだ。お昼も一緒に食べたいとか言ったら我儘になってしまう。だから藍先輩は気を使って僕に声をかけてくれた。優しいな、と思う。たまに射抜くような視線が怖いけれど……それでも全部僕と光希を思っての事だ。

『そう、そして僕の番と~』
『そういえば、会ったことは無かったですね』
『向こうも楽しみにしてるんだって。仲良くしてあげて。恥ずかしがり屋さんだけど、世話焼きさんで、いい子なの~』

藍先輩がいい子だと言うなら、本当にいい子なんだろう。それに僕と同じΩだ。Ω同士は馴れ合うべきだと思わないけれど、それでもαやβよりは付き合いやすいはずだ。

『はい、勿論。仲良くしたいです』

そう僕が送ると、『OK』という可愛いお菓子を食べているクマのスタンプが送られてきて、ついはにかんでしまう。
スタンプのチョイスまで藍先輩らしい。
僕も初期のスタンプの中からピッタリなのを選んで送った。
流石にこれ以上話すことはなくて藍先輩とのメッセージは途切れる。うーんどうしようか。ちょっと起きちゃったし、もう一度ちゃんとハトファイでも見ようかな。
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