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第9章 様々な困難
42話
しおりを挟むキヨは記憶力が優れている、
キヨ自身も自分の記憶力には自信があった、
しかし、どうしても覚えられないものがあった、
それは、人間の顔と名前だ。
名前に関しては、覚えられない、とは少し違う、
覚えているが、上手く頭から引き出せない、
長い関わりになる人でも
その日限りの人でも、
出会った全ての人間の名前を、キヨは覚えている、
覚えた名前は、キヨの中で
分厚い辞書の様な物に記録された、
キヨは、誰かの名前を呼ぼう、思いだそう、とする度に
その分厚い辞書をめくり、
時間をかけて名前を探し出さなければならなかった。
顔に関しては、
全く覚えられなかった、
長年共に生きてきた家族の顔ですら、
突然頭に思い浮かべろと言われてもできなかった、
微かに覚えることができたとしても、
頭の中の顔と、目の前にいる本人の顔を
一致させるのが難しかった、
目や鼻というパーツごとにキヨは記憶していて、
顔全体を把握することができなかった。
「駒井さん、これ新堂さんに渡してくれる?」
仕事中にこんなことを言われても
キヨは誰の事だか分からない、
顔が思い浮かばない、
しかしこれでは仕事にならない。
ではキヨはどのように人を判別していたのか、
それはにおいだ、
においを嗅ぎ、
これは誰か、を判断していた。
嗅覚の優れているサンコ星人にとって、においはとても重要だった、
相手のにおいを嗅ぐだけで、
相手の性格、家柄、地位、経済力、
様々な物が分かった、
サンコ星人は相手ににおいを嗅がれて、
自分の事を深く知られることを凄く嫌がっている、
自分のにおいを隠すため、
サンコ星人は香水を使って隠していた。
地球でもキヨはにおいで人の内面を知ることができた、
人間のにおいはサンコ星人のにおいと少し異なっており、
サンコ星人程の細かい情報は得られなかったが、
ぼんやりとした性格、
どんな家に住んでるか、家は散らかっているか
誰かと一緒に住んでるか、
そういったことは分かった。
これは誰か、確認する度に、
○○さんに渡しておいて、
そう言われる度に、
キヨはにおいを嗅ぎ、本人か確認すると同時に
知りたくもない相手の情報を得なければならなかった、
キヨにとってそれはストレスだった。
それからキヨは、
誰かに自分のにおいを嗅がれるのも嫌がっていた。
人間は、においを嗅いでも相手の内面を知ることはできない、その能力はない、
それはヨルに聞いて知っていたが
どうしても自分の事を見透かされているような気がして
相手に自分の本当のにおいを嗅がせる事が耐えられなかった、
キヨにとって、自分のにおいを嗅がれることは
裸を見られることよりも恥ずかしかった。
キヨはサンコ星にいた頃と同じ様に
他のにおいで自分を隠した、
香水を使おうと思ったが
地球の香水はサンコ星の物とは異なりにおいがキツかった、
そのためキヨは
代わりに消臭スプレーを使っていた、
小さなスプレーボトルに移し入れ、
常に持ち歩いた。
人間はにおいを嗅いでも何も感じないんだろうな、
その前に、
においなんて嗅がなくても顔を見ればすぐ誰か分かるんだろうな、
羨ましい。
サンコ星人は
地球人に比べて優れた能力を持っていると言われているけど、
キヨからすれば
地球人の方が何倍も超人に見えた。
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