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Animal rhapsody 3
しおりを挟む開園前の動物達はどの子も異常無しだった。ただ、ニホンイノシシのブーちゃんが妊娠しているかもしれないという報告があり、後から瀬崎先生が診察するので私もお供することになった。
「うーん。これは…。山吹先生、エコー使うわ」
ブーちゃんのお腹に暫く手を当てていた瀬崎先生は顔を上げた。
「はい」
超音波エコーはかなり重い上に精密機械だ。女の私と瀬崎先生だけでは運ぶことが出来ず、結局時緒にも運んで貰った。慎重に時緒がイノシシ舎にエコーを運び、私がセットする。機械の運搬とセットは当然新人の仕事だ。精密機械の運搬もセットも、物凄く気を使う。
「……いるね。山吹先生、山崎先生、ここ。右側に袋があるの、わかる?」
「「あっ…!」」
「すごい!ブーちゃん、赤ちゃんいますね!」
「僕…イノシシの胎児、初めて見ました」
「ブーちゃん、良かったね!体、大事にするんだよ!」
「イノシシの出産か…楽しみだな」
「今後慎重に経過を見ていかないとね。エコー、もういいから」
テンションの上がる私と時緒に対し、瀬崎先生が冷静に告げた。我に帰った私達は慌てて超音波エコーの片付けを始めた。
「今度は私、運ぶよ」
「いい」
「いいから。いっつも山崎先生ばっかり運んで貰ってるし」
「山吹。無理して運んで機材壊したら大迷惑。やれることは機材運びだけじゃないだろ。仕事ぐらい自分で探せよ」
「何よその言い方」
「山吹せんせーい!グローブの予備持ってきてー!」
「はい!すぐ行きます!」
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