涯(はて)の楽園

栗木 妙

文字の大きさ
4 / 50
Ⅰ章.カンザリア要塞島 ─トゥーリ・アクス─

【1】_4

 
 




 サイラーク総督閣下について、分かっていること。


 ひとつ。――人付き合いが嫌い。
 ひとつ。――仕事が嫌い。
 ひとつ。――サボるのが好き。


 そんな閣下の一日のスケジュールは、


 午前。――書類の処理。
 午後。――何もせず延々ボーッとしている。もしくは、執務室からの脱走。


「――そんなんで、よく誰からも文句が出ませんね……」
 思わずウンザリと洩らした俺の言葉に、「まあ、言っても名前だけの総督だしねー」と、あっけらかんと伍長は答える。
「もともとここの総督職って、ある程度の地位にあった高官に用意された体の良い左遷先、ていうだけの役職でしょ。ぶっちゃけ、総督が居ようが居まいが問題ないように出来てるんだよ。とりあえず必要な書類にサインだけしてくれさえすれば、他で何をしてようが全くもって構わないね。ヘタに総督風吹かされて無駄にやいやい口出されるよりは、何にもしてくれない方が、下々の者にとっちゃー遥かにマシ」
 普通に聞いたら不敬きわまりないことを平然と言ってのけては「そんなもんよー?」とニカッと笑った伍長を見やり、深く一つタメ息を吐き、再び俺はウンザリと呟く。


「そんなにも『何にもしてくれない』人相手の俺の仕事って、一体、何なんでしょうね……」


 俺がこのカンザリア要塞島に来てから、早や三日が経った。
 だが、相変わらずサイラーク総督とはマトモな会話が出来ていない。
 会話どころか……顔を出すたびに、ほぼ『帰れ』とか『出てけ』といった単語しか言われていないような気がする。
 俺の仕事――総督閣下付き小姓の件は、結果、伍長のゴリ押しという粘り勝ちとなった。
 そのため、とりあえず毎朝、書類の整理くらいは手伝うかと執務室に顔を出してはみるものの、総督から用を言い付けてくれることなど一切ない。
 結局のとこ、当人にはまだ納得いただけていない、というところだろうが……とはいえど、まがりなりにも決定したからには、表面上だけでも従うフリくらいしてくれてもよさそうなものだろうに。
 じゃないと俺が可哀相すぎる。――閣下の邪魔にならないよう気を付けながら自発的に仕事を探して動き回ってるこちらの居たたまれなさくらい、もうちょっと斟酌してくれたとしても、きっとバチなど当たるまいに。
 そうやってこの三日、ずっしりとした胃の重さを抱えつつ午前中は総督執務室に詰め、総督が仕事を終えたところを見計らってから俺も執務室を出る、そんな毎日を過ごしている。
 これで俺まで閣下に合わせ午後はボーッとしていたら要らぬ顰蹙を買うところだが、そこはこの騎士の身分が役に立ってくれた。
 カンザリアにはまず赴任してこない騎士という身上が皆に珍しがられたということもあり、また、騎士となる者は名実ともなった軍の精鋭、その腕を買われたということもあり。
 つまり俺は、午後からは兵舎で行われる日々の武術修練に参加させてもらうことで、幸いにも暇を持て余さずに済んでいるようなワケだった。
 まがりなりにも騎士相手ということで、腕試しとばかりに手合わせを挑んでくる者は後を絶たないし、試合形式で行う鍛錬は俺の最も好むところでもある。午前中の鬱憤晴らしにもなるし、願ったり叶ったりだ。
 ――ゆえに、それが体の良い見世物となっていたとしても……決して文句は言うまい。


