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第7章 高校デビュー
34話
しおりを挟む進路を決める時期が来た、
キヨは就職か進学で悩んだが、
進学するお金が無い、
奨学金という制度はあるが、
言ってみれば借金のような物なので、
いずれ星に帰ってしまうキヨは
迂闊に進学することはできなかった、
奨学金を返し終えるまでに星に帰ることになったらどなるのか、
想像もできなかったからだ。
それに、
早くお金を稼いで一人暮らししたいという思いもあった。
いくら血の繋がった家族とはいえ、
人間と共同生活を送るのは
キヨにとっては少し辛かった、
電気をつけるタイミング、
テレビをつけるタイミング、
お風呂に入るタイミング、
キヨは色々な事にこだわりを持っていたが、
それら全てに家族を付き合わせるのが
そろそろ限界だと感じていた、
進学はせず、
就職してお金を稼いで、家を出よう、
キヨはそう決め、
進路希望欄に就職と書いた、
しかし具体的にどういう仕事につきたいか
かかなかった為、
キヨは後日、個別に面談をしようと職員室に呼ばれた。
職員室の隅に
仕切りで囲われた小さなスペースがある、
その中に、机と椅子が置かれていた、
キヨは椅子に座り、
担任の秋本先生を待った。
「駒井、待たせたな」
暫く待つと、色々プリントを持った秋本先生が現れた。
「何か就きたい職業とかは無いのか?」
「うーん……」
サンコ星に帰る
それがキヨの一番の目標だったため、
それ以外の事はぼんやりとしたイメージしかできなかった。
「例えば………、あっ……すまん
ちょっと待っててくれ」
電話がかかってきたらしく、
秋本先生は再び席を外した。
ボーッと待ってるキヨに、
数学の橋田先生が近づいてきた。
小言が多いと生徒から嫌われてる橋田先生が
じっとキヨを見てる、
そして、机の上に視線を移した、
先生の視線の先には
キヨが"就職"と書いた
進路希望用紙があった。
「駒井さん、就職を希望するんだね」
「……はい」
「僕は、進学の方がいいと思うけどなあ…」
……希望用紙をまじまじと見つめながら
橋田先生が呟いた、
……秋本先生早く戻ってこないかな…。
ちらっと秋本先生を見ると、
視線に気づいたのか、電話を切ってこちらへ戻ってきた。
「橋田先生、どうかしましたか」
「いや…駒井さんが就職希望なのが気になってね…
駒井さんは、進学してもう少し勉強してから就職した方がいい」
「駒井は僕の生徒です、今話し合ってるので心配しないでください」
秋本先生は、橋田先生を睨んだ、
恐らく橋田先生は、
生徒からだけでなく、先生達からも嫌われてるんだろうな、
キヨはなんとなくそう思った。
「それに、橋田先生も数学を教えてるので知ってると思いますが、駒井の成績は悪くありません、テストも平均点以上です、
内申だって………」
「そういうことじゃない」
私を庇う秋本先生の言葉を
橋田先生が遮った。
「正直な事を言おう、
僕は内定が必ず貰える見込みのある生徒以外、就職を希望してほしくない、
この学校の就職率が年々下がっていってるのは秋本君も知ってるだろう?
駒井さんは成績は良いが、何か欠けている、
もし内定を貰えて就職しても、社会不適合者扱いされるだけだ」
"社会不適合者"
この言葉を聞いた瞬間、
キヨは一気に青ざめた。
社会に適合できない者……
そうだ……私は……
社会不適合者なんだ……
地球人にもサンコ星人にもなれない…
中途半端な生き物なんだ……。
「いい加減にしてください!」
秋本先生は机をバンと叩いた、
眉間には皺が寄っている
かなり怒っている様だ。
「何度も言いますが、駒井は僕の生徒です、
担任は僕です、
今面談中なので、橋田先生は席を外してもらえますか」
そう言って再び橋田先生を睨む秋本先生。
橋田先生は、鼻で笑い
その場を去った。
「駒井ごめんな、橋田先生さっき教頭先生に怒られたばっかで機嫌が悪いんだよ」
秋本先生はそう言ってキヨに頭を下げた、
しかしキヨの頭の中では
"社会不適合者"という言葉がこだまし続ける、
頭がぐらぐら揺れている、
何か重いもので殴られた様だった。
頭からあの言葉が離れない。
私は社会に出ていいのだろうか…、
キヨは分からなくなった、
気分は落ち込み続け、就活どころでは無くなった、
橋田先生にあんな事を言われ、
就活を続行する気にもなれず、
キヨはもう自分で仕事を探すことにした。
仕事探しから面接の練習まで、
キヨは母に手伝って貰った、
周りのみんなは学校で、
自分達でやっていることを
自分だけ母親とやっている、
この事が惨めで、情けなくて
更にキヨの心をえぐっていった。
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