地球人のふり

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第12章 独りで生きる

57話

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キヨが田舎で暮らし初めて数週間が経った。




仕事はバスで数分行った所にあるスーパーの品出し作業、


収入は少ないが、

家賃も低くなり、
友達と遊びに行く事や飲み会に行く事が全く無くなったキヨにとっては充分な収入だった。




誰にも干渉されない静かな生活、
仕事以外は全て自分だけの時間
何をしても自由

友達、彼氏、結婚

そんなものにとらわれなくていい自由な生活



夜、少し山に入れば誰もいない貸し切り天体ショー、



プラネタリウムの様な星空を生で見てみたいと言う夢があったキヨは幸せでいっぱいだった、




でも、
何か違う、

確かに快適で幸せだが、



背の高い女性が言っていたような、
サンコ星に帰れる程の幸福はまだ感じていない様に思えた。















ある日キヨは、唐突に美味しいおつまみが食べたいと思った、



前にどこかのチェーン店の居酒屋で食べたような、
揚げたてのジャンキーなおつまみ、


突然思いだし、食べたくなった。







早速キヨは近くの居酒屋を探したが、

おじ様達が集うような雰囲気の居酒屋や、
とにかくボロボロな居酒屋ばかり、



やはり電車で都会の方まで行かないと無理か、

と諦めかけた時

ギリギリキヨでも入れそうな綺麗めの居酒屋を見つけた、



働いてるスーパーから家と逆方向に少し歩いた所にある居酒屋、


早速次の休日に行ってみることにした。
















「…なんかネットの写真よりボロいな…」





実際の居酒屋は、
ネットの写真より少し古かった、


一瞬キヨは、帰ろうかな…と思ったが

せっかく来たし
美味しいもの食べたいし…、





勇気を出して、居酒屋のドアを開けた。











「いらっしゃいませー」



「……………」








ドアを開けた瞬間、

キヨの目に飛び込んできたのは、




常連の雰囲気を出してる数人の若い男女、





自分の家の様にくつろいでいる、






しまった……
常連さんが集まるタイプの居酒屋か…






キヨは来なければいいと思った、
この常連だけがいる店の雰囲気に馴染める気がしない、


しかしもうドアを開けて店の中に片足が入ってしまっている、


この状況で店から出てドアを閉めて帰っていったら失礼だろう、






今日だけ我慢して、
もう二度と来ない、


心にきめて、キヨは店の中に入っていった。













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