6 / 161
プロローグ
第六話 試験に挑む
しおりを挟む
「じゃあ、この登録用紙に名前と主な戦い方を書いてくれ」
男は威圧感のある声ではなく普通に友人と話すかのような軽い口調で話しかけてきた。
(見た目に反して優しいタイプの人だな…)
と思いつつ、俺は登録用紙にそれとともに手渡された鉛筆で名前を書いた。
(主な戦い方は魔法だな。ただ、〈剣術〉と〈身体強化〉のスキルも持っているしな……)
試したことはないが、この二つを同時に使うコンボはなかなか強そうだ。
どっちも使えると書いてもよかったが、〈剣術〉のスキルは使ったことがないが、魔法は森の中で割と使ったから、魔法と書いておくのが無難だろう。
「これでいいですか?」
そう言って俺は登録用紙を手渡した
男性はそれをまじまじと見た。
「ああ、完璧だ。名前はユートというのか。よし、これから戦えるかどうかの試験を訓練場でする。今からやってもいいか?」
「大丈夫です」
「あ、忘れてた。俺の名前はウォルフだ。よろしくな」
「はい。よろしくお願いします」
その場で軽く握手をしてから俺は訓練場に連れてかれた。
冒険者ギルドの裏側にある訓練場は、学校の体育館くらいの大きさの部屋。と言うよりは天井がない為、観客席のない闘技場と言った方が近い気がする。その中にも白い枠で囲われたスペースがいくつもあり、そこで戦っている人が何人かいる。俺はその中の一つに案内された。
俺が案内されたスペースの真ん中に試験官らしき人がいた。
「シン、こいつの試験をしてくれねえか?」
「分かった」
シンと呼ばれた男は落ち着いた口調で答えた。
シンは、黒髪黒眼の四十代前半のように見える落ち着いた雰囲気を持つ男性だ。
身長は百七十センチメートルほどあり、やや筋肉質だ。そして、防具を着ており、右手には木剣が握られていた。
「ユート。こいつの名前はシンだ。こう見えても元Aランクの冒険者だ」
「こう見えてもは余計だぞ。まあ、お前に勝ったことは一度もないから反論のしようがないな…」
シンさんはため息をつきながら答えた。
(Aランクってどのくらい強いんだ?)
よくわからないが、話を聞く限り、シンさんはかなり強そうだ。そしてウォルフさんはさらに強いのか……
まあ、あの威圧感だし納得は出来る。
「で…君はユートというのか。そして魔法が使えるのか」
この言い方からするに、魔法はみんな使えるわけではなさそうだ。
「魔法ってどのくらいの人が使えるんですか?」
「そうだな~大体三人に一人が使えるといったところだな」
「なるほど…分かりました」
思ったより少なかった。ただ、めちゃくちゃ希少というわけでもないようだ。
「まあ、雑談はこのくらいにして試験を始めようか。とりあえず俺から10mほど離れたところに立ってくれ」
俺は言われた通り、十メートルほど離れた場所に立ち、意識を集中させた。
(これで仕事に就けるかどうかが決まるんだ。絶対に合格しないと……)
「ずいぶんと集中しているな…俺は邪魔にならないように受付に戻ってるぞ」
ウォルフさんはそう言ってこの部屋から出て行った。
「これは試験だから先手は君に譲るよ。遠慮なくかかってくるといい。あと、別に俺に勝つ必要はないから安心してくれ」
それを聞いて、俺は安心した。まあ、試験官に勝てだなんて普通に考えたら無茶ぶりもいいところだろう。
「分かりました」
俺は頷くと、とりあえず〈火球〉を撃った。
(火だから木剣で防ぐことは出来ないし、範囲も俺が使える中では一番広いしな……)
そう思って撃ってみたがその期待はすぐに消えてしまった。
「一個だけならよけるのも簡単だな」
と、言われると普通にしゃがんでよけられてしまった。
なんかショックだ……
ちなみに〈火球〉はそのまま訓練場の壁にぶつかった。木でできているのにも関わらず、一切燃え広がらなかった。不思議だが、異世界だからってことでその疑問は片づけた。
「魔法は一度撃ったら、相手のよける方向を予測して連発するといい」
そう助言しながらシンは十メートルの距離をニ秒ほどで詰めてきた。
「これで終わりだな」
そう言って木剣を振り下ろした。
だが、俺にも考えがある。
シンさんが木剣を俺にあたるギリギリで止める前に、
「がっ」
という音とともに木剣は〈結界〉によって防がれた。
「なっ〈結界〉だと……」
シンさんは一瞬動揺した。
俺はそこを見逃さず、〈結界〉の横へ移動すると、〈火球〉を撃った。
「ぐっ」
シンさんは〈火球〉があたった衝撃で一メートルほど飛ばされた。
「まさかニ属性も使えるなんて……君はなかなかの逸材だな」
シンさんはかなり驚いていた。どうやら二属性以上使える人は俺が思っている以上に少ないようだ。
「普通は属性って一つなのですか?」
「そうだな。稀に二属性持っている人はいるが、冒険者の中では五パーセントほどしかいないな」
もしここで実は五属性使えますなんて言ったら面白いこと……じゃなくて大変なことになりそうなので言わないでおこう。
「ちなみにだがこの国の宮廷魔法師長は三属性使えるらしいな。あとは他の国にも大体一人から三人ずつ三属性使えるやつがいる」
何となくわかったことだがもし俺が五属性使えますなんて言ったら国に束縛されるような気がした。
俺は自由に生きたいし、極力秘密にしていこうと心に刻んだ。たぶん無理だけど……
