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プロローグ

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 この本を手にされたあなたは『拳銃』に付いて尋ねられた時、何を頭に浮かべるのでしょう。私はアニメがとても好きで、まず始めに思いついたのは『シティーハンター』の冴羽獠が使っていたコルト・パイソンで、この銃はアメリカコルト・ファィヤーアームズ社製の回転式拳銃。ニシキヘビの名が入り蛇の名を冠するシリーズの1つです。装弾数は6発で、357マグナム弾や38スペシャル弾が使える強力なリボルバー。発砲の反動による銃口の跳ね返りを抑えようと特殊な加工がされ、精度向上の為に熟練士が一丁一丁調整を行っているのが特徴で、内部まで細かく手作業での調整箇所が多く、生産しにくい構造で仕上げも念入りに行われていて、かなり高価な銃であってその価格やこだわりから『リボルバーのロールスロイス』と呼ばれた程で、今でも人気が高いモデルである。ただ、コルト社の引き金機構はS&W社製に比べると扱いにくさがあり、ダブルアクションの仕様だけれど撃鉄を起こし撃つシングルアクションで射撃する方が向いていることもあり、コルトパイソンはまだ感触はいい方だったみたいだけれど、S&W社製の機構を組み込んだカスタム品もあったようである。
 それ以外に『銃』で思い出すのは、ルパン3世が使って歌詞にも出てくる『ワルサーP38』で、ドイツカール・ワルサー社製の自動式拳銃である。高価格で生産性の悪いルガーの後継機として開発され、ドイツ軍に正式採用され第2次世界大戦中のナチスドイツ内で最も多く使われた銃である。強力な弾丸を安全に発射できるショートコイル式の撃発システムに、大型拳銃としては画期的なダブルアクション機構を組み合わせた構造、命中精度も高くルガーより故障率が低かった為に重宝された銃である。
 最後に、そのルパン3世の相棒である次元大介が愛用していたS&W、М19についても述べておきたいと思います。この銃はアメリカS&W社製の回転式拳銃ですが、小型で357マグナム弾が扱え『コンベットマグナム』と称された強力なリボルバーである。アメリカの警察で多く採用されFBIの間でも好評を博している。ただ、小型のフレームで357マグナム弾を使い続けると射手共に負担が大きいと指摘されていて、軽量の為反動が強くシリンダーで6発の弾を収める為、フレームのサイズの割にシリンダーが大型化しているので、色々と調整もされているようだ。
 それでは、小説やテレビドラマでもよく出てくる日本の警察の場合はどうでしょう。1960年より調達が開始された『ニューナンブМ60』はミネベア製の国産リボルバーで、絶版モデルの日本の警察官の拳銃ですが特に3インチのモデルの拳銃は命中精度が高く、命中精度が高い個体をを射撃大会用にに残したり、選抜選手の警察官が携帯していたりしているようだ。このナンブという名称は日本の銃器開発の第一人者である、南部麒治郎氏に由来しています。そして、『ニューナンブМ60』の生産終了後に導入された『М37エアウエイト』はS&W社製のリボルバーで、アルミ合金を多用して軽いという利点はあったものの、強度に問題があったという話もあり何発か撃つと、シリンダー基部に亀裂が入る事例が頻発して、現在は日本の警察官の拳銃としては調達が中止されています。そして、現在最も多く採用されているのが『M360SAKURA』です。現行の日本の警察官の拳銃サクラは、S&W社製の5連発リボルバーで、フィンガースパー付きのクリップやランヤードリンクなど、日本警察仕様に独自改修された拳銃です。
 リボルバー以外にも、日本のSPや私服の警察官が愛用している自動式拳銃が『SIGP230JP』SIG社製の32口径小型オートマチックで、1995年頃から配備開始された拳銃です。また、日本の警察官の拳銃で『特殊拳銃』と称され、各国の特殊部隊も使用する高精度なハンドガンが『SINSAUEROP226』です。そして、もう一丁は『グロック17』グロック社製の大型ハンドガンで、軽量なポリマーフレームや扱いやすいトリガーセーフティなど、日本の警察官独自の仕様を備えています。
 ところで、日本で警察官が拳銃を『チャカ』と呼ぶのは、なぜだかご存知でしょうか。警察用語の『チャカ』の語源は、拳銃の引き金を弾く時の『カチャッ』という音をひっくり返したものだと言われています。現在では拳銃のことは警察用語で『腰道具』と呼ぶのが一般的だと言われています。これは、『チャカ』が刑事ドラマや小説などで広く知られてしまったので、警察用語として拳銃の隠語の意味をなさなくなってしまったからなのです。
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