地球人のふり

はに

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第6章 中学生

30話

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卒業の季節になった、






周りの人達は皆泣いている、



キヨは笑いそうだった、


やっと解放されるんだと




キヨへの嫌がらせのようなものは
卒業当日までご丁寧に続いた、




式の最中名前を呼ばれて返事をすると笑われた、
突然後ろの席の男子に椅子を蹴られた、
式の前に貰った作り物の花の花びらをむしられた。




でもそんなものどうでもいい

むしろありがとう


あなた達がたくさんいじめてくれたおかげで私は色んな事を学べたよ


何を言えば機嫌を取れるか

何を言えばイラつかれるか

なんとなく分かってきたよ


おかげで高校からは変われそうだ。






私もよく耐えた


きっと高校では
目立たず平和に暮らせるよ。









式が終わり、
周りの人達はみんな友達同士で写真を撮ったり、卒業アルバムに何か書いたりしていたが、

キヨは1人先に帰路についた。



卒業式とかどうでもよくて
それより早く帰ってご飯が食べたかった。










「……………あ…」









学校から出て少し歩いていると、


目の前にソイツが現れた、


最後の最後まで何か言ってくるんだなこの人は、


でももう二度と会うこともないし、

どうでもよかった。










「お前高校生になってもその喋り方続けんの?」





どうせまた○ねと言われると思ったが、
予想と違う言葉をかけられた。







「…その喋り方?…」


「ほんとにマジで気持ちわりぃんだよそのイントネーション、一生死んでろ」




そう言ってソイツはキヨの鞄を蹴ってそのまま去って行った、






…イントネーション…?






イントネーションがダメなのか!?








キヨの住んでいる地域は
特に方言や鈍りなどがある地域ではなかった、


そのため特に自分のイントネーションが周りと違うようには思えなかったが、
どうやら何か違うらしい。





ソイツは散々キヨに○ねと言ってきた
一生憎みたいと思うやつだった、



しかし、

キヨにイントネーションがおかしいと教えてくれた、

重要な人物にもなった。







そうか、イントネーションがおかしいのだな、私は、


でも全く何がダメか分からない、

他人になって自分の声を聞いてみたい。




分からないなら直しようがない、





キヨは周りにいる人の喋り方を真似することにした、





そうだ咲を真似しよう、

咲はいじめられることもなく、
みんなと仲良くやっている、


咲の喋り方を真似すれば
イントネーションのことで何か言われることも無いだろう。





キヨは早速帰って


咲の喋り方を思い浮かべ必死に声帯に叩き込んだ。






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