二兎に追われる者、一兎に絞るのは難しい。

イカタコ

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ツンデレクラスメイトをお迎えした翌朝

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 翌朝、窓から差し込む日差しで起きた。
 携帯の電源を入れてみると、時刻は昼の11時過ぎを示していた。
 今見はというと...俺にしがみついたままだった。 
 って、よだれ垂らしてんじゃねーか!  
 しかも、枕に垂れてるし…。
 まあ、いっか。今見のよだれだし。
 にしても、今見の寝顔かわいいなー。
 なんて思っていたとき、彼女は目を覚ました。
 「んー…もう朝なの?」
 頭を動かしたときに頬に冷たいものを感じたのか、彼女は頬に手を当て、慌てて服の袖でよだれを拭いた。
 それ、俺の服なんですけど…。
 まあ、いっか。今見のよだれだし。
 「…見た?」
 よだれ少女は起きて早々、こわい顔をして聞いてきた。
 「見ました...」
 俺はどうせ嘘をついたところで信用されないであろうと思い、正直に答えた。
 「絶対に学校で言わないでよね」
 「分かった」
 弱みを握った気分だが、女の子にそういうことをする気になれないのが俺である。
 「にしても、朝通り越して昼にさしかかってるぞ」
 「え、まじ?」
 一日の半分が潰れたという現実に、彼女は驚きを隠せない様子であった。だが、夜中まで起きていたのだから仕方がないと思う。俺の休日の起床時間なんてこんなもんだし。
 「今日は用事とかないの?」
 「ない」
 彼女はそう言うと、すこし体を起こした。すると、貸した俺の服がダボダボなせいで、控えめな谷間が見えた。
 エ、エロい...。
 「なに見てんのよ! 変態!」
 俺のいやらしい視線に気づいたのか、彼女はあわてて胸元を隠した。
 「わ、わりい。目の前にあったもんだからつい…」
 「その言い方だと、アタシが悪いみたいに聞こえるんですけど?」
 「そんなつもりはないぞ?」 
 実際のところ、そんな恰好で俺の前にいるのが悪い。俺が手を出していないのがおかしいくらいだ。
 「ところで、何時頃帰るの?」
 「早く帰ってほしいって言いたいの?」
 「べつにそういうわけではないが」
 明日は学校なんだから、早めに帰ったほうがいいんじゃない?
 「もう少ししたら帰る」
 そう言って彼女はベッドから降りると、帰る準備を始めた。
 それを見て、少しだけ寂しさを感じた。

    ◇    ◇    ◇

 「泊めてくれてありがとね。お礼はあとでちゃんとするから」
 着替えと荷支度を済ませて玄関前まで来たところで、彼女はそう言った。
 一緒に寝た時点で良い恩返しだと思うが、お礼をしてくれるのなら楽しみにしておこう。
 「駅まで送っていこうか?」
 「べつにいい。だいたい分かるから」
 「そっか、じゃあまた明日な」
 「うん…また明日」
 彼女はなにか言いたそうに帰って行った。
 駅まで送ったほうがよかったかな...。
  彼女が帰ったあと、俺は昼過ぎながらも家のことをすることにした。

 とりあえず、洗濯をするために洗面所へ向かい、洗濯機を覗く。
 すると、一人暮らしで彼女のいない男の洗濯機にあるはずのないものがあった。

 女性モノの下着である。
 
 あいつ...自分の家の風呂に入る感覚で洗濯機に下着入れて帰ったな...。
 わざわざ具体的に言うと、白いブラとパンティーと昨日今見が使ったタオルが一緒に入ってた。
 なんてエロい光景なんだ…いやいや、そういう問題ではないな...。
 まったく...俺にこれをどうしろと...。
 洗うべきか、洗わずにこのまま明日本人に返すか、はたまた味わうか。うーん…迷う。
 もちろん、タオルは俺のだから俺の好きなようにさせてもらうけど。

 とりあえず、今見にメールで報告する。
 「お前、下着忘れてるけどどうする?」
 とだけ書いて送った。帰ってからしばらく経ってるから今頃電車乗っただろうな。
 すると、返信は思っていたよりもはやく来た。
 「明日取りに行く。触ったらコロス」
 と短文ながらも彼女の気持ちがこもった文が書いてあった。
    つまり、俺に洗濯をするなっていうのかよ、まったく…。
 俺は女性の下着の匂いを嗅いだり、被ったりするような趣味はないので、洗濯物には一切触れないことにした。
 そして、今見が明日も俺の家に来ると思うと、心なしか楽しみになった。
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