「やっぱアクスくん圧勝だねー、さっすが騎士サマ! 今のとこ全勝無敗!」
 隣から伍長が、数えていた手の中の紙幣のうち、「ハイ今日の分け前」と、数枚を抜きだして俺へと寄こす。――呆れたことに、ここの連中は、俺が何人抜きで何連勝するかを賭けて遊んでやがるらしい……ホントつくづく平和だよな。
 とはいえ、頂けるものはありがたく頂戴するのが俺の信条でもあるので、分け前は素直に受け取っている。少しでも実入りは多い方がいいに決まってるし。老後のためにも。
 でもって、こう訓練の合間合間で、伍長なり誰なりと無駄話に興じるのも、もはや日常となりつつある。
 総督閣下とは違い、ここの連中と馴染むのには、そうそう時間はかからなかった。もともと俺は叩き上げ、騎士としてよりも下っ端下士官として過ごした時間の方が長いのだ、こうやって馬鹿騒ぎに興じる連中との付き合いの方が慣れてもいるし、性にも合っている。
「やっぱりここの連中じゃ、どう逆立ちしても騎士サマには敵わないかー。ある程度、予想してたとはいえ……こうなってくると、いよいよ総督閣下との勝負が見たくなるってモンだよねえ」
「は……?」
 ここで場違いなまでにいきなり飛びだしてきた総督閣下の名に、思わず俺はぽかんとして問い返す。
「あの人、武官なのか? もと宰相、って言ってなかったっけ?」
「うん、文官には違いないけどね。でも、お上品な競技剣術なら、ここの誰より数段上の実力だと思うよ。なにせ、王都の武術大会で優勝したことあるらしいし」
「マジでか! そんな腕があって、なんだって文官なんか……」
「そこは仕方ないんじゃない? さほど名門じゃないとはいえ、なにせお貴族サマだからねーあのお方は。おまけに、あんなに若くして既にご当主サマだし。やっぱりお家のためには、やりたくもない役職でも引き継がなきゃならなかったんじゃないの? とはいえ、その特技で武術大会優勝なんてしちゃったからこそ、王の目にも止まって日の目を見られたんだろうから、結果オーライだよね」
「……結果、こんなとこへ左遷されてるんだから、オーライじゃないでしょうよ」
「どっちが幸せなんだろうねえ? 上まで上り詰めてから転落するのと、上ることすら出来ずに終わるのと。――ああホント雲の上のお方々は面倒だよねー、ボク平民で良かったー」
 その最後の言葉には、同じく平民出身者として激しく同意したい気持ちはあるものの。
 ――どこへ落としてきた、向上心と出世欲?
 この人こそ、“その日が幸せなら何が無くても全てよし!”という、南方特有のまったり気質にドップリ浸かりきっている筆頭であるに違いない。もしくは、もともとここらの生え抜きなのか。
「とにかく、それが分かってるなら、訓練でも試合でも、総督に声をかけてみたらいいでしょうに」
「…やると思う? あんなにトコトン人付き合いを面倒くさがるよーなお人が?」
「……ま、そらそうですよねー」
 まさに今、最も近くで総督の拒絶を食らっている立場の俺からしてみれば、それも然もありなん、てところだ。
「そう言う君が声かけてくればいいじゃない。一番お側で仕えてるんだから」
「いや、俺もまだ胃が惜しいんで」
「総督と親睦を深めるいい機会だと思って、どうよ? それで総督とアクスくんの対決が見られるなら、こっちも願ったりだね。連れてきてくれたら、モチロン分け前も弾んじゃうよ?」
 それは抗いがたい魅力的な申し出ではあったが、しかし丁重に辞退する。慣れないことをしても、ただ胃の負担が増えるだけだ。俺だって胃は労わってやりたい。
「しかし、そこまでの趣味らしい剣術でも出てこないとなると……些か心配にもなってくるな」
「心配? ――って、何が?」
「総督の体調が。あの人、仕事はサボってても、ずっと屋内に籠りきりだし。たまには外に出て日の光でも浴びとかないと病気になっちまう」
 今でさえ手に余る厄介な変人だというのに、これで気鬱の病になんぞ罹ろうもんなら、ますます扱いに困るじゃないか。
 ただでさえ、あんな生っちろくてヒョロッとした、いかにも良い家の坊ちゃん然とした軟弱そうな外見をしているのだ。せめて生活習慣くらい健康的にしてもらわないと、いつ倒れるかとコッチは気が気じゃないってもん。
 だが、それを愚痴ってみた俺に、「ああ、そこは大丈夫でしょ」と、やけにアッサリ伍長は返す。
「だって総督、お散歩ダイスキだし」
「え……?」
「今でも、たまーに外を歩いてる姿、見かけるよ? ここに赴任してきたばかりの頃は特に多かったね。物珍しさもあったんだろうけど、もう毎日のように一人でフラフラ砦中あちこち見て回ってたな。――だからこそ、その分ケツ狙われる機会も多かったんだけどさ……」
 ホント来たばかりの総督は危機感てものが無くて…と苦笑した伍長に、それは処罰を受ける人間が多いのも然もありなんと、俺もしみじみ同感の頷きを返す。
「あ、それと、遠駆けもよくしてるかな。ひょっとして絵をかくのが趣味なのかも。背中に画板くくりつけて馬に乗ってるとこ、よく見かけるから。この島、人の生活圏を外れたら森だけだし、おおかた写生でもしつつ森林浴でも楽しんでるんじゃない?」
 散歩に、遠駆けに、写生に、森林浴……? それって、なんて……、
「――なんって健康的なご趣味だ!」
「ホント健康的なんだよねー総督ったら。なにせ、午前の仕事も放り出してどっか行っちゃうことも、しょっちゅうだしー」
 ――いや、それは褒められたことじゃないから決して。
「それじゃあ、どうして俺が来て以来、そんなに引き籠ってばかりだったんだ?」
「ここ二~三日は天気がさほど良くなかったからじゃない?」
「………それだけ?」
「おおかた、そんなところでしょ」
「…………ああ、そうデスカ」
 なんだそれ…と、もはや言葉に出して言う気も削がれて、俺はがっくりと脱力するしか出来ない。なんなんだよ人騒がせな。
「まあ、なんにせよ……とにかく俺の取り越し苦労で良かったよ。それが分かれば、こっちの余計な心配も一つ減るってもんだし」
「ホント真面目だねえ~アクスくんったらっ!」
 脱力した俺の肩をポンポン叩きながら、隣から伍長が苦笑まじりにそれを言う。
「あんな偏屈なお方に胃を痛めつけられながらも、なんだかんだ仕事は投げ出さないし、挙句の果てには心配までしてあげちゃってるし。ホント君ったら、真面目な上に、いまどき珍しい優しい子ねェ~」
「――てーか、馬鹿にしてます?」
「いやいや、感心してるんだよ。幾ら仕事だから、っていっても、あの総督にそこまで関わってやろう、っていう気概のある人間なんて、これまで全くいなかったからねーここには」
「別に……そんな大層なモンじゃないですよ」
「あらやだよこの子ったら、もう、謙虚サンなんだからっ!」
 そこで、すかさずこちらへグッとしなだれかかってくるや「やーん、アタシ惚れちゃいそうっ!」などとまで言いだした伍長と、それに便乗して騒ぎ出した周囲の、明らかに人をからかう気マンマンの様相を呈してきた雰囲気を敏感に感じ取った俺は、咄嗟にそれを振り切るようにして座っていたその場から立ち上がった。「結構です、女には困ったことないんで」などと冗談交じりに返しながら。
「ああん、つれないわァ~! でも、言ってみたァい、そんなことォ~」
「伍長……ソレ気色悪いんでやめてください」
「アンタも所詮、下っ端のアタシなんかより地位も名誉もある総督の方がいいのよね、そうなのよねっ!」
「馬鹿も休み休み言ってください。――そんなんじゃなく、俺はただ仕事で……」
「仕事とアタシ、どっちが大事なのよっっ!」
「…それは仕事でしょう、どう考えても」
「ヒドイわ! そんなハッキリ!」
「伍長が女だったら、もっと真剣に考えてみてもいいですよ」
 そんな冗談でかわしながら、逃げるようにしてその場を離れる。


