天国の指名手配犯

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第一章 空の世界

第十話 両親のために

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ユリとタケが、例の事件に深く関わるようになってから、
リナの家の中の雰囲気は最悪だった、



ユリもタケも残業続きで、なかなか家に帰ってこない、
やっと帰ってきたと思ったら、家でも仕事をしている、

仕事をしていない時間は、ずっと二人ともぐったりしている。


相変わらず立候補者は出てこないみたいだし、

別ルートも見つかってない。





いつまでこんな生活が続くのだろうか…


事件が解決するまで…?そんなのいつ?






リナはもう、耐えられなかった。










「私、立候補しようかな」




ユリとタケの帰宅を待ちながら、
リリと二人で晩ご飯を食べていた時、リナが言った。










「…え……?お姉ちゃん、何言ってるの…?」


「だってこんな生活耐えられないんだもん、
お父さんもお母さんも毎日疲れきっててさ、何もせずにはいられないよ!」


「でも、お姉ちゃんまだ子供だし、お金だってかかるし…」


「子供だけど、立候補できる年齢には達してる、
お金はかかるけど、作戦成功させて、何倍ものお金と名誉を手に入れればいいんだよ!」




リナはなぜか、自信があった、


自分なら成功するという自信があった。







「実の子供として送り込まれるんでしょ???
こんな可愛い子供を置いて死にたくないって思わせるぐらいいい子でい続ければ二人の事は止められるよ!
家族だから常に監視することだってできるし…」



「でも…お父さんが言ってたみたいに道連れにされたら…」


「今の記憶を持ったまま人間界に降りられるんでしょ?
強い意志を持ってれば、そんなことにはならない
もしそれぐらい辛くなってしまったんだったら…その時は作戦は諦めるよ、
お金は無駄になっちゃうけど犯罪者になるよりましでしょ?」


「でも…」


「とにかく私は自信がある!
辛くなることなんて絶対ないし、諦めることだって絶対しない、
絶対に二人を連れて戻ってこられるよ!」
















「やめなさいリナ」





目を輝かせながら、リナが話していたその時、
リビングのドアが開いた。









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