ハズレスキル《創造》と《操作》を持つ俺はくそみたいな理由で殺されかけたので復讐します〜元家族と金髪三人衆よ!フルボッコにしてやる!~

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第二章 街の闇と繋がる者

第十七話 ケイン、驚きまくる

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 暫く歩いたところで、俺は足を止めた。それに合わせて、みんなも足を止めた。

「あ、ロックコングだ」

 この森で、一番遭遇率の高いロックコングが、ここから三十メートルほど先にいた。

「ちょ、あれ硬くて力のある魔物だぞ! 危険度Aの魔物だぞ! 流石に逃げるよな?」

 ケインはロックコングを見た瞬間に怯え、この場から逃げ出そうとしていた。

「いや、あれくらいなら倒せるぞ。ただ、今回は時間がないからな。ノア、頼む」

 自分で倒したいのはやまやまだが、一刻も早く古代大洞窟に行きたかった俺は、戦闘はノアに任せることにした。悔しいが、戦闘力はノアの方が圧倒的だ。それにしても、ノアを超えるにはどうすればいいのだろうか……

「任せて」

 ノアはそう言うと、ロックコングに向かって、一直線に走り出した。

「ちょ、お前! 自分の恋人に何してんだよ!」

 ケインは左手で、俺の肩をつかむと、前後に揺らしてきた。
 と言うか、ケインはノアのことを、俺の恋人だと思っているようだ。まあ、実際は、種族と年の差のせいで、半ば諦め気味になっているのだがな……

「ま、まあ、あいつなら大丈夫だよ」

 俺がそう言った瞬間、ロックコングが接近してくるノアに気が付いたようで、こっちを向くと、右手を振り上げた。

「あれに当たったら〈金剛〉のスキルでも怪我するんだぞ! お前なら分かるよな!」

 ケインはギャーギャー騒ぎ出した。うるさいとマリアが起きてしまうので、口の中に石を詰め込んで、黙らせたいところだが、ケインがそうなってしまうのも仕方がないと思い、石を詰めるのは止めた。

「あのさ。お前は俺達がどのくらい強いのか分かってるよな?」

「そりゃーAランク冒険者に匹敵する暗殺者六人を倒せるくらいには……あ」

 この時、ケインは何かを察したかのような顔をすると、ロックコングの方を見た。

「グガァ!」

 ロックコングは目の前に来たノアに、右腕を振り下ろした。だが、ノアはそれを容易く受け止めた。

「ええ……華奢きゃしゃな少女がロックコングの拳を受け止めたよぉ……」

 ケインは目の前で起きている非常識な状況を見て、完全にドン引きしていた。

「えいっ」

 ノアはロックコングの右腕を地面に叩きつけると、跳んで、ロックコングの頭上に立った。

「これで終わりっ」

 ノアはそう言いながら、ロックコングに拳骨げんこつを落とした。

「ガアアァ……」

 ロックコングはその一撃で頭骨が破壊され、息絶えた。

「よし。カイン! 終わったよ!」

 ノアは俺の方を向くと、笑顔で手を振った。

「ああ。ありがとう。ノア」

 俺はノアに近づくと、ノアの頭を撫でた。

「ふふっ」

 ノアは俺になでられた途端、嬉しそうに目を細めた。

「じゃ、後始末は俺がやるか」

 俺はロックコングの下の地面に手を当てると、〈操作〉で土を動かして穴を掘った。


「〈創造〉火炎!」

 俺は〈創造〉で作った火でロックコングの死骸を燃やすと、その上から土を〈操作〉で動かすことで、かぶせて埋めた。

「おいおい。〈創造〉と〈操作〉ってそんなに万能なもんなのか?」

 ケインがあきれたように、そう言った。

「まあ、修行を頑張れば、これくらいは出来る。努力をすれば、その分強くなれるし、新しいことも出来るようになる」

「俺より若い奴に修行不足って言われた感じがする……何か心にくるな」

 ケインはそう言うと、落ち込んでしまった。

「大人だろ。成人したての俺の言葉に落ち込むなよ」

 俺はケインの肩をポンポンと叩きながら、そう言った。

「そうだな。俺もまだ二十三歳だ。これからどんどん強くなればいいだけの話だ」

「そうだな。じゃあ、行くか」

 ロックコングを倒した俺たちは、再び古代大洞窟に向かって歩き出した。



「あれがうわさに聞く古代大洞窟か……入っちゃいけねぇって俺の本能が告げてるぜ……」

 ケインは目の前にある古代大洞窟を見て、完全に怯えていた。

「じゃ、入る――」

「ちょっと待て。ちょっと待て」

 この洞窟に入ろうとした瞬間、ケインに止められた。

「ん? どうした? ここは誰も入ってこないから、隠れ家にはうってつけなんだ」

「いや、ここって危険度S-が一番弱いって言われている場所なんだぞ! いくらお前たちが強いと言っても、ここに入ったことがあると言っても、限度があるだろ! お前たち感覚麻痺してんじゃねーのか?」

 ここに出てくる魔物だって、この洞窟で最上位の存在であるノアがいれば問題ない。だが、ノアの正体を知らないケインからしてみれば、それは自殺と同義なのだろう。その為、ケインは必死の形相で、そう訴えてきた。

(あ~ 確かに、俺の感覚は最近麻痺してきた気がする……)

 古代大洞窟に平然と入ることが出来る強大な精神力を、俺はいつの間にか獲得していた。

「まあ、大丈夫だ。これでも俺たちは、古代大洞窟の最下層まで行ったことがあるんだ。それに、ノアがいるから心配いらない」

「そうかよ……つーか、そんなに強いお前を手放した貴族がいることは信じられねーんだけど。しかもあの伯爵家って武家の名門貴族だろ? 強さには人一倍敏感びんかんなはずなのに……」

 ケインはあいつらが俺を手放したことに、また疑問を抱いたようだ。

「俺はな、ハズレスキルだと分かった瞬間に、あいつらの前で強さを見せることはなかったんだ。あいつらは、俺がそこそこいい剣技を見せても、蔑むんだ。『ハズレスキルの剣を見る時間なんてねーんだよ』ってな」

「そうか……分かった。すまない。辛いことを思い出させて」

「いや、謝罪いらない。俺はもうあいつらからの評価なんて気にしていないんだ。昔の俺は気にしていたが、今の俺からしてみれば、あいつらからの評価なんて戯言ざれごとと同義だ」

 俺はそう言うと、古代大洞窟の中に入った。
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