 別に……そう言われるほどの“気概”とやらを持ち併せているワケでは決してないのだが―――。
 歩き出しながら、フとそんなことを思う。
 ただ、なんとなく……本当に“なんとなく”としか言い表せないのだが、どうしてもサイラーク総督が気にかかるのだ。
 初めて出会った時の、窓の外の海をボンヤリ眺めていた、あのどことなく淋しげな風にも見えた横顔だけが、まるで脳裏に刻み込まれたかのように記憶から消えない。
 どうしても、俺が気にかけて世話を焼いてやらなければ済まないような気分になってしまう。
 今度こそ失敗しないように、今度こそ上官と上手くやれるように、そんな想いが多分にあったから、ということもあるだろうが。――上官の不興を買って左遷、なんて、もう二度とゴメンだしな。
 けれど、決してそれだけのものではなく……あの人を見ていると、なんとなく一人で放っておいてはいけないような気持ちにさせられるのだ。
 強いて例えてみるならば、年端もいかない子供がよたよた転びそうになりながら歩いている危なっかしい姿をはらはらしながら端で見守っている、そういう時の、あの気持ち。
 そっくり同じというものではないが、これまで生きてきた約二十年間を振り返ってみても、それ以上に似つかわしいものが俺の中には見当たらない。
 だから、拒絶されるだけと分かってはいつつも、つい手を伸ばさずにはいられない。視線を向けずにはいられない。
 ――なんだっていうんだろうな、これは。


「仕方ないなあ……じゃあ、そんなアクスくんに、お兄さんがいいこと教えてあげよう」
 歩き出した俺の背中を引き止めるかのように、そんな伍長の声が投げかけられて。
 ハッとして思考を止めて振り返った俺を、「さすがに女にはなれないからね」と言いながら見上げてくるのは、にやにや笑い満載の表情。
「そこまで総督のお世話を焼いてあげたいと思うのなら、任せなさい、応援してあげようではないか」
「――激しく要りませんがそんなもの」
「まあまあ、そう言わずに。――そうだね……ぼちぼち天気も回復してきてるし、明日はきっと晴れると思うな」
「え……?」
「さすがの総督閣下でも、こう籠もりきりじゃー気晴らしもしたくてたまらないだろうね」
 一体なにが言いたいのかと言わんばかりに眉を寄せた俺のことなど気にも留めず、あたかも“俺は何もかもわかってる”とでも言うかのようにうんうん頷いてみせると伍長は、ふいにピッと立てた人差し指を俺に向かって突き付ける。
 そして自信満々に、それを告げた。


