天国の指名手配犯

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第二章 人間界

第二十話 最悪な家庭

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「父さんを責めるのか!?
責めないでくれ!もう限界なんだ!
発狂しそうなんだよ!
辛いのは母さんだけじゃないんだ!俺だって辛いんだよ!」




生まれて初めて自分に向かって怒鳴る蓮司を見た、

一人称まで変わってる、
今まで自分を俺なんて言ってるところ見たこと無かった、

里菜の前では常に自分の事を"父さん"とか"お父さん"とか言っていたから。






蓮司は里菜に怒鳴った後部屋に閉じ籠り、その日は部屋から出てこなかった。










暫くして、菊江は退院して家に戻ってきた、



「もうしない」


菊江はそう言ったが里菜は信じなかった。







"全て里菜にバレている"




その事を知った二人は


もう何も隠そうとしなかった、


今までは里菜の前では普通の平和な家族を演じていたけど、

もうそんなことは無くなった。





喧嘩も里菜の前で堂々とするようになった、


死ぬことを仄めかす様な発言も
躊躇なくするようになった、


家事はあまりしなくなり
家の中は荒れていた。



菊江も蓮司も
仕事行って帰って寝る、その繰り返し、


それ以外は喧嘩してるか泣いてるか、






今までの緑河家とは正反対の家庭になってしまった、








こんな状態が、


一年以上続いたのだった。














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