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Animal rhapsody 2
しおりを挟む「山吹先生、また囲まれてたでしょ」
「え…見られてましたか」
シロクマ舎から戻った瀬崎先生がクスクス笑っている。瀬崎先生は2年上の先輩で、男性職員の多いこの南山動物園内では貴重な頼れるお姉さまだ。魚を見せながら診察したことがあり、私が近づくと魚が貰えると認識してしまったペンギンが数多くいる。ペンギン相手に慌てふためいていたときに上手く助けてくれたのが瀬崎先生だった。
「戻りましたー」
サルの舎から時緒…山崎先生が戻ってきた。時緒とは同じ大学出身で同級生だった。何の因果か同じ職場になってしまった。実家の動物病院を継ぐと聞いていたのだけど。アイドルグループにいそうな甘い顔立ちに騙された女の子は数知れず。その顔に似合わず、時緒の物言いは時として辛辣だった。
「お、今日は山吹先生のが先だったか。珍しくうまいことやったんだな」
時緒に『先生』付けされると今でも落ち着かない。
「いや普通だし。ただ単に山崎先生が遅かったんじゃないの」
「遅くねぇし。俺のが回る数が多いんだよ」
「合計したらペンギンだけでも私の方が数多いし」
「俺は丁寧なの。きめ細やかな診察が俺の持ち味」
「きめ細やかっていうより、ただ単に山崎先生が細かい性格なだけじゃ…」
「今日も仲良しだな。カンファレンス始めるぞー」
「「仲良くないです!」」
売り言葉に買い言葉が止まらない私と時緒の間に我らがリーダー、安藤先生が割って入った。
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