「で、試験の方だがもちろん合格だ。それにしてもいくら不覚を取ったとは言え、試験官である俺が負けるなんてな……」
シンさんは悔しそうにため息をついた。一方俺は試験は合格だったし、その上で試験官に勝つことが出来たのだから正直言ってかなりうれしい。
「では、この試験合格書を持って受付にいるウォルフの元へ行くといい」
「分かりました。今日はありがとうございました」
俺は軽くお辞儀をした後、ウォルフさんのいる受付へ向かった。
男は威圧感のある声ではなく普通に友人と話すかのような軽い口調で話しかけてきた。
(見た目に反して優しいタイプの人だな…)
と思いつつ、俺は登録用紙にそれとともに手渡された鉛筆で名前を書いた。
(主な戦い方は魔法だな。ただ、〈剣術〉と〈身体強化〉のスキルも持っているしな……)
試したことはないが、この二つを同時に使うコンボはなかなか強そうだ。
どっちも使えると書いてもよかったが、〈剣術〉のスキルは使ったことがないが、魔法は森の中で割と使ったから、魔法と書いておくのが無難だろう。
「これでいいですか?」
そう言って俺は登録用紙を手渡した
男性はそれをまじまじと見た。
「ああ、完璧だ。名前はユートというのか。よし、これから戦えるかどうかの試験を訓練場でする。今からやってもいいか?」
「大丈夫です」
「あ、忘れてた。俺の名前はウォルフだ。よろしくな」
「はい。よろしくお願いします」
その場で軽く握手をしてから俺は訓練場に連れてかれた。
冒険者ギルドの裏側にある訓練場は、学校の体育館くらいの大きさの部屋。と言うよりは天井がない為、観客席のない闘技場と言った方が近い気がする。その中にも白い枠で囲われたスペースがいくつもあり、そこで戦っている人が何人かいる。俺はその中の一つに案内された。
俺が案内されたスペースの真ん中に試験官らしき人がいた。
「シン、こいつの試験をしてくれねえか?」
「分かった」
シンと呼ばれた男は落ち着いた口調で答えた。
シンは、黒髪黒眼の四十代前半のように見える落ち着いた雰囲気を持つ男性だ。
身長は百七十センチメートルほどあり、やや筋肉質だ。そして、防具を着ており、右手には木剣が握られていた。
「ユート。こいつの名前はシンだ。こう見えても元Aランクの冒険者だ」
「こう見えてもは余計だぞ。まあ、お前に勝ったことは一度もないから反論のしようがないな…」
シンさんはため息をつきながら答えた。
(Aランクってどのくらい強いんだ?)
よくわからないが、話を聞く限り、シンさんはかなり強そうだ。そしてウォルフさんはさらに強いのか……
まあ、あの威圧感だし納得は出来る。
「で…君はユートというのか。そして魔法が使えるのか」
この言い方からするに、魔法はみんな使えるわけではなさそうだ。
「魔法ってどのくらいの人が使えるんですか?」
「そうだな~大体三人に一人が使えるといったところだな」
「なるほど…分かりました」
思ったより少なかった。ただ、めちゃくちゃ希少というわけでもないようだ。
「まあ、雑談はこのくらいにして試験を始めようか。とりあえず俺から10mほど離れたところに立ってくれ」
俺は言われた通り、十メートルほど離れた場所に立ち、意識を集中させた。
(これで仕事に就けるかどうかが決まるんだ。絶対に合格しないと……)
「ずいぶんと集中しているな…俺は邪魔にならないように受付に戻ってるぞ」
ウォルフさんはそう言ってこの部屋から出て行った。
「これは試験だから先手は君に譲るよ。遠慮なくかかってくるといい。あと、別に俺に勝つ必要はないから安心してくれ」
それを聞いて、俺は安心した。まあ、試験官に勝てだなんて普通に考えたら無茶ぶりもいいところだろう。
「分かりました」
俺は頷くと、とりあえず〈火球〉を撃った。
(火だから木剣で防ぐことは出来ないし、範囲も俺が使える中では一番広いしな……)
そう思って撃ってみたがその期待はすぐに消えてしまった。
「一個だけならよけるのも簡単だな」
と、言われると普通にしゃがんでよけられてしまった。
なんかショックだ……
ちなみに〈火球〉はそのまま訓練場の壁にぶつかった。木でできているのにも関わらず、一切燃え広がらなかった。不思議だが、異世界だからってことでその疑問は片づけた。
「魔法は一度撃ったら、相手のよける方向を予測して連発するといい」
そう助言しながらシンは十メートルの距離をニ秒ほどで詰めてきた。
「これで終わりだな」
そう言って木剣を振り下ろした。
だが、俺にも考えがある。
シンさんが木剣を俺にあたるギリギリで止める前に、
「がっ」
という音とともに木剣は〈結界〉によって防がれた。
「なっ〈結界〉だと……」
シンさんは一瞬動揺した。
俺はそこを見逃さず、〈結界〉の横へ移動すると、〈火球〉を撃った。
「ぐっ」
シンさんは〈火球〉があたった衝撃で一メートルほど飛ばされた。
「まさかニ属性も使えるなんて……君はなかなかの逸材だな」
シンさんはかなり驚いていた。どうやら二属性以上使える人は俺が思っている以上に少ないようだ。
「普通は属性って一つなのですか?」
「そうだな。稀に二属性持っている人はいるが、冒険者の中では五パーセントほどしかいないな」
