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しおりを挟む「ももちゃん……周りに鈍いとか、鈍感とか、言われたこと、無い?」
「え、何いきなり」
急に失礼だなそうちゃん。うん、まあ……あるけど。ありますけど?鈍いも鈍感もよく言われますけど何か?いいじゃん別に。これが私なんだから。
彼の黒目に映る自分が狼狽たえているのが見えた。じっと見つめられ過ぎて彼の眼球に貼りついたコンタクトレンズまでよく見える。そうちゃん、コンタクトなんだ。
「やっぱ、いい」
何それ。急に不機嫌になられても困るんですけど。
そのまま目的地の駅まで、私達は言葉を交わさなかった。それでも手は繋がれたままだった。解こうとしてもそうちゃんが力を加えるからだ。
地下鉄の横並びのこの椅子は7人掛けのはずで。私達ともう1人の計3人しか座っていないはずなのに、そうちゃんはすごく詰めている。おかげで肩も二の腕もずっとくっついたままだ。
そうちゃんはこの状況、どう思ってるんだろう?
ショッピングモールの中にある、シネマコンプレックス。そうちゃんは席を予約してくれていたみたいで、発券機に直行した。
「受付で買うんじゃないんだね」
「ここで買うといい席残ってないかもだろ?」
あ、今日1回目のドヤ顔。そうちゃんは、ドヤ顔してないとそうちゃんじゃないよね。
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