「明日あたり、普段よりも早めに執務室へ顔を出した方がいいかもよ。――君の職務には一応“護衛”って役割もあるんだから」



感想 1

あなたにおすすめの小説

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

呪われた辺境伯は、異世界転生者を手放さない

波崎 亨璃
BL
ーーー呪われた辺境伯に捕まったのは、俺の方だった。 異世界に迷い込んだ駆真は「呪われた辺境伯」と呼ばれるレオニスの領地に落ちてしまう。 強すぎる魔力のせいで、人を近づけることができないレオニス。 彼に触れれば衰弱し、最悪の場合、命を落とす。 しかしカルマだけはなぜかその影響を一切受けなかった。その事実に気づいたレオニスは次第にカルマを手放さなくなっていく。 「俺に触れられるのは、お前だけだ」 呪いよりも重い執着と孤独から始まる、救済BL。 となります。

少し冷めた村人少年の冒険記 2

mizuno sei
ファンタジー
 地球からの転生者である主人公トーマは、「はずれギフト」と言われた「ナビゲーションシステム」を持って新しい人生を歩み始めた。  不幸だった前世の記憶から、少し冷めた目で世の中を見つめ、誰にも邪魔されない力を身に着けて第二の人生を楽しもうと考えている。  旅の中でいろいろな人と出会い、成長していく少年の物語。

すべてを奪われた英雄は、

さいはて旅行社
BL
アスア王国の英雄ザット・ノーレンは仲間たちにすべてを奪われた。 隣国の神聖国グルシアの魔物大量発生でダンジョンに潜りラスボスの魔物も討伐できたが、そこで仲間に裏切られ黒い短剣で刺されてしまう。 それでも生き延びてダンジョンから生還したザット・ノーレンは神聖国グルシアで、王子と呼ばれる少年とその世話役のヴィンセントに出会う。 すべてを奪われた英雄が、自分や仲間だった者、これから出会う人々に向き合っていく物語。

有能すぎる親友の隣が辛いので、平凡男爵令息の僕は消えたいと思います

緑虫
BL
第三王子の十歳の生誕パーティーで、王子に気に入られないようお城の花園に避難した、貧乏男爵令息のルカ・グリューベル。 知り合った宮廷庭師から、『ネムリバナ』という水に浮かべるとよく寝られる香りを放つ花びらをもらう。 花園からの帰り道、噴水で泣いている少年に遭遇。目の下に酷いクマのある少年を慰めたルカは、もらったばかりの花びらを男の子に渡して立ち去った。 十二歳になり、ルカは寄宿学校に入学する。 寮の同室になった子は、まさかのその時の男の子、アルフレート(アリ)・ユーネル侯爵令息だった。 見目麗しく文武両道のアリ。だが二年前と変わらず睡眠障害を抱えていて、目の下のクマは健在。 宮廷庭師と親交を続けていたルカには、『ネムリバナ』を第三王子の為に学校の温室で育てる役割を与えられていた。アリは花びらを王子の元まで運ぶ役目を負っている。育てる見返りに少量の花びらを入手できるようになったルカは、早速アリに使ってみることに。 やがて問題なく眠れるようになったアリはめきめきと頭角を表し、しがない男爵令息にすぎない平凡なルカには手の届かない存在になっていく。 次第にアリに対する恋心に気づくルカ。だが、男の自分はアリとは不釣り合いだと、卒業を機に離れることを決意する。 アリを見ない為に地方に移ったルカ。実はここは、アリの叔父が経営する領地。そこでたった半年の間に朗らかで輝いていたアリの変わり果てた姿を見てしまい――。 ハイスペ不眠攻めxお人好し平凡受けのファンタジーBLです。ハピエン。

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流@3/19書籍発売!
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

虚ろな檻と翡翠の魔石

篠雨
BL
「本来の寿命まで、悪役の身体に入ってやり過ごしてよ」 不慮の事故で死んだ僕は、いい加減な神様の身勝手な都合により、異世界の悪役・レリルの器へ転生させられてしまう。 待っていたのは、一生を塔で過ごし、魔力を搾取され続ける孤独な日々。だが、僕を管理する強面の辺境伯・ヨハンが運んでくる薪や食事、そして不器用な優しさが、凍てついた僕の心を次第に溶かしていく。 しかし、穏やかな時間は長くは続かない。魔力を捧げるたびに脳内に流れ込む本物のレリルの記憶と領地を襲う未曾有の魔物の群れ。 「僕が、この場所と彼を守る方法はこれしかない」 記憶に翻弄され頭は混乱する中、魔石化するという残酷な決断を下そうとするが――。