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第二章 人間界
第十五話 理想の娘
しおりを挟む「母さん!今回は二教科も百点取れたよ!」
"こんな可愛くていい子を置いて死にたくない"
そう思わせるため
優秀な娘を演じ続ける、
そう固く決意して生まれてきた里菜は、
計画通りとても優秀な人間になっていた。
性格も優しく、
成績優秀
運動もできる。
「自慢の娘だ」
菊江も蓮司もよく言っていた。
綺麗な家、
安定した高収入、
自信を持って裕福だと言える暮らし、
とても良い夫婦仲、親子関係、
1人娘の里菜は、成績優秀。
誰もが羨む理想の暮らし、
誰が見ても幸せな家族、
幸せなそうな両親、
とても自分で命を断とうとしているようには見えない。
もしかして、もしかすると
娘として里菜が人間界に降りてきた時点で
作戦は成功しているのではないだろうか。
里菜はよくそう考えていた。
この作戦、勝った。
この理想通りの生活を保ち、
老衰だか事故だか病気だか分からないけど
二人が自然に命尽きてゆくのを見守っていれば、
確実にこの二人は捕まえられる、
勝った、
絶対いける。
里菜は勝利を確信していた。
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