もしここで実は五属性使えますなんて言ったら面白いこと……じゃなくて大変なことになりそうなので言わないでおこう。
「ちなみにだがこの国の宮廷魔法師長は三属性使えるらしいな。あとは他の国にも大体一人から三人ずつ三属性使えるやつがいる」
何となくわかったことだがもし俺が五属性使えますなんて言ったら国に束縛されるような気がした。
俺は自由に生きたいし、極力秘密にしていこうと心に刻んだ。たぶん無理だけど……
「で、試験の方だがもちろん合格だ。それにしてもいくら不覚を取ったとは言え、試験官である俺が負けるなんてな……」
シンさんは悔しそうにため息をついた。一方俺は試験は合格だったし、その上で試験官に勝つことが出来たのだから正直言ってかなりうれしい。
「では、この試験合格書を持って受付にいるウォルフの元へ行くといい」
「分かりました。今日はありがとうございました」
俺は軽くお辞儀をした後、ウォルフさんのいる受付へ向かった。
16
あなたにおすすめの小説
ダンジョンをある日見つけた結果→世界最強になってしまった
仮実谷 望
ファンタジー
いつも遊び場にしていた山である日ダンジョンを見つけた。とりあえず入ってみるがそこは未知の場所で……モンスターや宝箱などお宝やワクワクが溢れている場所だった。
そんなところで過ごしているといつの間にかステータスが伸びて伸びていつの間にか世界最強になっていた!?
転生先は上位貴族で土属性のスキルを手に入れ雑魚扱いだったものの職業は最強だった英雄異世界転生譚
熊虎屋
ファンタジー
現世で一度死んでしまったバスケットボール最強中学生の主人公「神崎 凪」は異世界転生をして上位貴族となったが魔法が土属性というハズレ属性に。
しかし職業は最強!?
自分なりの生活を楽しもうとするがいつの間にか世界の英雄に!?
ハズレ属性と最強の職業で英雄となった異世界転生譚。
やさしい異世界転移
みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公
神洞 優斗。
彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった!
元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……?
この時の優斗は気付いていなかったのだ。
己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。
この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。
異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
転生したらスキル転生って・・・!?
ノトア
ファンタジー
世界に危機が訪れて転生することに・・・。
〜あれ?ここは何処?〜
転生した場所は森の中・・・右も左も分からない状態ですが、天然?な女神にサポートされながらも何とか生きて行きます。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
初めて書くので、誤字脱字や違和感はご了承ください。
はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~
緋色優希
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。
無能勇者の黙示録~勝手に召喚されて勝手に追放されたので勝手に旅に出ます~
枯井戸
ファンタジー
力も強くない、足も速くない、魔法も使えないし、頭も大してよくない、どこにでもいるちょっとオタク趣味の主人公・東雲真緒が白雉国に勇者として転生する。
同期の勇者はそれぞれ力が強かったり、魔法が使えたり、回復ができたりと各々の才能を開花させ頭角を現していくのだが、真緒に与えられた才能は異世界転生モノでよく見る〝ステータスオープン〟のみだった。
仲間には使えないと蔑まれ、ギルドには落第勇者の烙印を押され、現地人には殺害されかけ、挙句の果てに大事な人を亡くし、見ず知らずの土地の最底辺で生きていくことになった真緒だったが、彼女はまだ〝ステータスオープン〟の可能性に気づいていないだけだった。
─────────────
※投稿時間は多少前後しますが毎日投稿は続けていくつもりです。
※タイトルは予告なしにガラリと変わる場合があるのでご了承ください。
※表紙は現在の主人公のイメージ図です。もしまた別の国へ行く場合、彼女の装いも変化するかもしれません。
異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める
自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。
その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。
異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。
定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる