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露見(英 act6)

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「ねぇねぇ時緒」
「ごめん今余裕無い」

このやり取り、最近はしょっちゅうだ。大体のことを飄々とやってのけるこの人から「余裕無い」発言が出るなんて。大学受験でも、国家試験でも、時緒がここまで余裕無くなるなんて無かった。私に向ける笑顔も作り笑いになっていることに、たぶんこの人は気付いていない。

──今日こそは。絶対吐かせてやる。

こういうとき、一緒の家に住んでて良かったと思う。別々に住んでいたら私の追及なんて、のらりくらりとかわされてしまう。

「時緒。ちょっと話があるんだけど」
「……それ、今日じゃないと駄目?」
「うん。今日がいいの」
晩ご飯を済ませてテレビを見ていた彼に真面目な顔を作って告げる。バラエティの乾いた笑いが静まった部屋に響く。

プツン…とテレビの電源が消えた音がした。

「何?」
気怠げな時緒の表情ってアンニュイで見惚れてしまう。甘い低音も相まって、そのまま彼に触れたく……なるけど。そうじゃなくて!

「時緒。最近……ううん、ここしばらく、おかしいよ?」
ついに言った!私、頑張った。

「え、何。浮気なんてしてねぇよ?」
面倒くさそうに不機嫌な顔を向ける彼の表情からは、まだ何と読み取れない。

「時緒が浮気してるだなんて言ってないし思ってないよ。そうじゃなくて」
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