地球人のふり

はに

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第12章 独りで生きる

58話

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「あー、初めて見るお客さんだー」

「はじめましてー」

「すみませんね、椅子占領してて、どうぞ」





店内にいた数人の若い男女がキヨに話しかけてくる、




キヨは完全に硬直した、



少しヤンチャな雰囲気のある人が多い気がする、

いや、

真面目そうで静かそうな人も多い、



とにかく色んな種類の人がいた。







絵を描くのが得意な個性的な女性

スポーツが得意な体育会系の男性

モデル?と思うほど顔が整った綺麗な女性

ヤンチャそうに見えて凄く静かな眼鏡の男性

物凄く短気ですぐキレてしまうらしい男性

外国から日本に来たという男性

漫画でしか見たことないぐらいの大量のピアスをつけた女性

キャラクターが大好きで
可愛いキーホルダーに包まれた女性

少し耳が不自由な女性

サイクリングが好きであちこち走り回っている男性

信じられない程のムキムキ筋肉を持った男性

まだ有名ではないが、芸能活動をしてる男性







個性的過ぎる人達が集まっていた、





その人達は、
わざと目を合わせないようにしているキヨの事など全く気にせず、
バンバン話しかけてきた。





"名前はなんていうの?"
"最近田舎に来たの?"
"どうして田舎に来たの?"
"どうしてこの居酒屋に来たの?"
"歳はいくつ?"
"どこに住んでるの?"
"結婚はしているの?"
"子供はいるの?"
"どこで働いてるの?"




プライベートな事まで
容赦なく聞いてくる、


キヨは最初、適当に誤魔化しながら答えていたが、


お酒を飲み始め、
少し酔ってきたのか、

ぐいぐいくる男女の雰囲気に飲み込まれたのか、




いつの間にか、
自分の事を話し、相談しているキヨがいた。








離婚して、もう結婚できそうにない。


「結婚なんて別にしなくていいよ
ここにいる人達全員独身、でも幸せだよ」




子供が欲しかったけどできなかった。


「子供以外にも生み出せる命はあるよ」




友達がいない。


「友達作るのはおばあさんになってからでいい、ここにいる私達も友達ではない、
そんな堅苦しい関係なんて実際必要ない」




お給料が少ない。


「ここには無職の人も何人もいる、
お金稼いでるだけですごいよ」




家族に内緒で田舎に出た、もう実家には帰れないかもしれない。


「私も実家とは縁を切ってるよ
家族でも合わないものは合わない、我慢する必要はない、会いたければ会えばいい」





夜全然眠れない、昼間に眠くなる。


「思いきって夜勤で働けばいいよ、
時給も高いし稼げるよ」





死にたいと思うことがある。


「死ぬのって悪いことなのだろうか、
別に死んだっていいと思う、
周りに迷惑かけずに死ぬ方法考えないといけないから大変だけど」





やらなければならない事があるのに、
全然すすまない、達成できる気がしない、
このままダラダラ生きるかと思うと息が詰まる。


「やらなきゃと思うからできないんだ、
一度忘れてみたら以外とできてたりする」









キヨが死にたいと思うほど悩んでた事に

数人の男女は笑いながら答えた、


最初は腹が立ったが、

何かだんだん、

確かにな、と彼らの言うことをすんなり飲み込めるようになってきた。








「君はなんか、生きるハードルを上げすぎだよね、
適当に生きて適当に生き延びて適当に死ねばいいんだよ、
明日急に災害で死ぬかもしれないし、
もっと呑気に適当に好きな事して生きたらいい」





そう言って彼らは笑い出した。









「私らほぼ毎日この店に集まってるからさ、
気が向いたらまあおいで、
友達とかそんな堅苦しい関係にならなくてもいいから、軽い気持ちでご飯食べにおいで」







帰り際、

彼らはキヨに向かってそう言った。





キヨは軽くお辞儀をし、
居酒屋を去った。







帰りながらキヨは思った。







個性的過ぎる人達だったな、




キヨは自分自身が物凄く変で個性的な奴だと思っていたけど、
あの人達といたら自分のよくわからないサンコ星人独特の特徴も何も気にならない、

全く目立たない、

彼らも何も気づいていないのでは無いのだろうか、







あぁいう個性的な人達の中に紛れてひっそりと好きなように生きるのもありかもしれないな、


彼らが言ってたように、

やらなきゃやらなきゃと思わないで、
一旦サンコ星の事は忘れて見よう、

そう思えた。






その日、眠る前に
キヨは電話でヨルに今日あったことを話した。











『…何ですかその人達、怪しくないですか?』




ヨルは居酒屋で会った数人の男女の事を少し警戒しているようだった。







「まあ…確かに変な人達だったけど、
たまに居酒屋で会って話すだけなら、
何も私達に影響無さそうだよ」


『宗教とか、変な商品とか買わされそうになっても断ってくださいね、
お嬢様そういうの鈍いから引っ掛かっちゃダメですよ!』



かなり警戒しているヨル、




人間に対しての警戒心はキヨの方が強かった、


いじめられたり、
人間に怒られたり厳しくされたり嫌みを言われたり、

嫌な経験が多かったキヨは
人間を常に警戒していた、
心のどこかで少し馬鹿にしている部分もあった、


地球人なんて私達より能力が劣ってるくせに!

と思っている部分があったが、





何故か彼らに対しては、


特に警戒もせず、

馬鹿にしようとも思わず、





素直になれたのだ。


























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