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兄の来店
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「よねだー、悪いな。休みの日に」
休日、俺は大学の同級生に呼び出された。
呼び出されたと言っても、集合場所は俺の店だが。
「気にすんな。どうせ俺は暇人だ。で、どうした?」
「単刀直入に言おう。真理愛と寝たんだってな?」
「なぜ...それを...?」
真理愛ちゃん、喜多山には言わないって言ってたのに...。
「おいおい、この世の終わりみたいな顔するなよ。ムンクの叫びみたいになってるぞ。安心してくれ、俺は問題ない」
「え? そうなの?」
「むしろ俺は、感謝してるよ。米田が俺の妹を受け入れてくれたんだからな」
よかった...もし説教が始まったら、自分のことを最低カフェオーナーとして今後も引きずるとこだったわ。
「いや、受け入れたとかそういうわけでは...」
「真理愛が言ってたぞ? 米田と寝たから、付き合ったも同然だって」
「俺、真理愛ちゃんが一緒に寝たいって言ったから寝ただけなのだが...」
「ていうか、手出さなかったらしいな。普通、女子から一緒に寝るって言い出したんだから手出しても問題ないと思うんだけど、なんで手出さなかったの? もしかして米田って、ヘタレ?」
「お前、真理愛ちゃんの兄なのによくそんなこと言えるな...。友達が自分の妹に手出していいのかよ...」
「アイツ、もうハタチなのに今まで彼氏できたことないんだぞ? このまま恋愛経験ないまま年齢を重ねたら拗らせ女になりかねないから、米田の力を借りたいだけだ。どうせなら、付き合うだけと言わず結婚もしてもらえば、将来安泰なのだが」
一部女性の敵となりそうな発言が出たが、兄としては妹の将来が心配なのだろう。
「俺に自分の妹の将来を任せるのか」
「米田なら大丈夫だろ。人気カフェのオーナーだし、性格良いのは大学の頃ずっと一緒につるんでたから知ってるし。ただ、面倒見が良すぎるところは良くないこともあると思うがな」
「面倒見か...喜多山に説教されたことあったっけな...」
「ま、とりあえず俺の妹のことはよろしく頼んだぞ」
「...ちなみに、親御さんは俺と真理愛ちゃんが寝たこと知ってるのか?」
「知ってるよ。家族全員で夕飯食ってる最中に自慢してきたからな。安心してくれ。親は俺の説得で納得してたからさ。そのうち挨拶来てくれよ」
「それ、引き返せなくなるやつじゃん」
「真理愛が異性のこと好きになるなんて初めてのことだから、今後ないチャンスかもしれないんだよ。兄としては、あいつに幸せになってもらいたいし」
なぜ、俺はバイトの子の将来まで任されているんだ...。
そのとき、着信音が鳴った。
「もしもし」
「遥太さん、お疲れ様です」
電話をかけてきたのは、噂の少女だ。
「おう、どうした?」
「今どちらにいますか?」
「店だよ」
「今から遊びに行ってもいいですか?」
「え? ずいぶんと急だなあ...。えーっと...うん、いいよ」
喜多山いるけど大丈夫かな...。
「...なんで躊躇ったんですか?」
「いや? べつに?」
「あと10分くらいで着きます」
「えっ? そんな早く?!」
めっちゃ近くにいるじゃん、この子。
「問題ありますか?」
「うーん...正直に言おう。いま、店にキミのお兄さんが来ている」
「...すぐ行きます」
それだけ言って電話は切れてしまった。
「...喜多山くん、キミの妹がここに向かっているぞ」
「え、マジで? 怒られちゃうじゃん」
「帰るか?」
「いや、帰らない」
「真理愛ちゃんに怒られるぞー」
「家で怒られるより、ここで怒られるほうが米田の前だから優しそう」
「お前...兄の威厳ないな」
妹に怒られる覚悟を持った同級生と一緒に、俺たちは問題の少女が遊びに来るのを待つことにした。
休日、俺は大学の同級生に呼び出された。
呼び出されたと言っても、集合場所は俺の店だが。
「気にすんな。どうせ俺は暇人だ。で、どうした?」
「単刀直入に言おう。真理愛と寝たんだってな?」
「なぜ...それを...?」
真理愛ちゃん、喜多山には言わないって言ってたのに...。
「おいおい、この世の終わりみたいな顔するなよ。ムンクの叫びみたいになってるぞ。安心してくれ、俺は問題ない」
「え? そうなの?」
「むしろ俺は、感謝してるよ。米田が俺の妹を受け入れてくれたんだからな」
よかった...もし説教が始まったら、自分のことを最低カフェオーナーとして今後も引きずるとこだったわ。
「いや、受け入れたとかそういうわけでは...」
「真理愛が言ってたぞ? 米田と寝たから、付き合ったも同然だって」
「俺、真理愛ちゃんが一緒に寝たいって言ったから寝ただけなのだが...」
「ていうか、手出さなかったらしいな。普通、女子から一緒に寝るって言い出したんだから手出しても問題ないと思うんだけど、なんで手出さなかったの? もしかして米田って、ヘタレ?」
「お前、真理愛ちゃんの兄なのによくそんなこと言えるな...。友達が自分の妹に手出していいのかよ...」
「アイツ、もうハタチなのに今まで彼氏できたことないんだぞ? このまま恋愛経験ないまま年齢を重ねたら拗らせ女になりかねないから、米田の力を借りたいだけだ。どうせなら、付き合うだけと言わず結婚もしてもらえば、将来安泰なのだが」
一部女性の敵となりそうな発言が出たが、兄としては妹の将来が心配なのだろう。
「俺に自分の妹の将来を任せるのか」
「米田なら大丈夫だろ。人気カフェのオーナーだし、性格良いのは大学の頃ずっと一緒につるんでたから知ってるし。ただ、面倒見が良すぎるところは良くないこともあると思うがな」
「面倒見か...喜多山に説教されたことあったっけな...」
「ま、とりあえず俺の妹のことはよろしく頼んだぞ」
「...ちなみに、親御さんは俺と真理愛ちゃんが寝たこと知ってるのか?」
「知ってるよ。家族全員で夕飯食ってる最中に自慢してきたからな。安心してくれ。親は俺の説得で納得してたからさ。そのうち挨拶来てくれよ」
「それ、引き返せなくなるやつじゃん」
「真理愛が異性のこと好きになるなんて初めてのことだから、今後ないチャンスかもしれないんだよ。兄としては、あいつに幸せになってもらいたいし」
なぜ、俺はバイトの子の将来まで任されているんだ...。
そのとき、着信音が鳴った。
「もしもし」
「遥太さん、お疲れ様です」
電話をかけてきたのは、噂の少女だ。
「おう、どうした?」
「今どちらにいますか?」
「店だよ」
「今から遊びに行ってもいいですか?」
「え? ずいぶんと急だなあ...。えーっと...うん、いいよ」
喜多山いるけど大丈夫かな...。
「...なんで躊躇ったんですか?」
「いや? べつに?」
「あと10分くらいで着きます」
「えっ? そんな早く?!」
めっちゃ近くにいるじゃん、この子。
「問題ありますか?」
「うーん...正直に言おう。いま、店にキミのお兄さんが来ている」
「...すぐ行きます」
それだけ言って電話は切れてしまった。
「...喜多山くん、キミの妹がここに向かっているぞ」
「え、マジで? 怒られちゃうじゃん」
「帰るか?」
「いや、帰らない」
「真理愛ちゃんに怒られるぞー」
「家で怒られるより、ここで怒られるほうが米田の前だから優しそう」
「お前...兄の威厳ないな」
妹に怒られる覚悟を持った同級生と一緒に、俺たちは問題の少女が遊びに来るのを待つことにした。
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