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5.デジャブ
「さり気なくぱさっ……。~~っ、ああッ! マジツボなんだけど~~っ」
「え? フツーに優しいじゃん。普段のアレ何? カモフラ??」
周囲から絶えずあがる景介への賛美の声。誇らしさや優越感を抱けるだけの余裕は――ない。
ブレザーを引き寄せて鼻を鳴らすと馴染みの香りがした。甘くほろ苦いラベンダーの香り。温もりも感じる。抱き締められているようだ。ささくれだった心がなめらかになっていく。
「はああぁぁああだかああぁぁああブレザーあああぁぁああだとぅおおおおぉおおおおおぉッッ!?」
「ひっ!?」
静止していた未駆流がけたたましく動き、奇声を発した。景介、照磨以外の皆の目が丸くなる。
「こーしちゃいられんッ!!!」
未駆流はルーカスから剥ぎ取ったワイシャツ、ベストを自身の足元に投げ捨てた。
「うぉおおぉおぉぉおおお!!」
何かを取り出した。スケッチブックであるようだ。一心不乱にペンを動かしていく。
「やるではないかッ!!!! ここまで我のツボを心得ているとわあぁあ流石は我が――あっ……?」
景介は無言のまま未駆流の前に立った。数秒後、また奇声があがる。
「ちょっ!? 何してん!! 見えへんやないのッ!!!!!!」
「見せねえよ」
「っ!? ぐぬぅ~~っ! ……へっ!!」
右に左に体を傾けて景介の守りを突破しようとする。景介も負けじと応戦。凄まじい攻防が続く。しかし、どうにもシュールだ。照磨を起点に笑いが伝播していく。
「……う~しっ」
「頼人……?」
頼人は小さく気合を入れると身を低くして景介のもとへと向かって行った。何をするのかと思えば制服を手に取る。先程未駆流が投げ捨てたもの。ルーカスのものだ。
去り際に景介が頼人を一瞥。頼人はグーサインで応えた。景介の意図を汲み、頼人が実行に移した。そんなところだろう。
景介・頼人の共闘により救われる。デジャブを感じる。あれからもう半年以上も経つのか。感慨深くもあり少々切なくもある。
「ルー、これ」
景介、頼人に感謝をしつつワイシャツの袖に腕を通していく。ルーカスが着替え終えたのと同時に昼休みが終了。5時限の予鈴が鳴る。
「いーやーだ!! もっかい脱がすンでぃ!!!!」
「はいはい。分かったから」
「あ゛ァ!!?? 分かってねぇだろこのメンヘラにゅるにゅる蛇ッ!!!!」
「次、LHRみたいだけど」
「っ!!!!」
「いいの?」
「あぅ……」
「ほら、戻るよ」
「……うぃ」
照磨は手慣れた調子で未駆流を言いくるめるとそのまま教室へと戻っていった。次の自分達の授業がLHRであること。そのことが未駆流にとっては不都合であるらしい。理由は分からないがとにかく騒ぎは治まった。深く息をつき肩の力を抜く――。
「え? フツーに優しいじゃん。普段のアレ何? カモフラ??」
周囲から絶えずあがる景介への賛美の声。誇らしさや優越感を抱けるだけの余裕は――ない。
ブレザーを引き寄せて鼻を鳴らすと馴染みの香りがした。甘くほろ苦いラベンダーの香り。温もりも感じる。抱き締められているようだ。ささくれだった心がなめらかになっていく。
「はああぁぁああだかああぁぁああブレザーあああぁぁああだとぅおおおおぉおおおおおぉッッ!?」
「ひっ!?」
静止していた未駆流がけたたましく動き、奇声を発した。景介、照磨以外の皆の目が丸くなる。
「こーしちゃいられんッ!!!」
未駆流はルーカスから剥ぎ取ったワイシャツ、ベストを自身の足元に投げ捨てた。
「うぉおおぉおぉぉおおお!!」
何かを取り出した。スケッチブックであるようだ。一心不乱にペンを動かしていく。
「やるではないかッ!!!! ここまで我のツボを心得ているとわあぁあ流石は我が――あっ……?」
景介は無言のまま未駆流の前に立った。数秒後、また奇声があがる。
「ちょっ!? 何してん!! 見えへんやないのッ!!!!!!」
「見せねえよ」
「っ!? ぐぬぅ~~っ! ……へっ!!」
右に左に体を傾けて景介の守りを突破しようとする。景介も負けじと応戦。凄まじい攻防が続く。しかし、どうにもシュールだ。照磨を起点に笑いが伝播していく。
「……う~しっ」
「頼人……?」
頼人は小さく気合を入れると身を低くして景介のもとへと向かって行った。何をするのかと思えば制服を手に取る。先程未駆流が投げ捨てたもの。ルーカスのものだ。
去り際に景介が頼人を一瞥。頼人はグーサインで応えた。景介の意図を汲み、頼人が実行に移した。そんなところだろう。
景介・頼人の共闘により救われる。デジャブを感じる。あれからもう半年以上も経つのか。感慨深くもあり少々切なくもある。
「ルー、これ」
景介、頼人に感謝をしつつワイシャツの袖に腕を通していく。ルーカスが着替え終えたのと同時に昼休みが終了。5時限の予鈴が鳴る。
「いーやーだ!! もっかい脱がすンでぃ!!!!」
「はいはい。分かったから」
「あ゛ァ!!?? 分かってねぇだろこのメンヘラにゅるにゅる蛇ッ!!!!」
「次、LHRみたいだけど」
「っ!!!!」
「いいの?」
「あぅ……」
「ほら、戻るよ」
「……うぃ」
照磨は手慣れた調子で未駆流を言いくるめるとそのまま教室へと戻っていった。次の自分達の授業がLHRであること。そのことが未駆流にとっては不都合であるらしい。理由は分からないがとにかく騒ぎは治まった。深く息をつき肩の力を抜く――。
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