浮気されるのを死ぬほど恐れていた私が浮気してしまいました。

番外編 消えたくなった私

１話

「花先輩！ここの焼き肉屋知ってます！？」




朝、出勤すると
後輩君が何かのチラシをもってこっちに走ってきた、



見てみると
焼き肉屋さんのチラシだった。







「知らない、どこの焼き肉屋？」

「僕の家の近くにあるんです
超うまそうじゃないですか？？？」

「確かに…美味しそうだね」








焼き肉なんて最後に行ったのはいつだったかな

長い間行ってない

家で焼き肉は何度かしたけど
やっぱりお店が一番美味しい。







「いいなぁ…焼き肉」

「僕今度の休み行くんです
……１人で」









…………









"１人で"








なぜこの部分を強調して言うんだろう。









……ここで私が








"私も行きたい"






って言ったらどうなるだろう。









言えないけど







絶対言えないけど。








「私も行こうかな……友達と」









…もし…








もしも…








いや…自意識過剰はよくない…





１人で行きたいから絶対一緒に行こうとか言うなよ
って気持ちをアピールするために
"１人で"を強調してるのかもしれない


後輩君好きな女の子いるし
そっちの可能性の方が高いだろう…


こんな、ただおなじ会社ってだけの
年上のしょうもない女と一緒に焼き肉行きたいなんて思うはずがない。









いや…でも…もしも……








後輩君が私と２人で焼き肉に行くのもありだなと思っているのなら……










これ以上話が膨らまないうちに





私は友達と行く







と言っておいた方がいい。








「いいっすね…友達と焼き肉
僕友達少ないんで１人で行くしかないです(笑)」










…絶対友達少ないとか嘘だろ






めっちゃ友達多そうじゃん。







「またまた、友達多そうじゃん」


「ほんとっすよ、
友達少ないっす、だから１人焼き肉です」










……………








"一緒に行こう"










そう言いたい










心の中で思わず本音が出てしまった。